購入率を15倍にしたECショップ、ネットでの購入率を上げる方法とは?

購入率を15倍にしたECショップ、ネットでの購入率を上げる方法とは?

先日、ソフトバンクが運営しているサイトを見たら、「ECサイト購入率が1%から15%へ向上IBM Watson 日本語版で創出するアパレルの進化と未来への可能性」という記事があった。
 
IBM WatsonというのはIBMが生み出した人工知能。なので、「人工知能で購入率15倍か! ここまで来ているとはすごい」と思って読んでみたら……期待とは違った記事だった。記事を読んでみたら購入率を1%から15%にした、つまりは15倍にしたプロセスに人工知能は関係なかったのだ。データが蓄積されているので今度はそれを人工知能を使うことでより効果的になるのでは? という話だった。

期待と違ったのはこちらが勝手に人工知能に期待してしまったのが悪いのだが、記事はとても参考になるので、自分なりに良いなと思えたことと、ネットで何かを売る場合にどうしたら購入率が上がるのか? ということを経験をもとにまとめてみたい。ポイントは次の3つ。

  1. 対面とネットでの販売の決定的な違いとメリット、デメリット
  2. ネット販売で購入率を上げる方法
  3. 将来は人工知能を使った購入率アップの仕組みが使えるはず

対面とネットでの販売の決定的な違いとメリット、デメリット

対面の販売とネットの販売の最大の違いはなんだろうか? 1対1か1対多か。運営者1人でも年中無休の365日24時間営業が可能かどうか。などいろいろとあると思うが、最大の違いは目の前に生身の人間がいるかどうか。

それによって、対面だとリアルタイムで目の前のお客さんに合うように売り方を変化させることができるという点が販売においては決定的に違う点だろうと思う。

実際、購入率は圧倒的に対面のほうがいいのが普通。そもそも基本は興味のある人しか店には来ないわけだし、その人に合わせていろいろとセールス内容を変化させられるわけだから当然ともいえるのだけれど、対面は対面のメリットがあるのも事実。買う気がなかったのに買ってしまうこともあるわけだから。

対面販売のメリット、デメリット

対面だと目の前に人がいるので、相手がどんな人か? という情報がつかめる。また、声のトーンや顔の表情、目線、仕草などでも相手の状態がどんな状態かがある程度分かるため、先ほども書いたとおり、リアルタイムでその人に合わせた対応ができる点はメリットになる。

ただし、目の前の1人しか分からない。実演販売や説明会なんかでは1対多にはなるけれども、ネットに比べたら時間あたりにさばけるお客さんの許容量は少ない。時間も限定される。

ネット通信販売のメリット、デメリット

ネットの場合には一度に何人でも同じクオリティで対応することができる。100人でも1000人でも関係なくいっぺんに対応できる(増えすぎるとサーバーが対応できなくなるので無理だし、相手の通信状況にも依存するが)。また、24時間365日稼働できるのが普通(大手のサイトはメンテナンスで使えなくなる時間帯が発生することもあるが、Amazonや楽天、ヤフーショッピングといったモールや個人が運営するような規模ならまず心配ないものと思う)。

一方、ネットの場合には目の前に人はいないし、いつでもクリックorタップ1つで販売の機会は消えてなくなる。操作ミスでもそのままいなくなることもあるし、相手に語りかけることができないので、引き止めることも難しい。あまり経験はないかもしれないが、気になる広告を見つけたと同時にリンク先に飛んでしまってブラウザで「戻る」としても、同じ広告が表示されず見逃したなんてケースもある(私が広告を普段から注意して見ることが多いからそうなるだけかもしれないが)。

ネット販売で購入率を上げる方法

ということで、対面とネットでの販売についての違いを少しまとめたが、このサイトはネットを使ったビジネスをメインにしているので、ここではネット販売で購入率を上げることに着目する(売上を上げようと思ったら対面もネットも関係なくやるのがいいのだけれど)。

ネットで購入率を上げようと思ったら、見ている人が意思決定をするうえで必要だとその人が思う情報をあらかじめ提供しておく必要がある。訪問してきた人に合わせてページを変えるなんてのはそうはできないので。あるいは、冒頭で挙げた購入率を15倍に伸ばしたアパレルのECショップのようにチャットでやりとりをして店頭のようなきめ細かさを加えるのでもいいと思う。

アパレルのECショップが購入率を1%から15%に上げた方法

ちなみに冒頭で紹介したアパレルのECショップにおいて購入率を1%から15%にアップさせた事例では、チャットを使ってお客さんが商品を絞り込むお手伝いをした結果だそうだ。つまりは、店頭で接客して服を選んでもらうのと似たようなことをネットでやったということと考えられる。

しかも、こちらの記事、チャットでコーデ提案する「PRIMODE」のCV%は通常ECの10倍、強みは実力派スタイリストのネットワークによると、単に商品を提案するだけではないようだ(細かいけれども、数字に統一感がないのは矛盾があるのではなくて、おそらくはインタビュアーが違っていて書き方が異なるからだろう)。チャットだと対面よりも気軽にコミュニケーションが取れるケースがあり、顧客データの活用もできるというネットの強みも活かした結果とのこと。

つまりは、お客さんに合わせてどれだけきめ細かい対応をやれたか? ということになると思うが、リアルタイムでチャットによる接客ができるようなリソースを割けるのはある程度の人員がいる場合の話。そうした人たちにはとても強力なツールになりそうだが、我々のようなスモールビジネスではリアルタイムの対応はキツイだろう。

チャットでお客さんと応対していたら、ネットのメリットの1つとも言える無人でも売れる自動販売機的な側面が失われてしまう。では、リソースを割けないケースや1人でやっているような場合にはどうしたらいいのか?

