メルカリCPO濱田さんによる人工知能の話、メルカリのAI使用例と準備しておくべきこと
メルカリCPO(Chief Product Officer)である濱田優貴さんによる人工知能の講演を聞いた。
内容は人工知能の簡単な解説と、メルカリがどう人工知能を使っているかという話。
AIをどう使うか? という観点からの話で難しい話はなくシンプルで分かりやすいとも思えた。これからの人工知能時代に向けて今、具体的に何を学ぶといいのか、すでに活用できる人工知能の例など実践的な感があった。また、メルカリで具体的にどんなところに人工知能を活用しているかも分かり、面白かった。
講演の内容としては次の4つ。
- そもそもAIとは?
- AI時代に準備しておくべきこと
- 今日から使えるAI活用方法
- メルカリでのAI活用方法
目次
講演のスライド
ありがたいことにスライドを公開してくれているので、概要はこちらでつかめる。
これだけ見ても分かることは多いと思うが、口頭での話もいくつか交えてお伝えしたい。
そもそもAIとは?
AIの定義は? という話ではなく何ができるのか? という視点の話でどう使うのがいいかということが分かる。
AIの得意なこと答えがあるものに答え出すこと、というのが濱田さんの話。例えば、統計学で答えの出ること、分類することなど。ほかにも教科学習をして囲碁の手を生み出すなど。
そこからメルカリ濱田さんが考えるAIとは、意思決定のコストを限りなく0に近づける技術。なお、ITは情報流通のコストを限りなく0に近づける技術という考えだ。
ここでITが登場するのは第三次産業革命が情報通信で、第四次産業革命が人工知能やIoTなどの技術が鍵になるからだと思える
意思決定に必要な判断材料をAIが見つけてくれて、それを元にどう判断するか? を人間が決める。人間の意思決定を補助してくれるツールのようなもの。
人工知能がもたらす今後の社会とは?
ITが我々にもたらしたのは何かしたいと思ったときにすぐに行動に移せる社会でユビキタスな社会。今やスマホでいつでもどこでもつながれることを考えると納得がいくと思える。
では、この後にやってくるであろう人工知能がもたらす社会はどうなるか? それがアンビエントな社会と言われる。アンビエントな社会というのは自ら動く前に向こうからやってくような社会。
例えば、Uberはスマホを使って簡単に車を呼べる。いつでもつながっていて行動に移せる。
アンビエントな社会ではそれがさらに進化して、移動しそうだなとAIが判断したらビルの下に車が来ているような社会だ。
AIスピーカーが会議室にあって、そこを出たら自動的に検知して次の移動先にスムーズに移動できるように車の手配をする、というようなイメージ。
ちなみにAmazonではこの人はこのタイミングでこの商品を買うだろうと判断して、買う前に発送してしまうような仕組みを模索中だそうだ。
AI時代に準備しておくべきこと
人工知能を知るには機械学習に関して知っておく必要があるということで、今からでも遅くないので学んでおくといいという話だった。
例として挙がっていたのはこちら。
Udemy
【キカガク流】人工知能・機械学習 脱ブラックボックス講座 – 初級編 – | Udemy
Udemyのページより
Coursera
機械学習(スタンフォード)
Courseraの機械学習の動画はスタンフォード大学の講義で英語。だが、日本語字幕はつくし、無料でも見られるので見てみるのもいいかと思う。
今日から使えるAI活用法
今後、AIは誰でも使えるようになるというのは多くの人がそう思う未来だろう。実際、すでに使えるのはあるわけだし。
例えば、こちらは2017年に書いたもので、そのときからすでに使える。
今や人工知能を誰もが格安で使えるようになり、AIアナウンサーが月給約80円で“雇える”ように
エフエム和歌山放送が人工知能アナウンサー「ナナコ」を使って放送をし始めたというニュースがあった。「AIアナウンサー」年間1000円の衝撃(1/2) また、2018年4月からNHKのニュース番組「ニュースチェック11」にてニュースのヨミ子という人工知能のアナウンサーがニュースを読み上げることになるそうだ。Google
今回のメルカリの濱田さん講演にて具体例として話があったのはGoogleのCloud AultoML VisionやAutoML Translationというサービス(MLはMachine Learning〈機械学習〉の略)。
Visionは画像認識でTranslationは翻訳を自分たちの状況に合わせてカスタマイズできる機械学習のサービス。使い方はいろいろとあると思うが、工場で作るモノを判別したり、社内の専門用語をスムーズに翻訳できるようにしたりと人工知能を誰もが使えるようになっている。
具体的にどう使うかはこちらの動画の開始1分くらいから見られる(AutoML Visionの例)。
メルカリでの人工知能活用例
メルカリで実際にどんな場面で人工知能を使っているかがこちら。
- 出品のときに写真をアップロードすると商品名やブランドを自動入力
- 規約違反を事前検知(ブランド品のニセモノなど)
- 写真検索
- 価格推定
- 商品重量推定
- トラブル検知
スライドでは商品サイズ推定という項目があるが、これは間違いでサイズではなく重量だそうだ。アメリカでは配送のときに重量によって価格が変わることがあるようで、それで重量推定というのを入れているとのこと。
まとめ
人工知能は意思決定のコストを限りなく0に近づける技術というのが濱田さんの考えるAI。それを理解するためにも、また今後のさらなる人工知能時代に備えるためにも、機械学習を知っておくのがいい。
人工知能の時代は、先回りして提案や行動を促してくれるようなアンビエントな社会になる。また、人工知能はITと同様に誰でも使えるようになっていくもの。GoogleのAutoMLなどをはじめとしてすでに人工知能は使えるようになっている。メルカリでも画像判定を中心に人工知能を活用している。
といったところ。
人工知能もITと同じでどう使うかが大切になってくるなと思えた。