見落としていた需要を見つけて利益倍増になった事例
普段から見ているつもりでも見えておらず認識していない、盲点となっているようなことは誰にもあるもの。日常生活ではもちろん、ビジネス活動においてもよくある話だ。
例えば、細かい話ではあるけれども、先日、通販用に使う商品販売ページの原稿を書いたとき。一番上のヘッドラインと呼ばれる箇所だけを原稿に書いてデザイナーさんにWebで表示できるように作ってもらった。いざできあがったのを見ると、誤字があったのだが、そもそも原稿が間違っていたから誤字になっていたことが判明。あんなに大きな文字が見えないとは……と相当驚いてしまったのだが、できていると思っているところは細かく見なくなるようだ。
つまり、よく言われるように当然そうだとか、当たり前、常識と思っているところに盲点があるもの。
これが、もっと大きなくくりでビジネスに起こると、損失につながったり、本来得られたはずの利益が得られていない、お客さんのニーズに応えられないということが起こる。例えば、こんな話がある。
目次
盲点となって見落としていた利益と価値
盲点があったということについて、1つの例を見ていたいと思う。個人規模のビジネスではなく大きな市場での話ではあるが、規模の大小によらず役立つはずだ。
その例は最近の話ではないが、化粧品などを販売しているザ・ボディショップの例だ。人気商品の1つにザ・ボディバターという保湿剤がある。今でこそザ・ボディバターは年中売っているが、保湿剤だけあって、かつては冬場の商品としてザ・ボディショップでは売られており、夏場は売られていなかったそうだ。
理由は簡単で保湿材は乾燥した時期に使う物だから、冬場にしか売れないのは当たり前という前提があったから。
しかし、人気商品なら夏でも売れるんじゃないの? と考えた人がいる。ザ・ボディショップを日本国内で運営している株式会社イオンフォレストにて社長、スターバックスではCEOを務めた岩田松雄さんである。
売れるわけがないという前提がある中、夏場だってオフィスなんかはエアコンで乾燥しているということもあるのだから売れるはずだということで、ザ・ボディバターを冬だけでなく、夏場も販売を決行。
その結果、常識では売れないはずが、ザ・ボディバターは冬場と同様にどんどん売れたのである。
盲点に気付く方法
盲点というのはどう頑張ってもなくなることはないと思うが、先のボディショップの例のように見つけることは可能。では、どうやって見つけたらいいのか?
盲点というのは何かというと、無意識な前提によって見えなくなっているものと言うことができる。思い込みがあるから生じると言ってもいい。
そうした思い込みをなくす方法はよく言われるように「なぜ?」と問いかけることしかないように思える。先日聞いた量子的思考という話でもそうだし、トヨタのなぜを5回なんてのも同じかなと思える。
当事者だとなかなか「そもそも何でそうするの?」という質問が出て来ないので、難しいとはいえるのだけれども、気付いてしまえば意外と簡単にことが進むことはある。
ボディショップでどんな話があったかは知らないが、「そもそも何で冬にしか売らないの?」と聞かれた現場の人が「保湿材なので乾燥している冬場にしか売れないと思うからです」とでも返していたのだとすれば、保湿材は乾燥している季節にしか売れないという思い込みが浮き彫りになるわけだ。
ただ、後からはいくらでも言えるので、当事者になったときに「なぜ?」を問えるようになるためにも、普段から考えることは大切なことだなと思わされる。
もう1つの教訓
大切なポイントがもう1つあるとしたら、それは売れる物は売れるということかなと思える。
これは何を意味しているかというと、売れるものをより一層伸ばすのが収益を上げるには一番だということ。売れる物というのは、多くの人の需要を満たすものなので、それだけ多くの人に価値を提供しやすい。だから、結果としてたくさん売れるという話だ。売れない物をなんとかするより、売れるものをより売るにはどうするか?と考えた方が利益を考えたら建設的。
売りたい売りたくないはあるだろうし思い入れのあるなしも人それぞれかと思うが、それとは関係なく売れない物は売れないし、売れる物は売れるとというのが現実だからだ。
情熱があったって思い入れがあったって要らない物は要らないわけだから当然と言えば当然。もちろん、売る人の情熱を感じて買う人、あの人だから買うなんてケースもあるので、絶対ということはないし、情熱も大切な要素の1つ。だけれど、人は自分が要ると思わなければ買わないわけで、ここで伝えたいのは流れに乗るか逆らうかみたいな話だ。
まとめ
ザ・ボディショップの話から分かるのは、よく言われるように常識を覆すことで見えないものが見えるようになるということだが、そのためには常に考えている必要がある、という当たり前のことに行き着く。つまりは、一発逆転みたいな話はそう都合良く訪れるものではなく、普段からやっていることの積み重ねから来るとも言えるのでは?と思える。
また、ビジネスをやるなら売れる物を伸ばすという考えが大切になるという話。無理に売るのではなく、市場で受け入れられている物を売るというのは、流れに乗るようなもの。自分の好みもあるのだけれど、自分の欲望を満たすためにお客さんがいるのではなくて、お客さんのニーズやウォンツに合わせることが必要だから。
といってもやりたくもないことを無理にやるのもどうかと思うので、バランスや考え方の柔軟性も大切なので、自分に対して「なぜ?」と問いかける必要もありそうだ。