低資本の起業でもうまくいったビジネスアイデアの6つの例
「常識の壁をこえて ――こころのフレームを変えるマーケティング哲学」 ダン・S・ケネディ著、池村千秋翻訳、金森重樹監修、CCCメディアハウス(2005年)という本の中から面白いと思ったビジネスをピックアップ。アイデアと行動力次第でいろいろなビジネスが生まれるもの。
こんなのでも成り立つの? というのもあるので、新たなアイデアの種にでもなれば。
目次
少ない元手で起業・副業が始められる6つのビジネスアイデア
お金をあまりかけずに起業することは可能。サラリーマンなら、いきなり起業ではなく、まずはリスクを抑えて副業からはじめて徐々に大きくしていくということもできるわけだ。
そのヒントとなるような事例をここでは紹介したい。
朝の渋滞の道路でコーヒーを売り歩く
交通渋滞のひどい街として有名な都市の一つがアメリカのボストン。そのボストンでは、夏場の野球場の観客席でよく見かけるビールの売り子みたいな人がコーヒータンクを背負ってコーヒーを売り歩いているそうだ。
このビジネスはアメリカに限らずロシアにもあってHey! Coffeeというフランチャイズまで展開している業者がある。提供方法は、日本でもお昼時によく見かけるフードトラックのような車で近くに止めていて、そこから淹れたてを持ってくるという方法。
こちらの記事によると平均して1日200~300杯売れるとのこと。
On average, one Hey, Coffee! point serves around 200-300 drinks per day.
引用元: Hey, Coffee! St. Petersburg’s Roadside Traffic Jam Brew Hawkers
留守番代行
荷物の受け取りや家の内装工事だったり設備の修理などに立ち会ってくれるサービス。知らない人を家にいれるの? という人もいるだろうけど、アメリカだとベビーシッターがかなり一般的なようなので、受け入れられそうな気はする。
体ひとつあれば始められるので、個人でも簡単に始められるビジネスだ。
日本だと家事代行サービスが留守番代行も扱っているケースがあるようなので、そこに登録するなんて方法で実現できそうだ。
犬の散歩代行
代行つながりだと犬の散歩代行なんてのもある。これも個人ですぐにでも始められる。
ただ、自分が動いていては大変であり、規模拡大も難しい。前に記事を書いた気がするがメルマガだけだったようなのでここでも紹介したい。ただ、同じビジネスの紹介では面白くないので、こちらのSwfitoを。
こちらの動画を見るとどんなサービスかが想像がつくかと思う。
このSwfitoは犬の散歩代行で2013年に250万ドル(1米ドル100円として2.5億円)を資金調達した(こちらのTech Crunchの記事より)。
今のところ、ニューヨークでしかサービスは提供していないようだ。スタッフを厳選しているとか、GPSをつけていていつでも自分の犬がどこにいるか分かったり、排泄したら教えてくれたりと飼い主の不安を取り除く施策はいろいろとやられている。
ストッキングのデリバリーサービス
ストッキングが伝線してしまった……なんて経験は女性ならよくあることではないだろうか。そこに目をつけたある女性はストッキングのデリバリーサービスを起業した。
本には年商で1000万円は超えるとある。単にストッキングを売るだけなら利益率を考えるとそこまで儲けはなさそうだが、緊急性があるのとデリバリーしてくれるということで単価は高くできるだろうから、ある程度の利益率は確保できそうだ。
利用者はいつもは予備を置いているのにこのときはなかった……なんて人よりも、常日頃から備えのない人や滅多に起きないのにわざわざ備える必要もないという人、つまりは、日頃から備えていない人だろうと思える。なので、リピートの可能性が十分にありそうな気はする。
オーダーメイドの棚
カリフォルニアクローゼットというサービスは今でこそだいぶ大きくなっているが、創業者が18歳の頃に車1台で始めたビジネスだ。