リアルタイムの対応ができなくてもネットで成約を上げるには?

ネットでリアルタイムの接客はキツイ場合は、お客さんの声を取り入れて商品を販売しているページを変化させていけばいい。先ほど書いたとおり、見ている人が意思決定をするうえで必要だとその人が思う情報をあらかじめ提供しておくということだ。一人ひとりに対応するのは無理があるので、見込み客の人たちが知りたいこと、気になることをどんどん入れていく。

少しの変化で結果が変わる

ネットで売れている商品というのは、どんどん商品販売ページ変化させていってるのが普通。最初に出したページのまま何も変えないというのは、何かしら意図があるか何も分かっていないだけか、のどちらかだろう。

トップの画像や文言を変えただけでも結果は変わるし、申し込みボタンを変えただけでも変わるからだ。申し込みボタンに関しては、こちらの記事のようにAmazonが変化しているのを見ても分かる。
Amazonの成功の理由とあなたのビジネスを成功させるたった1つの方法| IDEASITY

私自身の経験からも、トップの文言を変えただけで15,000円くらいの商品の成約率が2倍くらいになったことはある。さすがに10倍以上はないけれども、購入率が数十パーセント変わるのはよくあること。

売れるように変化していくための方法

では、どうしたらそんなことができるのか? それはお客さんの声を活用すること。例えば、問い合わせで来た内容をQ&Aとして追加したり、アンケートの声をもとにどんなことに悩んでいて何を望んいでいるかを把握して、商品の販売ページを修正したりと、見込み客の人に合わせて変化させる。

もっと具体的にいうと例えば、自分のために買っている商品なのか自分の子供のために買っているのか? ではページに書く内容は違うはずだし、男性か女性かでデザインの雰囲気は違うはずだ。

Amazonのページは売れやすいか?

ところで、Amazonのページはシンプルでいいという人もいるとは思うが、個人的には一長一短。というのも買うものが決まっているときは買いやすくていいのだけれど、比較検討をしたいときには情報が少なすぎて話にならないから。Amazonは買い物のプラットフォームになっているしアフィリエイト(Amazonアソシエイト)などで、強力な集客力があるので、それでもどんどん売れていくと思うが、個人のネットショップで同じことをやったら確実に購入率は下がると思える。

人によって決め手となるポイントが様々なので、いろんな情報をできるだけ入れ込まないと購入判断ができなくなるからだ。例えば、旅行や重い荷物が多いときに使うキャスターのついたキャリーバッグを買おうとしているときに、あなただったらどんな情報があるといいだろうか?

見た目だけで分かるのは色と形くらいだろう。でも、知りたい情報は実に様々。

  • 縦、横、奥行きの長さはどのくらいなのか
  • 重さ
  • 材質
  • 何リットルの容量か(長さが分かれば、ある程度計算できるが面倒なことはしたくない)
  • 何日分の荷物に対応しているか
  • キャスターは4輪か2輪か
  • 中の収納はどうなっているか
  • パソコンをいれるところはあるか
  • 飛行機の機内に持ち込めるか
  • カギはかけやすいか(そもそもあるのか)
  • TSAロックつきか
  • 価格はいくらか
  • 送料はいくらか
  • いつ届くのか
  • 保証はあるのか

……など、キャリーバッグだけでこれだけの要素が考えられる。もちろん、誰に売るのかの対象がはっきりしている場合にはもっと絞られるとは思うが、逆に違う要素が増えることもある。

ちなみに私が今、使っているキャリーバッグは脇にペットボトルを入れるポケットがついているのが購入の決めてとなった。「そんなもので……」という人もいるとも思うけれども、飲み物をいちいち出し入れするのは面倒なので、すぐに取れる位置にあるととても便利。特に個人的には、健康上の理由で水分を多く取らないと問題になることがあるのでなおのことありがたい。もちろん、価格や大きさも大事な要素であったので、脇のポケットだけが購入理由ではないけれども、意思決定に関係した要素の1つではある。特殊なニーズかもしれないが、もしこうした声があるのなら他にも同じように思う人がいる可能性は十分にあるので、販売のページにどんどん追加していくといい。

将来的には個人でも安価でチャットボット(自動対応)が使えるようになる?

こんな記事があるように、機械による顧客対応も夢ではなくなってきているように思える。
そろそろビジネスに使えるーーチャットボットについて考えるべき4つの考察

チャットボットは人工知能が必要というわけではないようだが、人工知能を使ったチャットでの顧客対応で成果が現れているケースもある。こちらの記事でも書いたとおり、6.5人分の人件費削減に成功している。顧客対応とセールスは同じとは言えないので、結果につながるかは分からないけれども、使い物にならないなんてことはないだろうし、やがては売上アップにつながっていくのだろうとは思える。
ついに人工知能が人の仕事を“奪い”始めた

こうしたものはまだまだ個人や零細が使えるような代物ではないと思うが、以下の記事のように2016年の1月の時点で、人工知能がエクセルのように誰でも使えるようになると考えている人もいる。
人工知能が万人のものに?米新興企業データロボットがヤバイらしい件

パソコンもネットも昔は個人が使えるような代物ではなかったが、今は普通に使っているわけだから、人工知能だって個人が使えるようになる日が来るのも不思議ではないようには思える。

なので、今は個人がネットショップをやったとしてもリアルタイムでチャットによる対応なんてのはなかなかできないとは思うが、将来的にはボットを使って購入率を上げられるようになっていくものと思える。使い方しだいなので、導入すれば必ず結果につながるなんてことはないだろうけれど。

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