見せ方を変えただけでわずか半年で業界トップになったマーケティング

見せ方を変えただけでわずか半年で業界トップになったマーケティング

同じ商品でも売り方、見せ方によって大きく変わるのはよくある話。7つの習慣という日本で200万部となっているベストセラーの本ですら、一度絶版になっているほどだだから無視するわけにはいかない話。

もちろん、ビジネスの規模を問わず大切なことなので、その例として身近な体験と実際にあった話をご紹介したい。

カフェにて起こった売上ロス

麻布十番に行ったときに入ったカフェでコーヒーを頼もうとしていたところ、メニューを見ていたら妙に甘い物が食べたくなってきた。

視線の右側にはスイーツが並んでいる。「どれにしようか?」と思いながら、ドリンクを注文しようと並んでいたが、どうも気が進まない。

なぜか「これにしよう」という感覚がなく、そのままドリンクだけを頼んで席に座った。

購買の心理というのはとても大切なので、自分のことではあるが、

「何で買わなかったのだろうか?」

と席で考えた。

なぜ、欲しいのに買わないのか?

そこで分かったのは、商品の見た目。もっというとスイーツそのものの見た目ではなく、パッケージ。

スイーツはプラスチックケースに入っていてコンビニのスイーツのような感じで並んでいたのだ。それで、いかにもどっかから運んできました的な感じでちょっと適当感があり、魅力を感じなかったというわけだ。

たいていの洋菓子店では、スイーツを1つ1つパッケージしていないだろう。注文したときに店員がトングで箱に入れてくれるのが多いと思う。そのイメージがあったので、「うまいスイーツ=個別にパッケージされていない」という先入観が自分の中にあったんだろうなと思った。

先日、書いた私がついスイーツを買ってしまったスタバの話では、陳列の仕方がこの店とは違った。1つ1つパッケージされておらず、そのまま皿に並んでいる。洋菓子店と同じような陳列方法になってるということだ。

スタバなので、どう考えても店で作っていることはないし、どこまでこだわりがあるかは分からない。ただ、パッケージに入って売られているより、見た目の印象はいい。

価値が伝わる印象かどうか

つまり、こだわりがあるかどうか、ちゃんとしているかどうか、要はおいしさという実質的な価値ではなくて、感情的な価値を感じられるかどうかがポイントだったのだなということ。(価値に関しては、以前にもこちらの記事をどうぞ。)
なぜ、お客のいなそうな街のそば屋が潰れないのか?(価値の話)

今回は価値が伝わらずに売れなかったわけだが、一方でバカ売れした例もある。だいぶ前の話だが、こんな話だ。

なぜ、パッとしない会社がたった半年で業界1位になった?

シュリッツビールが業界一位になれた理由

1920年代初頭、アメリカでは10社ほどの醸造会社が競い合っていた。その1つがシュリッツ・ビールだ。

シュリッツ・ビールは売上8位という位置で業績は良いほうではなかった。
しかし、ある方法によって、たった半年で業界1位までに上り詰めることになる。

新しいビールをつくったわけでもなく、大幅に品質を改善させたわけでもない。商品はこれまでと同じ。作り方も同じ。値段も変わらず。なので、本当に見せ方、売り方を変えただけ。

それなのに、半年でごぼう抜きして業界トップになった。

一体、何をやったのか?

業界8位の企業が半年で業界1位になった理由

シュリッツビールがやったのは、ビールの製造工程を消費者に知らせただけ。

1つの瓶ビールができるまでの工程は、

  1. 最高のビールをつくるために最適なミネラルを有した水を得るべく、近くに非常にキレイ水の湖があるにもかかわらず、1500メートルも掘った井戸から水を汲んでくる
  2. 水を蒸留する工程では2760度にまで水を熱して冷却する、ということを不純物を完全に取り除くために3回繰り返す
  3. さらに、瓶にビールを詰める前にビールの味に影響を与える全ての雑菌を除去するために870度の蒸気に当てて殺菌する
  4. そして、出荷をする前にちゃんとした味になっているかテイスティングをしてようやく市場に出荷される

となるそうだ。

こうした製造工程を業界で初めて消費者に伝えたのである。一般消費者はこんな工程でビールが造られているなんて知るよしもないので、それはまあすごいこだわりだと思うわけだ。

すると、一般消費者はここまでこだわり抜いているビールは他社とは違う、ということでシュリッツビールの売上はどんどん伸びた。

実際には、他の会社でも同じような製造工程でビールをつくっていたのにもかかわらず。そして、シュリッツのビールも前述のとおりビール自体は今までのままだった。

まさに見せ方を変えただけで売上が急増した例である。スイーツとはわけが違うが、印象でこうも変わるということだ。

ちなみに、これはジェイ・エイブラハムの著書、
ハイパワーマーケティング
から持ってきた内容なので、詳しくは本を読むといい。

まとめ

見た目や印象は大事だなと思えるできごとだったが、あくまで中身あっての話なので、外観だけ良くしても意味はないのは当然のこと。良いものは良いときっちり伝えることが大切。

なお、見た目の話に関してはこちらのTEDの動画を参考になると思うので、合わせてどうぞ。
あなたの商品が売れない理由(TED動画)と売れるようにするための3ステップ

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