わずか十数秒の行動の違いで売上の明暗を分けた2人の女性

わずか十数秒の行動の違いで売上の明暗を分けた2人の女性

人が何かを買うという行動は面白いもの。それを知っておくと自分のビジネスにも何かしら役に立つのではないかと思う。

そうした購買心理みたいな話は、自分の日常の経験から学べることも多い。今回はある2人の女性のセールスから分かる自分の商品をどう売るか?という話だ(写真の女性は無関係)。

取れたはずの契約がこぼれ落ちた電話

たまに0120の番号から電話がかかってくることがある。だんだんとどこかの業者が営業電話で使うようになったので、「0120からの電話 = 何かの勧誘電話」となっていて、もう出る気がなくなっていた。

が、そのときは営業かなと思いつつも一応電話に出ることにした。すると、

「わたくし●●カードの……」

という返答があった。どうやら自分が契約しているカード会社からのようだ。

話を聞いていると「自動でリボ払い(※)になる設定に切り替えませんか?」という内容のようだ。そうしたらポイントをもらえるとのこと。

少し前に来た電話と同じような内容だった。違う会社なのに情報が共有されているのか? 思うようなタイミングだなと思いつつ話を聞いていた。(実際は単に業界でやり始めただけで 共有はされていなだろうけれども)。

もし、同じ提案であれば、こちらにマイナスになることはない。というのも、理由は1回の支払いを月の限度額まで設定できるから。リボ払いといっても余計な金利はつかずに支払いができる上、ポイントがつくという話だ。カード会社が想定しているリボ払いとは言えないと思うのだけれど、それができるということだった。

ちなみに、以前の勧誘の際に、なぜそんなことをカード会社がやるかを聞いたところ、「お客様に末永く使っていただければと思っていますので」という回答だった。他にも理由はあるとは思うが、おかしな理由ではないのでプラスにしかならないと判断し、以前、別のカードで同じ提案をされたときにはリボ払いに変更した。

クレジットカードのセールス

今回も、それと同じなら前と同じように申し込んだら得になるけど、申し込まなかったら今までと同じという話だ。で、そのまま話を聞くと、ほとんど同じ提案だった。なので、また申し込もうと思ったのだが、結局、やめてしまった。実は、電話を出て15秒から20秒くらいで、すでにその判断を下していた。

なぜだろうか?

※身近で知らない人がいたので余談だが、リボ払いについて。リボ払いは毎月のカードの支払いを一定にできる支払い方法。10万円の支払いがあったとしても、それを1回の支払いを1万円などに設定して毎月同じ金額ずつ払うようにできる。1回当たりの支払いの額は減るけれども、その代わり払う総額は増える。前に何かで使った分はカード会社が自分に代わって一括で払ってしまって、その分を本人が返すような仕組みと思えばいいのでは?と思う。つまりはカード会社に借金しているようなもので、その分の金利がかかるというわけだ。金利は数パーセントなんてことはなく、15%くらいとられるのが普通かと思う。元利均等返済なら最初は金利ばかりで元本が減らないので、金利が余計にかかる。

取れなかった売上を掘り起こした弁当屋のおばちゃん

一方、別なある日、昼に弁当を買いに行ったときのこと。後述するとおり、レジで●●はいかがですか?と言われて、すんなり購入してしまった。こちらも店に入ってから15秒から20秒くらいの間で購入の判断がくだされた。

先ほどのカードの話は無料サービスで後者は100円ほどとはいえ、有料である。つまり、無料なのに断って、有料なのに購入したということ。なんだか不合理のような気がするが、何が原因だったのか?

この辺りの違いは、売上が上がる上がらないに密接に関わってくるので、ビジネスを志す者としては是非押さえておきたいところ。

無料提案のこんな過ち

私としては、自動リボ払いオファーについては前に知っているようなものだったので、早く結論が知りたかっただが、その人が音声案内か?と思うほどゆっくりとしゃべっていて「1.5倍速にはできないのか?」「で?結論は?」という感じでどんどんイライラが募っていった(ゆっくりなのがいい人もいるので、良い悪いではなく、自分には合わないということ)。

結局、前に提案を受け入れたときとほぼ同じような内容だったが、なんだかイライラして聞くのも面倒になってきたので、

「面倒臭そうなのでいいです。いりません。」

ということで、ほんの少ししかプラスにならないら、もういいやと思って断ってしまった。ちょっと前にかかってきた別なカード会社からの電話では同じ内容のオファーに申し込んでいたのに……。

