なぜ、新幹線車内販売のトップ売り子は常人の7.2倍も売れるのか?

なぜ、新幹線の車内販売のトップ売り子は常人の7.2倍も売れるのか?

新幹線に乗ると、車内販売の職員(たいてい女性)がワゴンを押しながらやってくる。最も売れるのはコーヒーらしいが、弁当や土産、酒、つまみなどいろいろと売られている。どんな業界にも卓越した人がいるもので、新幹線の売り子で記録を持っている人がいる。どのくらい売ったか想像がつくだろうか?

新幹線に限らず、特急券が必要な電車には売り子がいるので、あなたも一度は目にしたことがあるはずだ。私は、子供の頃にジュースが300円することを知って「なんて高いんだ・・・!」と思って以来、どうもコストパフォーマンスが悪いとしか思えずほとんど買わない。

なので、個人的には、あまり売れ行きがいいようには思えないのだが、あなたはどう思うだろう?

ちなみに野球場の売り子がどれだけ売っているか?トップの売り子が何をしているか?はこちら。
ビールの売り子は野球場でどれだけ売るのか?トップはどうやって売っている?| IDEASITY

新幹線における車内販売で売上日本一となった女性

茂木久美子さん
画像:講演依頼.com

新幹線といってもいろいろな路線があるが、山形新幹線の売り子さんですごい人がいた。わずか4時間という短い時間内で、常人の7.2倍もの金額を売った女性がいる。その人は茂木久美子さんという方。茂木さんは、山形新幹線にて売り子をやっていたとき、講演依頼.comのプロフィールによると、わずか一往復半で53万円も売ったそうだ。

平均でどれくらい売れるもの?

おそらくあなたも新幹線、もしくは特急料金のかかる特急列車には乗ったことがあるだろうから、車内販売がどんなものかは分かるはず。あの売り方で一体どうやって53万円も売るのかと思うと、驚きとしかいいようがない。

ちなみに、売り子さんの平均は一往復で7万円~8万円だそうだ。ということは、一往復半なら平均で10.5万円から12万円ということになるので、平均の4.7倍売ったことになる。

最高記録は・・・

さらに、その後、山形の新庄から東京までの片道だけでなんと54万円を売り上げた講演依頼.comのプロフィールより)。この日は旧モデルの車両が最後の運行ということでイベントだったそうで通常よりも売れ行きは良かったらしい。それでも、茂木さん以外の7人の売り子さんの平均は7万円から8万円。まったく同じ環境で、違うのは人だけという条件下で、7倍近い差があったのである。7.5万円を平均とするなら、7.2倍もの売上だったということ。

なぜ、同じ条件下で、しかもたかだか4時間という短い時間なのに、これほどの差が生まれたのか?

ちなみに通常、山形の新庄から東京までは3時間半程度。最高売上を達成したときは、古い車両の引退記念イベントでちょっと長い時間だったそうだ。

なぜ、同じ条件下なのに売上に7.2倍もの差がつくのか?

茂木さん曰く、売上を上げるポイントは以下のとおり。

  1. 方言を使う
  2. 商品+α(クロスセル)
  3. 積極的に声かけする
  4. お釣りを予測して渡せるようにして時間のロスをなくす
    お釣りに使う硬貨を右ポケットは100円と500円、左ポケットは10円と50円というようにすぐに出せるようにしていた
  5. 普通の人が3往復するところを、7往復する
  6. お客さんによって接し方を変える
     例:ビジネスパーソンにはコーヒーを勧め、観光客には銘菓を勧める

など。

テクニック、やり方より重要なこと

テクニックが重要だということではなくてポイントは、お客さんと一緒に素敵な時間を過ごせたら楽しくなるという茂木さんの想いにあるのだろうと思う。

テクニックとして使っているのではなくて、お客さんと楽しく過ごそうという想いがあるから、結果として方言を使ったり、積極的に声をかけたりしているではないだろうか。

ちなみに、茂木さんの話を聞くと、方言でしゃべるようにしたのは、観光で山形に向かう人は、地元の人の声・情報を知りたいと思っているということが分かったからだそうだ。

最初は方言を使うのは恥ずかしくてイヤだったけれども、それが求められているということが分かったから方言を使うようになり、肩肘張った状態ではなくなり、より自然体でお客さんと接することができたそうだ。

卓越した結果を生み出した理由

茂木さんのやっていたことを見てみると、お客さんの声や反応をもとにしていることがわかる。

茂木さんの話をもとに思ったポイントは、かぶるところが多いが、

  1. 茂木さんの話のとおり方言をしゃべるから地元の人、つまり地元の情報に詳しい人だと思われる。そのため、いろいろと話を聞きたいと相手に思われる
  2. 自然体で接してくれるので、話しやすい
  3. 自分に合った提案をしてくれるので、売り込みではなく、ありがたい存在
  4. 普通の人よりも往復回数が多いため、お客さんが茂木さんを目にする機会が他の人よりも多く、単純に販売の機会が多くなる
  5. 接触回数が多いほど信頼性が増すので、他の人よりも指名されやすい

というようなことがあって他の人よりも売れるものと思う。

お客さんのいうことに耳を傾けて、お客さんのために行動する、これは何のビジネスにおいても必要なことだなと思える。

まとめ

茂木さんの話で分かるのは、何かを売るというのは無理してでも買ってもらおうとする必要はないんだということ。しっかりお客さんのことを考えられれば、クレームになることもなく、逆に喜んでお金を払ってくることとだってある。

自分でビジネスなんてやったことがないという人は、売ることに抵抗を持つ人もいる。とりわけ、私のように営業なんて絶対やりたくないと思っていたような人など。一番の理由は、拒絶の恐怖だったり、無視されるのがイヤだというようなことだろうと思う。

思うに、焦点が違うから行動に差が出て結果にも差が出るんだろうなと思える。売るのがうまい人は、人に喜んでくれることを先に考え、売るのが苦手な人は、自分が拒絶されることを先に考えてしまう。喜んでもらうためにどうするかと考えてウキウキしている人と、拒絶されないためにはどうすればいいかを考えてストレスを抱えている人とでは、差が出るのは当然だというわけだ。

ところで、野球場でビールなどを売る売り子がどうやって売っているか?どれだけ売るのか?はこちら。
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