無名の主婦の手作りバッグが1万円以上で売れる理由、ハンドメイドで起業するには?
好きなことをビジネスに、といっても人それぞれいろんな好きがあるもの。中には何かを作ることが好きな人もいて、先日、アンケートに答えていただいた方の中に、ハンドメイドのビジネスは成り立つか?というような質問をいただいた。ということで、今回はそれについて触れてみたい。
質問の答えとしては、実際にハンドメイドの商品を売ってビジネスとして成り立たせている人がいるので、答えは成り立つといえる。
といっても、ハンドメイドをビジネスとして成り立たたせるためには、当然ながらお金を払って商品やサービスを買ってくれる人がいるかどうかが必要だ。
では、数ある製品の中から自分の製品を選んでもらうためには、頭を使う必要があるだろう。
そのためには、どうしたらいいのか?
目次
腕がよくても高品質でも売れないケースの共通項と対策
現実を見たら名の知れていない人(質問していただいた方が名の知れていない人かどうかは知らないけれど)のハンドメイドの商品がポンポン売れるようなことはそうは起こらない。
売れない一番の原因はそもそも知らないということ。無数の製品の中から見つけてもらうだけで一苦労なのが現実。
品質が大切なのはもちろんだが、よくあるのが腕がいいのにお客さんが来ない、物が良いのに売れないというケース。品質やデザインが重要なのはもちろんそうなのだが、売るための努力をしないと売れるようにならないのが普通。
実際、工夫次第では売れるようになることもあるし、行動を続けていたらブレイクするようなこともある。
無名の人でも売れている例
例えば、ハンドメイドのバッグが1万円以上で売れることだってある。ブランドも何もなく、普通の主婦の人がつくったものであってもだ。また、女性の大工さんがDIYのノウハウをブログで公開していたらヒットした例もある。
無名の主婦の作った手作りバッグが1万円以上で売れる理由
有名でもない普通の主婦が作ったバッグが1万円や2万円という高値で売れている。なぜだろうか? 見た目は普通のバッグであり、特殊な材料を使っているということもない。
では、何がポイントなのか?
お客さんとして見ている人が違う。彼女が売っているのはお受験用のバッグなのだ。
有名な小学校や幼稚園に子供を入学させるには、受験が必要になるわけだが、その際、子供に持たせるバッグは手作りバッグでないとダメらしい。しかし、すべてのお母さん方が裁縫が得意で子供のためにバッグを作ってあげられるとは限らない。あるいは、そんな時間はないという人もいるだろう。
そこで、手作りバッグの需要が生まれるというわけだ。もちろん単に受験用と謳っているだけではなく、例えば刺繍を工夫するとかして受験用に適したような形で販売している。
人口千人の町の女性がDIYで有名に
ハンドメイドとはまた別だが、こちらに書いたアラスカのさんは女性の大工はDIYのブログを書いていたらブレイクした人だ。
アラスカに住む女性大工さんのブログが330万PV超え!
PVで月300万あれば、Google AdSenseの広告を貼っているだけで月に100万円くらいは入ってくるだろう(日本だとだいたいPVの40%くらいにはなるので)。
物を売るというわけではなく、ノウハウを伝えることで話題になった例なので、必ずしも何か製品を売らなくてはならないというわけではないことが分かる。
ハンドメイド作品の販路を広げるには
いくら良いものでもそれを知ってもらわなければ売れないというのは先に書いたとおり。店舗経営者の方の話をよく聞く機会があるのだけれど、店を構えればお客さんは来るだろうとか、腕さえ良ければ……と思っている人は本当に多い印象だ。
お客さんを明確にする
では、どうしたらいいのか? というのは先ほどの例からも分かるように1つはお客さんを明確にすること。漠然と作品を作るのも構わないけれども、商品として考えるなら誰のためのものか、別な言い方をするとどんなニーズにあった商品かを明確にしないと売れにくいもの。
目に触れる機会をつくる
お受験用のバッグとまではいかなくても、できるだけ多くの人に知ってもらうことでファンができる可能性はある。その人の実力次第だろう。
そのためにも、どうやってお客さんに見つけてもらうかが大切。例にあった女性の大工さんのようにブログを書くなりなんなりして見つけてもらうことはもちろんだが、他にも、マーケットプレイスを使うという手もある。
マーケットプレイスというのは、売りたい人と買いたい人が自由に参加できる仕組み。Amazonマーケットプレイスなんてのもあるが、あれは何かを売りたい人(企業とは限らず個人も)がAmazonという人の集まるシステムを活用して商品販売ができる仕組みだ。ヤフオク!とかメルカリなんかも同じようなもの。
それのハンドメイドに特化したものが2005年にアメリカで登場したEtsyであり、日本だとCreema(クリーマ)、minnne(ミンネ)などがある。他にもいくつかあるので、こうしたところを利用するのは1つの手だ。受注販売をしているケースもあって在庫を抱えないようにしている人もいる。
Etsy
Etsyは先駆けとも言えるハンドメイドのマーケットプレイス。日本進出は遅れたけれども、世界に広がっているということは、世界にも売れるということ。
実際、海外の人もたくさんいるし、日本から海外に発送します、という人もいる。ちなみに海外発送はFedExとかUPSを使うと高いけれども、EMS(国際郵便)を使うと比較的安くなる。
料金制度は、Etsy公式サイトによると、登録料や月額の料金はかからないが、1つ出品するのに0.21米ドル(ドル単位なので為替の影響がある)がかかる。出品は4ヶ月有効ということなので、要は4ヶ月たったらまた登録するのにお金がかかるということと読み取れる。売れたら取り引き手数料として3.5%がかかる。
Creema
Creemaの料金は公式サイトによると、3ヶ月単位の売上高で決まる。基本手数料が12%で、たくさん売ると9.5%、8%と安くなる。出店や出品にはお金はかからない。
なお、2016年の7月から台湾版と香港版ができたそうだ。
minne
minneの料金はminne公式サイトによると、売れたときに10%がかかるだけで、他はかからないそうだ。よくある質問を見ると、今のところ海外在住の人は買えないので海外には売れない。
まとめ
ということでポイントはどんな人をお客さんにするのか? ということと露出かなと思える。
趣味ではなくビジネスにするなら、「自分の作りたい物=お客さんが欲しいもの」になればいいのだけれど、そうならなかったなら相手に合わせて作らないと売れない要素は大きい。
自分はこうだと思うけれども、売れるのは別なものというのであれば、お客さんに合わせた方が売れるのは当然だ。だからどんな人をお客さんとしているか? がポイントになる。
自分の感性を出すのは芸術であってビジネスやデザインの世界とはまた別物ではないかと思う。一流のデザイナーは見た目の良いキレイなのを創るだけではなく、実用性も兼ね備えているもの。つまりは誰が使うのか? を意識しているということだろう。
と言いつつも、やりたいことならどんどんやってみるのがいいのでは? とも思える。忙しいとなかなか時間は取れないとは思うけれども、好きなことなら続けやすいし、時間を取ろうという気にもなるはず。
もし、うまくいかなかったとしても、やりたいことをやれているのならそれでいいだろうし、うまくいったらなおのこといい。それに続けていればチャンスはある(漠然とではなく、考えながらではあるけれども)。