大工仕事をしながら高校を卒業した創業者。ある日、近所の家の棚を作っていたときに、棚に入れてあるものを見てどうしたらスペースを最大限に活用できるか? ということを考えた。その後、大きく成長して150ものフランチャイズ展開をするまでになり、キッチン用品の大手企業に事業を売却したとのこと。
利用者の声と思えるものがあったので引用すると、サービスはこんな感じ。
頼んだのは、うちのウォークイン・クローゼットもデザインして作ってもらったCalifornia Closets-です。デザイナーの人が家まで来て寸法を測ってくれて、持ってきたラップトップに入っているソフト上でパチパチ入力すると、出来上がったイメージが3Dで見れます。すごいです。使う木の種類とか、アクセサリーとかも全部入力できて、そこで見積もりもできてしまうという優れもの。
引用元: カリフォルニア・クローゼットで特注本棚|とんぼ家族のNew York生活
ただの小さなゴムボール
グリップボールという商品がある。名前から特別なボールを想像する人もいるかもしれないが、実態はというとただの弾力のあるボールだ。それを1つ10ドル(1ドル100円で1000円)で売って年商500万ドル(1ドル100円で5億円)にした人がいる。
それをスポーツ関係の人やリハビリの必要な人には握力強化用、一般向けにはストレス解消という触れ込みで売ったそうだ。
本によるとアリゾナ州フェニックスで創立とのことなので、こちらのproinnovativeという会社だと思える。所在地はFacebookページ(https://www.facebook.com/pg/proinnovative/about/?ref=page_internal)に記載されていたが、今はページ自体がなくなってしまった。
proinnovative社のページによると、1991年に設立されたようだ。
ちなみにタダの石ころをビジネスにした2つの事例はこちら。1つは馬鹿売れした商品。もう1つはチャリティだが、それでもその辺で拾ったようなただの石ころを1000円で売るのはすごい。
1950年代、ソ連にて子供に対してある実験が行なわれた。 その20年後に”単なる石ころ”を売ってわずか半年で67億円も売った人物がやったことにも通じる実験である。同じく普通の石ころ1つを10ドルで1000個売った人もいるようだが、これもまた似たようなものだ。 一体、どんな実験をしたのか?旧ソ連が子供に実験をしたと聞くと、ちょっと怪しく思うかもしれない。が、そんな怪しいものではなく、子供たちをじっと立たせるために2つの言葉を投げかけたのである。 その結果、大きな差、具体的には5.5倍もの差が生じた。子供に投げかけた言葉の違いで2分間しかジッと立っていられなかった子供たちが、11分間もジッと立っていられたそうだ。
生存バイアスに注意
ただ、こうした例は生存バイアスがかかるので、注意したいところ。うまくいった例とは裏腹に失敗している例は山ほどある。どう考えても、思いつきでやったようなビジネスだとか想定外でお客さんが集まらずに淘汰されているケースのほうが多いと思う。
あくまでこんな発想があるんだということを知ってもらうことで、自分のビジネスでも何かしら良いアイデアが生まれたり、これでできるなら……と自信につながったりすればいいなと思って紹介しているにすぎない。
商売やビジネスのセンスがある人はどんどん突き進んでうまくやれると思うが、そうでないならアイデアと行動力と少しの知識が必要だ(最も必要なのはお金を払ってくれるお客さんだけれど)。
まとめ
ということで、いろんなビジネスが世の中にはあるもの。生存バイアスを考えると、うまくいったものだけが残っているだけで淘汰されているのは山のようにはあると思う。
ただ、前述のとおり、こうしたビジネスがあるということを知っておくと、何かしら自分で起業する副業を始めるなど、ビジネスを立ち上げる際のアイデアに役立つことはあるはず。アイデアは既存の要素と要素の組み合わせなのだから。
なお、今回の例はこちらの「常識の壁をこえて ――こころのフレームを変えるマーケティング哲学」 ダン・S・ケネディ著、池村千秋翻訳、金森重樹監修、CCCメディアハウス(2005年)をもとにしているので、気になる人はどうぞ。