なぜ、起業するなら商品を用意する前に先に売るといいのか?
起業したい、何か自分でビジネスを始めたい。でも、どんなプロセスで始めたらいいか分からない……。なんて人は多いだろう。何せ、義務教育じゃ起業の仕方、ビジネスの作り方なんて教えてくれない。
ということで、ビジネスを生み出していくプロセスの1つを簡単にまとめてみた。
目次
新規ビジネスの構築プロセス
新規ビジネスをどうやって立ち上げたらいいのか?その答えの1つはこうだ。
- 企画する
- お客さんを集める
- 売る
- 商品をつくる
- 商品を提供する
これをネット上でやるとこうなる。
- 企画する
- 商品・サービスの販売用ページをつくる
- 販売用のページに人を集める(販売も兼ねる)
- 商品を用意する
- 商品を提供する
これが唯一の正解とはいわないが(そもそも、そんなものはないけれど)、1つ言えるのはこれで立ち上がったビジネスはたくさんあるということ。
もしかしたら4.の位置はもっと前で先に商品を作ってから売るのでは?と思うかもしれないが、これでいい。それはこんな理由があるから。
商品・サービスは完璧に用意してから売るのではなく、売ってから用意する
まず断わっておきたいのは、これは必ずしも先に商品やサービスを用意する必要はないという意味だということ。なので、常に先に売れという話ではない。すでに商品があるケースだってあるわけだし。
また、商品を用意する前に売ってしまうというのは、いい加減にやっていいということでもない。
ただ、「商品やサービスがなかったら売れないのだから、まずは商品・サービスを用意しなくてはダメだ」なんてことはないのは確か。ある程度、出来上っていれば十分なケースはあるし、構想や設計だけができている状態でも構わない。
何もない状態から売って後から商品提供する例なんていくらでもある
例えば、新築マンション。できあがる前に買っていないだろうか?もちろん、設計はできているのでまったくゼロの状態から売るわけではないけれども、物理的な部屋そのものは何もなくても売っているし、買う人も多数いる。
あるいは、誕生日ケーキなんかもそうだろう。ケーキは作り置きができないし、注文を受けていきなり作るわけにもいかない。なので、普通は事前に予約を受けてからつくる。そして、先に代金をいただいた後で引き取るケースも普通だろう。
何かのセミナーや講演会、習い事教室なども同じだろう。先に受け取って、商品提供日までに準備できれば何の問題もない。このような例は他にもたくさん挙げられるものと思う。
なので、必ずしも先に商品やサービスを売れる状態で用意しなくてもいいと言えるということだ。
先に売ってしまう場合のポイント
先に売る場合のポイントは、売ったときにちゃんとお金をいただくこと。完成まで待ってからお金をいただくのは基本的にNG。理由は、後になって買ってくれるとは限らないから。そのときに売ってお金をいただくのが基本。
こういうと抵抗がある人が少なからずいる。おそらくは、売上至上主義とまではいかないまでも、無理に売っているとか考えてしまうからだと思うのだが、そんなことはない。
そもそも何かビジネスをやるということはそれ相応の価値を提供できると思っているからに他ならないはず。そうでないなら自らビジネスをやる、つまりは価値を提供してお金をいただこうとしているのに、ろくでもないものを売るという認識があるということだからおかしな話だ。
価値を与える自信を持って売るのがその商品・サービスであり、タダであげるのではなく売るわけだからお金をいただくのは当然。ただ、提供する時間が後ろになるだけの話。マンションを売るのと一緒だ。
自分がどう思っているかが肝心。
なぜ、商品を用意する前に売ったほうがいいのか?
理由は2つ。
1つは、初めから“完璧な商品”なんてつくれないから。もう1つは、明確なデッドラインが決まって締め切りの効果をうまく使えるから。
初めから完璧な商品なんてつくれない
そもそも完璧な商品なんて作れないとも言えるが、ここで言いたいのは、品質を決めるのは自分ではなくお客さんだということ。だから、買ってくれたお客さんの声をもとにブラッシュアップするのが、良い商品やサービスを作るうえでの最短ルートとなる。
だからといっていい加減にやるということではないのは言うまでもないこと。自分の中でやれるところまでやったら後はお客さんに聞きなさい、そのためには売ってみなさいよ、ということ。そして、後からドンドン修正していくわけだ。
こうした考えは、ソフトウェアの世界では顕著だろう。アップデートは頻繁に行なわれる。不具合が見つかったからそれを直すなんて日常茶飯事。
先に商品を用意しようとするのは品質低下につながるかも
逆に考えると、自分の考えだけで良いものをつくるのには限界があるということ。もちろん、限界まで良いものを自分の中で考えることはするのだけれど、それを過信してしまうと、むしろ品質低下につながる怖れもある。
例えば、ワープロソフトなどで、箇条書きにしようとしたら勝手に番号がつくとか、余計な機能で腹立たしくなったことはないだろうか? ユーザの声を聞いていないとは言わないが、親切でつけた機能が仇となることもあり得るということ。
iPhoneみたいな革新的な商品を生み出すのが目的なら話は別だが、失敗のリスクを抑えて起業したいなら他人に受け入れられるものを商品にするのが鉄則。すでにニーズがあるなら売れるのは当然だから。
※ニーズに関してはこちらもどうぞ。
成功する起業のビジネスアイデアを生み出すために役立つ5つの視点| IDEASITY
先に締め切りを決めるからやれる
ビジネスがなかなか進まない原因の1つとしてよくあるのが、ダラダラとやってしまうこと。自分がやりたいことを自らの意思でやるということは、強制力がないという側面がある。だから、外的な締め切りがないと、なかなか進まないのは普通のこと。
先に売ってしまって納期まで決まってくるとなると、プレッシャーがかかるので避ける人は多そうだし、不安が大きくなる人もいるだろう。ただ、やってみたら分かるが、意外となんとかなるものだ。パーキンソンの第一法則、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」のように、結局ギリギリになるのが人間。
もちろん、何とかならないこともあるけれども、そのときは交渉したらいいし、納得いかない人には返金したらいい。ただ、当たり前だが、これは初めから無理し過ぎるとか、いい加減でもいいから先に進むという考えではない。自分をコントロールするための手段。
まとめ
ということで、起業してビジネスを始めるなら、とりわけ我々のようなリスクを抑えてスモールビジネスをやる場合は、商品の用意よりも先に売ってしまうのがいい。
対象の商品によるとは言えるが、商品やサービスはある程度考えておく、あるいは最低限の価値が提供できるレベルでとどめておいて、売ってからお客さんに合わせて変化させる。
そうすると、早く良い製品をつくれるというわけだ。リーン・スタートアップというスタートアップの界隈で聞く概念は、こんな感じでやるようだ(その前からそう教えてもらっていたので、後から知った)。