ランサーズ秋好さんの本「超集中ハック!」の書評とハックの効用、習慣化の秘訣
ランサーズの創業者、秋好陽介さんの本「超集中ハック!」を読み、セミナーイベントで直接話を聞いてきたことをまとめる。
本の最初にも書かれているとおり、こちらのTwitterの投稿に書かれていることがメインであり、その実現のためにさまざまなハックがあるといっていいくらい。
仕事を3つにわけ、自分本来の仕事に集中する方法
①自分にしかできない、自分がやるべき仕事
②自分がやるのがいいけど、他の人でもできる仕事
③自分がやるべきでない仕事の3つがあり、多くの人は②に80%費やしている。
①を80%にしたら、見える景色が180度違って見える。1日1440分の連続断捨離
— 秋好陽介@ランサーズ (@AkiyoshiYosuke) February 2, 2019
ハックは100個あって人それぞれ響くことはありそうなので、読んでみて響くことをやってみるのが良さそうだ。
ここでは、
- なぜ、秋好さんはこんなにも「ハック」にフォーカスするのか?
- セミナーイベントで紹介のあったハック
- 個人的に気になったハック
- どうやってハックを習慣化するのか
といったことをまとめる。
目次
なぜ、秋好さんはこんなにも「ハック」にフォーカスするのか?
ハックを重視するのは最初に書いたことの実現に役立つからというのはある。そのためにも、使える時間を重要なことによりたくさん割けるようにすることが重要になる。
それに役立つのがハックというわけだ。例えば、ハックの効用として大きいのが意思決定のコストを減らせること。
本にも書いてあるとおり、秋好さんは同じ店の同じ人から服を買い、何を着るかもだいたい決まっている。服を選ぶという意思決定から解放されていると言える。イベントでは朝食にはプロテインという話をしていたが、食べることに対する意思決定のコストも減らせている。
ハックが習慣化すれば意思決定のコストが減らせる
あらかじめ決めて習慣化していることがあると、意識的に何かを決めることが減って意思力をとっておける。とっておいた意思力を自分にとってもっと重要なことに割くことができれば、より有効な時間の使い方ができる。
ちなみに秋好さんがハックに関心を強く持つようになったのはランサーズを創業してからだそうだ。創業から5年くらいたち、スタッフが30名くらいになったときに辞める人が出てくるなど問題が顕在化してきた。
ハックの生まれた経緯
秋好陽介さんの書いた図。死の谷が何度かありそこを乗り越えたときに振り返ることでハックができていった。
スライドに「死の谷」とあるようにかなり厳しい状況下に置かれた時期。そうした時期にはハック云々という余裕もなく必死に危機から脱出することに集中して復活した。
「死の谷」というのは、例えばこんな状態のとき。社員が30人になっきたときに「今まで辞める社員がいなかったのに急に辞めだすとか、うまくいっていた事業のはずが急に売上が下がるとか、非常に苦しい時期。
そうした死の谷から抜け出したあるとき、振り返りをするようになったそうだ。
なぜ、うまくいかなかったのか?(死の谷が来たのか)
死の谷で諦めてしまう人も多いなか、なぜ脱出できたのか?
などを考え、それらを抽象化して少しずつ知恵にしていった。
そうしたことをグルグル回していった結果、2000個くらいのハックができあがった。その中からピックアップしたのが今回の本。
なので、起きている現象を抽象化し法則に変えるのがHack(ハック)というのが秋好さんの考え。
セミナーイベントで紹介のあったハック
数多くのハックがある中で今回のイベントで紹介があったのは次の6つ。
- Hack05:朝早起きが続く7つの工夫
- Hack43:「潜在的注力領域」を明らかにする
- Hack45:やりたくないことノートでストレスを減らす
- Hack72:何度も読む本を作る
- Hack79:情報源として一次情報に勝るものはない
- Hack92:〈結果の方程式〉個人CPU×価値観OS×打席
Hack05:朝早起きが続く7つの工夫
早起きの7つのコツ
やることを想像して寝るというのはいいなと思えたので、やってみようかと思う。私の場合は就業時間というのがないので、時間の決まった予定がない日はついだらけてしまうことがある。
個人的にも早起きのコツはいくつかあって、それらはこちらの記事にある。おかげで早起きするようになって1年半以上たった。
