「モチベーション革命」尾原和啓さんのセミナーを踏まえた書評とまとめ
朝渋のイベントでモチベーション革命の著者である尾原和啓さんが登場した(朝渋は渋谷を起点とした早起きコミュニティで本と読者と著者をつなげるイベントを開催している)。
今回は、Doubleという遠隔プレゼンシステムを使った特徴あるセミナーだった。単に遠隔で動画でセミナーをするだけでなく、話している人が遠隔操作して画面が前後左右に動くというなかなか面白いシステムだった。
こんな感じ
今回の著者イベント(セミナー)でメインとなった内容はこれからの時代に合わせた働き方、生き方、それに関連して好きなことをして生きていくにはどうしたらいい? というところかなと個人的には思うので、そのあたりを中心にまとめてみる。
その前に、著者である尾原和啓さんが語っていたモチベーション革命という本を出版した意味の話を知っておくと、内容理解がより進むと思うのでまずはそこから。
なお、スモールビジネスの起業などの観点からはこちらにまとめてある。こちらは起業する人のメンタルの視点とサービス提供の視点の2つからまとめている。
「モチベーション革命」の書評・まとめと、小規模ビジネスの起業への2つの活かし方
目次
なぜ、モチベーション革命という本を出版したのか? その意味合いは?
本ではマーティン・セリグマンが唱える次の5つの幸福を前提にモチベーションの話を進めている。
- 達成(Achievement)
- 快楽(Positive emotion)
- 意味合い(Meaning)
- 良好な人間関係(Relationshps)
- 没頭(Engagement)
本で言うところの、「上の世代」つまりは「乾いている世代」ともいえる人たちの幸福の基準は達成や快楽が中心だった。
今はそれに違和感を感じる人もいて達成のモチベーションで動いていたような人たちが、意味合いや没頭というモチベーションにスライドしてきていると尾原さんは考えている。
なので、なんとなく今までの幸福の価値観ではないところに何かがあるとうすうす気付いているのだけれど、それを言葉にできるほどまでに理解が進んでいないような状況なのが今の社会の状態。
ということで、そんな社会に対して言葉で明確に伝えようとするのがモチベーション革命という本の意味合いとなる。
好きなことを「Ikigai」にして生きるには?
「モチベーション革命」Kindle版、尾原和啓著、幻冬舎、好きを「生きがい」に変えていくの章より(Kindle版だとページ数が不定のため該当章で記載)
本では、好きなことを「生きがい」に変えていくという章があり、上記の図が掲載されている。
図では、Ikigaiというものを
- 好きなこと
- 得意なこと
- 稼げること
- 世の中に必要とされること
という4つの要素の交点という形で定義している。
多くの人がこれを実現させたいと思うのがごく自然のことだと思うのだが、そこに2つの勘違いがよく生まれてしまうという。
Ikigaiに関する2つの勘違い
それが「世の中に必要とされること」に関しての勘違いで、1つは何か世の中に必要とされることはやらなくてはならないという義務感というか脅迫観念とも言えるような考えを抱くこと。もう1つは、スティーブ・ジョブズのような世の中に劇的な変化を起こすくらいの大きなスケールで考えてしまうこと。
生きがいを感じようとしているのに、義務感や強迫観念を抱えて無理にやろうと思っているなんておかしな話だろう。後者に関しても、世の中といってもそこまで広く捉える必要はない。尾原さんの話のなかにあった「自分のまわり半径5メートル」の小さな範囲で十分。
半径5mというのは、例えば、昔、尾原さんはアフリカの神話を翻訳して売っていた(主語が誰だったか記憶があいまいなので、尾原さんではなく他の人だったかもしれない……)。かなりのニッチな分野でとても売れそうにはないのだけれど、好き人はいるようでコミケで売れたんだそうだ。
どうやってIkigaiを実現させる?
