なぜ、2倍の値段のする醤油を買ってしまうのか?価格に潜む心理

価格の決め方

自分でビジネスを始めようとしたとき「安くしないと売れないのでは?」と思う人は多い。安くしすぎると、利益は当然、減るので、値決めで迷いが生じてしまうケースだ。

価格に関しては、こんな経験があるので、それをもとに話を進めたい。

値段の重要性を改めて知った買物

先日、家路についていたら、ふと醤油がなくなってきていたのを思い出した。それで、帰りに近所の某スーパーに寄ることにした。

店に入り、醤油売り場に到着すると、たくさんの醤油が並んでいた。醤油にこだわりはないので、安い醤油を探していたところ、キッコーマンの醤油が目に入ってきた。値段を見ると250円。そのすぐ脇にはそのスーパーのPB(プライベートブランド)の醤油が置いてあった。値段を見ると、120円。

同じ濃い口醤油で量も同じなのに250円と120円。私はコストパフォーマンスを重視する傾向があるので、

「これは安い! PBを買う!」

ということを思いそうだが、そうではなかった。思ったのは、

「なんでこんなに差があるのか?」

ということ。醤油なんて見た目で善し悪しが分かるわけがないので、成分はどうだろうかと思って見てみると、ほぼ同じ。

あなたは、どちらの醤油を買うだろうか?

250円のキッコーマンの醤油と120円のPBの醤油。あなたならどちらの醤油を買うだろうか?

私が選んだのは、キッコーマン。ちなみに、さっきもお伝えしたとおり私はコストパフォーマンスを重視する。なので、高級志向で高いのが好きということは一切ない。キッコーマンのファンでもない。ヤマサでも、ヒゲタ醤油でもいい。

では、なぜ、高いほうを選んだのか? 理由は

「いくらなんでもおかしくない?」

と思ったから。

成分がほぼ一緒で値段が倍も違うということは、原料の質が粗悪なのでは? と思ってしまったわけだ。もちろん、企業努力でコストダウンに励んだ結果ということはあり得る。自分が無知なだけで本当に良いものを安く提供してくれているのかもしれない。実情はどうか分からないが、私はPBの醤油を選ぶことはなく、さらにはその店のPBそのものの印象も悪くなった、というのが結果。

人は価格に理由を求めている

今回の件に関して思うのは、価格についてはポイントが2つあるということ。

人には買う理由が必要ということ

250円と200円くらいの差ならPBを買っていたかもしれない。PBなら安くなりそうだから同じ成分なら安いのでいいや、と。

だが、さすがに倍も違うとなると……理由がないと怪しいと思ってしまう。我々は直感的に物を買うことも当然あるけれども、その商品を選ぶ理由が重要ということだ。

「なぜ、こんなのにも安いのか?」

という理由が明示してあって、それに納得がいけば買っていただろう。

この価格の理由が明示してあるというのもポイント。納得のいく理由があっても相手に伝わらなければ、ないのと一緒なので。

価格には感情が含まれる

もう1つは、値段には感情が含まれるということ。人は感情の生き物という話はよく聞く話。これは値段にも言える。今回の醤油の例なら「信用」が含まれていると言える。この値段なら、まともなものだろう、と。

ブランドものの高級バッグ

他にも、ブランドものの高級バッグなどはその典型だろう。某ブランドの一部の商品は、皮のように見えて実は塩ビからできている。それでも、高いお金を払って買う人が後を絶たない。

ブランドを所有している優越感などが値段に入っている、と考えていいだろうと思う。おそらく異常に安くなっていたらたとえ本物でも、パチモンだと思われてしまってかえって売れないものと思う。

プレゼントや記念品

恩師にプレゼントしたいなんて場合に安いのなんて送れない、と思う人は多いのではないかと思う。安すぎると

「これ、贈って大丈夫かな……・?」

なんて疑念が生まれかねない。

全く同じ物でも・・・

あるいは、こんなことも。知り合いにランドセルを売っている人がいる。彼の売るランドセルは大手スーパーなどで買えば、同じ物が安く買える。通販なら、価格.comを見たら同じ型番のランドセルの最安値を探せる。それでも、彼の売る値段の高いランドセルはバンバン売れる。

なぜなのか?

それは、ランドセルを買う両親、祖父母の気持ちを汲んで情熱を持って販売しているから。この人から買いたいと思ってもらえているからだ。ランドセルという「物」だけを売るのではなく、子供に対する愛情の形としてのランドセルを売っているのだ。

子供のために一所懸命にランドセルを選んでいる親や祖父母は、情熱を持ってランドセルを扱う人から買うことに意味を感じる。ランドセルを買うという行為にストーリーがあり、思い出の一部だから。

こだわりある人が安売りしていたら「なんでそんなに手間をかけているのに、その値段?」と思ってしまうのではないだろうか?

まとめ

ということで、あなたがビジネスをするのなら、なぜ、その商品はその値段なのか? という理由が明確になっているといい。

「なんでこんな値段なの?」

と、お客さんが疑念を抱いてしまうと、納得する理由がない限り売れにくい。そして、それをきっちり伝えることも重要。せっかく納得いく理由があっても、お客さんに伝わらなかったらないのと一緒だから。

また、値段には感情が大きく関係してくるということ。単に安ければいいというわけでは、ないんだということ。むしろ高いことがお客さんのためになることだってある。

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