以前は完全夜型。夜の2時、3時に寝るのなんて当たり前で9時とか10時に起きるのが普通、朝5時に寝ることもたまにあったような生活だったのが、ここのところ朝5時起きが板についてきた。 これまで早起きは何度も失敗しては、また始める……なんてことを繰り返してきたが、ようやく早起きができるようになってきて朝型に転換できた。
いろいろあるけれども、なんといっても一番は早く寝ることだ笑 これに勝るコツはない。以下に早く寝るかを考えた上で、寝付きや起き方をどうするかを考えた方がやりやすいというのは個人の経験から分かる。
Hack43:「潜在的注力領域」を明らかにする
ストレスがかかるもののやるべきことを明確にして行動することは大切
「ストレスの有無」と「やるべきかどうか」の2軸のマトリックスを書いて、ストレスがあるもののやるべきことを浮き彫りにして手をつける。これが潜在的注力領域と名付けられているハック。こちらは本を読んでも確かにと思わされた内容。本当に重要だと思える。
秋好さんの例でいうと資金調達がそれに相当したそうだ。元々エンジニアだった秋好さんは、ベンチャーキャピタルと交渉して資金調達なんてのはストレスのかかること。積極的にやりたいと思えるようなことではない。
だが、目標の到達、目的を果たすためにはどうしても資金が必要になったので、社長としてやるべきことである資金調達ということを行動に移した。
Hack45:やりたくないことノートでストレスを減らす
Hack43でストレスのかかることをやるというのはあるとしても、どうしてもやりたくないこともあるはず。例えば、お金が必要になったときに親族を頼るとか。
心の底からやりたくないことをあらかじめ決めておくことで、避けるようにするというハック。決めておけばいちいち悩まなくていい。
Hack72:何度も読む本を作る
ステージに合わせて読む本が変わるのというはそのとおり。何を読むかとういのではなくて繰り返し読む本を見つけることがポイント。読むタイミングによって重要だと思えることが変わる。
人によってはこれを見て「同じところにずっといる……」という現実を突きつけられるかもしれない。
Hack79:情報源として一次情報に勝るものはない
インターネットでなんでも調べられるといってもいいくらい情報はあふれているが、やはり人を介して一次情報を得ることが最も濃くて質の高い情報になる。
秋好さんは自分よりも上のステージにいるような経営者やその道の最先端を行くような人に積極的に会っている。
といっても誰でも簡単に会えるとは限らないし、単に相手から引き出すだけではもらうだけで終わってしまう。相手もこの人となら話したいと思われる必要がある。そのためには自分も良い情報を持つようにすること。ニッチなものでも構わない。
例えば、秋好さんは同年代の僧侶の人と会うそうだが、とても濃い話が聞けるそうだ。秋好さんは筋トレのことを聞かれるらしい。
そうしたやりとりを聞く限りでは、他にもっとすごい人がたくさんいるから……と悲観的になることもないということだろう。いくら秋好さんが筋トレに詳しくても、論文を発表しているような研究者に比べたらまだまだなはずなのだから。相手よりも詳しく情報を知っていることが大切ということになるはずだ。
Hack92:〈結果の方程式〉個人CPU×価値観OS×打席
個人CPUというのはその人の能力。同じ人間ならそこまで大差はないというのが秋好さんの考え。
価値観OSというのは「自分がどこまでできるか」と考えているか、と考えればいいだろう。
では、どうしたらできると思えることを高めていけるのか? そのポイントはできている人に会うこと。1マイル4分の壁を破ったロジャー・バニスターの有名な話があるとおりかと思う。
打席は説明するまでもないと思うが、打席に立つときにはうまくいくはずと思って立つことがポイント。
個人的に気になったハック
「潜在的注力領域」を明らかにするや結果の方程式なんかは確かになと思えたが、かぶるので他のを。
あまりに多くてもなんなので3つ選ぶとしたら今はこんな感じ。
- Hack11:振り返りのルールは「1日、1週間、3ヶ月、1年」
- Hack16:決める思考
- Hack68:「昨日何を前進させたか?」と考える
Hack11:振り返りのルールは「1日、1週間、3ヶ月、1年」
他のハックと関わってくるハックなので、本の構成としては1つではないのだけれど、個人的には「振り返る」という点で1つとみなしてこちらをピックアップ。
特に自分一人で何かをやるときに、やりっぱなしになっていることが個人的には多い。振り返らないとどれだけ進んだかもわかりにくいし、何が良くて何が良くないかも分からない。
では、具体的に何を振り返るのか?