弁当屋のおばちゃんがやったこと

一方、弁当屋のおばちゃんは違っていた。13時近くだったこともあって、私が店に入ったときには残っている弁当はだいぶ少なくなっていた。私がその中から1つを選んでレジまで持っていったそのとき、そのおばちゃんの目がキラリと光った(と思った)。

私は弁当の他に野菜サラダも手にとっており、レジの周りをチラッと見渡したのも、そのおばちゃんは見逃さなかった(はずだ)。そして、レジの周りをチラリと見たときに野菜のタップリ入った豚汁の写真に反応したのも見逃さなかった(と思う)。

 「サラダを手にしているということは、この人は弁当以外にもオプションで何か買う人だ。しかも、サラダを手にしながら、他にも何か探しているそぶりを見せた。 弁当とサラダがあるなら、あとは汁物だろうから、 豚汁を提案したら買っていきそうだ」

と思ったのか(勝手な推測だけれど)、会計間際にこんなことを言ってきた。

豚汁をセールスする

「100円で豚汁もいかがですか?」

と、野菜たっぷりの写真が載った豚汁のチラシを見ていた私に提案してきたのだ。結果、帰りには弁当とサラダと豚汁を手にしてその店を後にした。

ところどころ()があるように、実際にそのおばちゃんがどう思っていたかは推測。なので、どこまで考えていたかは分からないが、何か汁物があったらいいなと思っていた私にピッタリだった。

しかも、レジの前には「豚汁100円」という広告はあったが、「弁当があれだけ少なくなっていたら、もうないだろうから、まあいいか」と勝手に思っていたのだから、大変素晴らしい働きをしたと思う。100円という単価だけを見ると、数字自体はたいした違いではないのだけれど、これが積み重なると大きい。要は他でも同じことができるわけだから、応用が利く可能性がある点はとても大きいように思える。

売れる売れないの差

お客さんの状況に合わせてきめ細かい提案ができると、成約率がグッと上がる、ということは誰でもわかること。リボ払いの勧誘電話なら、まず状況を聞いたら良かったかもしれない。勝手に知らないとみなして話を一方的にするからイライラするわけだから。

ただ、ビジネスはインターネット上にもあるわけだから、リアル店舗のお店や電話だけとは限らない。インターネットの場合、相手が見えないので、どんな人がページを見ているか分からない。また、見ている人によってページを変えることもできない(ある程度はできるけれども、対面のように会話に合わせて伝える内容を臨機応変に変えるなんてレベルには到底ならないということ)。

ネットで見ている人に合わせて売るにはどうする?

その場合には、どうしたらその人にあった売り方ができるだろうか?

1つの方法としては、あらかじめ顧客像を決めてしまうのがいい。よくペルソナを設定するといいなんて言われるので、知っている人も多いと思うが、誰が見ても納得して買ってくれるページは残念ながらつくれないし、誰が来るか見えないなら、初めから対象者を絞ってしまってその人が来るように設計するといい。

そうすると、顧客像に合わない人にはさほど売れないが、ピッタリの人にはどんどん売れる。どうせ、自分の商品のページにやってきた人のほとんどは買わないもの。中途半端で全然売れないのに比べたら、顧客蔵を絞っていったほうがよく売れるもの。

ネットでは人は簡単に離れるので、意思決定のハードルを下げる

そして、できるだけシンプルにして迷わないようにし、さらに購入という意思決定に必要な情報は可能な限り載せるようにする。分量が多くなってもそうしたほうが売れる。情報不足で決められなければ、そのまま去って行って別のところで買うか、そのまま買わないかだ。問い合わせしてくる人なんて一部の人だけ。

まとめ

ということで、人を見て売らないと売れないよ、という当たり前の話ではあるけれども、ついやってしまうようなことを日常で体験できた。自分の買物やセールスされるときの体験からもいろいろと学べるので、なかなか面白いもの。ちなみに、家のポストに入っているチラシは普通は邪魔だと思うが、日々、どんな広告が家に来るか見ているとなかなか面白い。たいていはそのままゴミ箱いきだが、秀逸なのもたまにあって面白い。あとは、これはまず間違いなく意味がないと思えるような、反面教師になりそうな広告もまた面白いもの。

P.S.
ちなみに、リボ払いの支払いをカードの上限額でいいですよ、と言われて自動でリボ払いになるプランに申し込んでいたあるカード。あるときなんか変な支払いだなと思って明細をよく見たら、支払い額の上限がいつの間にか減らされていた。つまり、普通のリボ払いになっていた。メールか何かで案内が来たのだろうとは思うが、寝耳に水でしてやられた気分だった。さらに、年会費もいつの間にか増えていた……。

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