では、Ikigaiを実現させるためにはどうしたらいいのか? セミナーで話があったのは次の2つのポイント。
- 順番がある
- 価値の物々交換
Ikigaiを実現させるには順番がある
Ikigaiというのは「好きなこと」「得意なこと」「稼げること」「世の中に必要とされること」の4要素の交点というのが先の定義。それをいきなり実現させるのは至難の業なので、ステップアップしていくようなイメージで少しずつ4つの要素を交差させるようにするのがいい。
なかでも、最初にやるべきことは稼げるようになること。今の社会で生きていくにはお金は必須であり、お金なくして継続した活動はできない。そのためには打算的になることも大切なこと。
価値の物々交換
もう1つは価値の物々交換という考えを念頭に置くといい。モチベーション革命の本の中では「ありがとう」はその人にとって有ることが難しいことだからということが書かれているが、まさしくその話。
もう少し具体的にいうと、自分が相手よりも得意なことをやる場合は相手はより短い時間で得たい結果が得られるので、その分の価値が生まれるとういこと。相手はできないけど自分ならできることでも同じことだろう(できないことはゼロから学んで身につける必要があるわけでその分、時間がかかるとも言える)。
また、たとえ相手のほうが自分よりも早くできたとしても、あるいは同じくらいの時間がかかるとしても、自分にとって好きなことであれば相手が安いと感じる金額でも請けられるわけで、そこに価値が生まれる。好きなことなら時間がかかって割に合わなそうなことでもやれる。
やっていることが好きなことかどうかの基準は?
好きなことかどうかの基準はとてもシンプルでやっていて時間を忘れるかどうか。このあたりは楠木建さんの「好き嫌い」と才能という本がお勧めとのこと。
好きなことは没頭することにも関連がしそうだが、それに関しても話があった。
没頭は、やっているときには時間を忘れて集中していて特に幸福感や充実感はないものの、終わったときに幸福感や充実感を感じる傾向にあるんだそうだ。
ちなみに、ストレングスファインダーで判明する「自分の強み」の要素が没頭することに関連性があるんだそうだ。統計的に明らかになっているとのこと。なので、ストレングスファインダーをやってみると没頭できることが何なのかのヒントが分かるので、好きなことが何なんのか? も自覚できるかもしれない。
まとめ
まとめると、Ikigaiを追求していくにはボイントが2つあって、1つはいきなりIkigaiを構成する4要素の交点を見つけようとはせずに、順番を追って少しずつ近づけるのがいい。その際、最初は稼げることに着目する。もう1つは価値の物々交換という考えを意識すること。
また、Ikigaiの4要素の1つである「好きなこと」かどうかの基準は、やっていて時間を忘れるかどうかというのが1つ。没頭できることはストレングスファインダーで分かる強みに関連があることは統計的に明らかになっているとのことなので、ストレングスファインダーによって没頭できることが見つかり、結果として好きなことが見つかるということはあり得る。
感想と意見
個人の感想としてはモチベーション革命という本の意味は、まさに著者の尾原和啓さんが話してくださったとおりで、今まであいまいだったけれども言語化できていなかったことが明らかになったことにあると思っていたので、共感することが多かった。
もう1つ別な視点からモチベーション革命に関して書いたのがこちら。スモールビジネスの起業などの観点からはこちらにまとめてある。こちらは起業する人のメンタルの視点とサービス提供の視点の2つからまとめている。
「モチベーション革命」の書評・まとめと、小規模ビジネスの起業への2つの活かし方
「打算的」と、ある経営者の「利益」についての話
打算的になるというのは個人的にも共感できる。取ることだけを考えるのはどうかと思うが、利益を得ることは悪いことでもなんでもない。相手から取るだけの行為と利益を得るという行為は必ずしも一致するわけではないし。
それに、欲しいなら欲しいと素直に言うほうがそれを隠して取ろうとするよりずっといいと思うし、相手にも与えられる何かがあればGive&Takeだ。
ちなみに、利益に関しては誰かのメルマガか何かで読んだ話に利益のことについてある老舗企業の経営者の考えが書かれていたのだがとても良い話に思えた。それは、こんな内容。
利益という字の最後は「皿」。つまりは器。器が小さければどんどんこぼれてしまうけれども、器が大きければたくさん入れられる。だから、利益をどんどん追求すべき。自分の器を大きくする行為なのだから。
好きなことは追求するには
Ikigaiの図でもいいと思うが、個人的には世の中に必要とされているものと稼げることは近しいと思える。また、得意という観点も価値を提供する、つまりは稼ぐことに包含されそうな感がある。
なので、好きと提供価値の2つのベクトルをいかに合わせるか? をポイントとして考えている。2つのベクトルの方向が一致していれば幸運だけれどそうもいかないのが現実。なので、一致しない場合には、「なぜ、それがしたいのか?」ということを自問自答するといい。抽象度が上がって「自分は本当はこれがしたかった」ということが深掘りできる。そうやって角度を調整していくイメージ。