そもそも振り返るためには振り返る対象が必要。そして、その対象に対してどんな評価軸で振り返るかも必要だろう。
ということで、振り返りは目標や計画などとセットになる。なので、実践するに当たってはそこからスタートすることになる。
1日の振り返りの内容
毎日の振り返りはその日にやろうと決めたことやりきれたかどうか。
1週間の振り返りの内容
1週間の振り返りは紙のノートを使ってMITの進捗チェックとKPTを軸に振り返る。
KはKeep。このまま続けること。PはProblemで問題あって改善が必要なこと。TはTryでやってみること。
毎週日曜日に15分ほど時間をとるそうだ。
3ヶ月の振り返りの内容
3ヶ月の振り返りは時間をかけてしっかりとやる。1日中、振り返ることもあるそうだ。特別な場所を確保するとか、ホテルにこもって1人合宿をするとかでしっかりやる。
1年間の振り返りの内容
年末年始にやると良いこと
・一年前の振り返りを読み返す
・一年間の出来事を書き出す
・一年間の振り返りをする
・一年間に感謝する
・ワクワクする本を3冊読む
・ワクワクする場所で休暇する
・食べ過ぎず飲みすぎない
・たくさん寝て早く起きる
・来年の最高の目標リスト作る
・1人所信表明を書く— 秋好陽介@ランサーズ (@AkiyoshiYosuke) December 29, 2018
所信表明は去年のことを引きずらないようにするために、新たに本を読んだり、場所を変えたりして心身を整えたうえでやるそうだ。
Hack16:決める思考
決まらないと延々と思考を続けることになる。というか思考というより、ただの悩みであり堂々巡りなのだが……。
そうしたただ悩んでいるだけの状態は感情を吐き出すという意味ではプラスになることもあるかもしれないが、繰り返し繰り返しやるのは無駄の極みだろう。難の解決にもならない。
決められない原因の1つはゴールを決めていないから。
ということで考えてどうしたいのか? 間違っていてもいいので決める! ということが大切。
「間違った決断は最後までくだされなかった決断にまさる」なんて言葉があるとおり。
本のなかでは食事で何を食べるかが例として挙げられていて分かりやすい。メニューを何にしようか迷って決めなかったら何も食べられない。
分かっていても、ついやってしまいがちなので意識したい。
Hack68:「昨日何を前進させたか?」と考える
こちらも自分を見透かされているようですごい笑 やった気になっていると時間だけは過ぎるが、ゴールにはまったく近づいていないという恐ろしことが起こる。
前に進んでいるはずがただ足踏みしているだけとか横に進んでいたとか、下手したら後退していたとか。
Hack43:「潜在的注力領域」を明らかにする、にも関わってきそうだが、目標にどれだけ近づいたか? は常に意識しないと時間だけが過ぎるなと思わされる。
だからこそ、Hack11の振り返りが必要だなとも思える。
どうやってハックを習慣化するのか
いくら良いハックでも行動に移さなければ効果は発揮しない。ということで、どうやって習慣化していくのかいいのだろうか?
秋好さんの例でいうと、次の5つがポイント。
- 習慣化は1度に1つずつ
- 完璧にこだわらない
- 1週間はやってみる
- 目的をイメージ
- スパイスをつけてやりたくなるような工夫をする
もう少し詳しく掘り下げるとこんな感じ。
習慣化は1度に1つずつ
これはそのまま。無理しないのがいい。
完璧にこだわらない
完璧にしなければ意味がないわけではないはずなので、できなかった日はそれでいいので次に臨む。
ただし、重要なのポイントがある。なぜできなかったのかを振り返ることだ。それをやらないと同じことになるだろうし、改善できない。
1週間はやってみる
さすがに3日くらいでは短いので、すくなくとも1週間くらいはやってみるのがいいようだ。
それでやってみて合わないならやめればいい。やるかどうか悩むくらいならやってしまって試すのが良さそう。悩んでいる間も時間は過ぎるわけだし。
目的をイメージ
例として秋好さんが筋トレをするときに「Tarzanの表紙を飾る」ということをイメージしたそうだ。結果、表紙はまだ飾っていないが、雑誌には掲載されたとのこと。
スパイスをつけてやりたくなるような工夫をする
こちらは例えば、形から入るなど。筋トレなら良いトレーニングウェアを買うとか、そういう話。
まとめ
ということで、なぜハックなのか? ということと具体的なハックに関していくつかピックアップしてみた。そして、どうやってハックを習慣化していくのかのポイントをまとめた。
個人的にはいろいろと考えさせられる本だなと思えたので、ぜひ読んでみたらいいと思う。お勧め。全部やらなくても1つだけでもいいからやってみたらいいかなと思える。