価格の実験結果から分かる高額が良い理由と価格の決め方

価格の実験結果から分かる高額が良い理由と価格の決め方

これから起業しよう、ビジネスを始めようと思っている人によく聞かれることの1つが価格の話。どうやって値段を決めたらいいのか分からない、どれくらいが適性なのかが分からないといった類いの話だ。

今回はどうやって商品やサービスの価格を決めたらいいのか? ということをある実験結果とともにお伝えしたい。

アメリカにて行なわれた価格に関する実験の内容は「お金が薬の効果に影響を与えることはあるのだろうか?」ということだった。

お金が薬の効果に影響を与えることはあるのか?

この実験はプラシーボ効果に関係する実験といえる。人の思い込みだけで病気が良くなってしまうという、あの現象である。単なる砂糖の塊を医者から薬だと言われて飲んだら本当に良くなってしまった、なんて話は聞いたことがあるはず。

では価格だけを変えて成分は全く同じ薬を患者に飲ませたときに薬の効果にどのくらい影響はあるだろうか? これを実験したのが、予想どおりに不合理 という本でも有名なダン・アリエリー氏。

余談だが、この本は非常に面白いので一読をお勧めしたいところ。うまくビジネスに活用できる部分はたくさんある。今回の価格の決め方もそうだし、値段を見せる順番も次第で高い、安いの印象が変わってしまうとか、商品やサービスの選択肢をどうするかのヒントがあったりと何かと役立つ※。

※誤解を招きそうなので補足しておくと、別に小手先のテクニックでどんどん売ろうという話をしたいわけではない。今回の話にも関わってくるが、自分にとってもお客さんにとってもお互いにプラスになることがあるのに知らないだけで使わないのはもったいないよね? という感覚があるから。

価格と効果の実験はこうして行なわれた

その実験は2段階に分けて実施された。

第1段階
最初、正式な薬を投与するグループと擬似薬を投与するグループに分けて実験を行なった。その結果、プラシーボ効果が証明され、擬似薬であっても効果があったという人が数多く現れた。このとき薬の価格は1つ2ドル50セントと伝えていた。

第2段階
そして、次の実験も同様な形で実施した。ただ1点、薬の価格を変化させた以外は。最初の実験では薬の値段は2ドル50セントですと伝えたが、第2段階の実験では大幅に価格を下げて10セントと伝えたのである。

気になる実験結果は・・・?

すると、結果はどうなったか?

薬の値段を変えて実験をした結果、そこには有意な差が生じた。つまり、薬代として高い金額を払ったグループのほうが、そうでないグループよりも薬の効果が高かったのである。しかも、その差は2倍……。

では、あなたのビジネスでは商品の価格をどうする?

あなたのビジネスでは商品の価格をどうする?

この結果を考えると、自分の扱っている商品も薬の場合と同じように価格によって効果が変わる可能性がありそうだ。

なので、

  • 自信がないから価格を上げられない
  • そんな高い値段では売れない(価値を感じてくれない)のでは?
  • 高く売るのは悪いことなので安くしないと……

ということは、あまり得策ではないかもしれない。

自信がないからこそ、価格を上げてお客さんにより満足してもらえるようにする、ということも実はあり得るということが考えられる。

値段は安いほうがいいは誤り

どうせ買うなら安いほうがいいというのは必ずしも正しくはない。たいていの場合は安いのに越したことはないのだが、例えば、お祝い品・お祝い事や記念品などはそうとは限らない。

知り合いに結婚指輪を売っている人がいる。彼はもともと安い価格で売っていたのを一気に値上げした。すると、より売れるようになった。具体的な価格は忘れてしまったが、10万円しない結婚指輪を30万円などにしたらそのほうが良く売れるようになったとのこと。指輪の素材や作り方は変えていないのにもかかわらず。

ということは価格を上げた分だけ利益になったいうことになる。お客さんも良い買物をしたと満足する。提供側もお客さん側も嬉しさが増えるわけで、お互いがプラスになることになる。

何でもかんでも経済合理性では動かないのが人間。高いほうがきっちりしていると思ったり、記念になるものをケチるのもちょっと……とか安いのは相手に悪いとかいろいろな心理が働くわけだ。

商品やサービスの価格はどうやって決める?

値段をもっと高くするか、と考える人もいるかもしれないし、やっぱり自信がないから安くしないといけないのでは? と考える人もいるだろう。

そこで、次の2つの価格設定の目安を紹介しておきたいと思う。

価格を決める2通りの目安

価格を決める2通りの目安

大きく2つある。

  1. 競合の価格を考えて決める
  2. 原価から計算する

それぞれについては以下の通り。

競合の価格を考えて決める

同じような商品なのに競合と比べてあまりに価格差があると売れにくい。納得いく理由があれば別だが、高すぎるのはもちろん、安すぎても売れない。5分の営業電話から分かった3つのビジネス成功の秘訣という記事でも書いたとおり、購入には納得できる理由が必要。

原価から計算する

原価はもちろん、広告費やら人件費やら、いろいろと経費がかかるなかで、利益を確保しないとビジネスにはならない。なので、原価を元に計算するという方法もある。個人が小さくビジネスをやるようなモデルなら、利益をちゃんと残すには原価率は20%くらいに抑えたいところ。もちろん、ケースバイケースだし、リピートが期待できるのならこの限りではないが。

別に安くしてもいいけれども事業が継続できなければ意味がない。継続的に価値を提供するからこそ意味があるものだし、一方的に犠牲になってもしょうがない。

まとめ

いずれにしても誰もピッタリの値段なんて教えてくれることはないし、人によって高い安いは変わるもの。価格を最終的に決めるのはビジネスをやっている、あなたであることは言うまでもない。

スポーツ関連のビジネスをやっている知り合いは一般的な価格よりも2倍、3倍の価格で売っているが、どんどん売れている。そこには戦略や戦術、やり方の工夫はある。0か1かで捉えられると問題なので一応補足しておくと、どんなものでも確実に売れるわけではない。それで起業して10年近くやっているので継続性のない一過性のビジネスではないと言えるだろう。高くても売れるものは売れるということだ。

価格に関してはこちらもどうぞ。

なぜ、2倍の値段のする醤油を買ってしまうのか?価格に潜む心理

自分でビジネスを始めようとしたとき「安くしないと売れないのでは?」と思う人は多い。安くしすぎると、利益は当然、減るので、値決めで迷いが生じてしまうケースだ。 価格に関しては、こんな経験があるので、それをもとに話を進めたい。 値段の重要性を改めて知った買物

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