起業したいならお勧めの本とやってはいけない本の読み方
私が1500人くらいの起業志望者、あるいはすでにスモールビジネスを始めている人の支援をしてきたなかでお勧めと思える本をまとめみた。
ただ、1つ注意点がある。
起業したいと思って本を読むことはいいことだと思うが、自分がどんな起業したいのかにかかわらず本を選ぼうとしていないだろうか?
人それぞれ起業に対する考えや印象、持っているイメージはさまざま。漠然としていてもいいので、なんとなくこんな方向かなというのを意識しないで本を選んでもあまり意味はないもの。
例えば、起業の科学という本が話題になってだいぶ売れたけれども、対象はスタートアップの起業。資金調達をして事業をどんどん大きくしていくことが前提。
カフェをつくって起業したいとか、ネットで何か売りたいとか、そういった個人で小さく起業したいという人にはマッチする内容ではない(といっても良い本なので読んだ方がいいとは思うが、注意が必要だということ)。
もちろんどんなビジネスにも共通して役立つことはあるので無駄にはならない。ただ、合致はしていない。
やっかいなのが「これは難しい……」といったように可能性を自ら勝手に摘んでしまうこと。何も考えずにリスクをとって突っ走るのもどうかとは思うけれども、行きたいと思っているのに勝手に自分の手で可能性を摘むのもどうかと思う。
要は自分に合った起業の本を選ぶのが大切だということだ。ということで、はじめにどんな起業をしたい人に向けてのお勧めなのかを記したうえでお勧め本を紹介したい。
目次
本を勧める対象者はこんな起業を目指す人
ここでの対象はスモールビジネスの個人起業。もう少し具体的にするとこんな感じの人たちに向けたお勧めの本。
- できるだけ資金を使わずにリスクを減らして起業したい
- 自分のやりたいことをビジネスにして起業できればよくて規模の拡大はそこまで関心はない(とはいえ収益性も大切)
- 副業・複業としても始められるような小さな起業
冒頭でお伝えしたとおり、私が1500人くらいの起業志望者、あるいはすでにスモールビジネスを始めている人の支援をしてきたなかでお勧めと思える本をまとめている※。
※誤解があると問題かと思うので注釈。1500人に対してマンツーマンでということではなく、講座を提供するなどの間接的な関わり方も含めての話。
- 起業するにあたっては読む必要はないと思うが、気になるなら読んだいいと思う本
- 起業するうえで何をしたらいいかの全体が分かる本
- 行動の原動力にな途中で諦めないために役立つ本
- 起業の可能性を広げて自分にもできるか? と思えるようになると思える本
という観点で列挙する。
起業の全体像から分かる本
これから起業したいと思っていて具体的にどうたしらいいか分かっている人はこのページにはあまり来ないかと思う。
起業したいけど、どうしたいいのか? ということで思う人にお勧めの本をまずはご紹介。
6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する
この本はスモールビジネスに特化している。個人がハンドメイドの作品を売るだとか、カウンセラーやコーチングをするだとか、何かを教えるとか、そうした個人起業や数人でやる事業の話がメイン。
初めて起業しようとしている人が何をするか全体的なことが分かるのでお勧め。
入門 起業の科学
起業の科学でも構わないが、本の副題にもあるとおりスタートアップの話なので入門でいいかと思う。
読むポイントは顧客視点とMVP(Minimam Viable Product)について。
顧客視点になるために具体的に何を考えればいいか? の指針となるとが書かれいてる。MVPというのは実用上最小限の製品。大切なのは最低限これがあればいいだろうという段階で世に出してみて自分の思い描いていた仮説が正しかったか確認するということ。
売れるかどうか、あるいは買った人が何を求めているか、仮説が正しかったかを検証して、必要なことを取り入れて商品やサービスをお客さんのニーズに合わせていく。
しっかりと書かれいてるものの、個人起業だと冗長になるようには思える。そこまでやっていたら途中で挫折しそうと思える徹底ぶり。リスクの大きさを考えているので、そこまでやるのだろう。
個人起業ならそこまで質を重視するより、もっとスピードを意識したいところ。自分がどんな起業をしたいかを意識せずに読んでもしょうがない本と言えるかなと思う。
行動の原動力にな途中で諦めないために役立つ本
いくらノウハウがあっても行動しなければ結果は出ないし、行動したら100%確実にうまくいくとも限らないのが起業。
試行錯誤がどうしても必要になるもの。なので、結果を出すには継続して行動することが必要不可欠。それが分かる本とそのためにどうしたらいいかを支えてくる本がお勧め。
やり抜く力 GRIT(グリット)
うまくいく人は結果が出るまでやり抜く力があるという話。結論だけ知っていれば読まなくてもいいかも……とは思うので、より詳しく知りたければ読むのがいいと思う。
お勧めなのか? というのはあるけれどもノウハウさえあればうまくいくと勘違いしている人にはガツンと来るかもしれない。もちろんノウハウは確実にあったほうがいい。というか必須だと個人的には思っている。
誰もやっていないことならノウハウなんてないので突き進むしかないけれども、ノウハウがあるのなら先人の知恵を使わない手はない。毒キノコかどうかを試行錯誤して調べるようなものだからだ。
ノウハウは大切な要素だが、それを使って行動しなければ結果は絶対ついてこないので、「やり抜く力」がものをいうということを体に染みこませるためにもお勧め。
7つの習慣またはTQ
ポイントは価値観の明確化とミッションを決めること。どちらもそれについては触れているので、どちらでもいいかとは思う。両方読むのがベスト。TQは文庫本が新版として出ているので、そちらのほうが読みやすいかもしれない。
価値観とかミッションといってもたいそうなものとして構える必要はなくて、なんとなくでもいいので考えることが大切。いきなりバシッと決まるものではないと思うし、アップデートしていけばいい話だから。というよりアップデートしていかなければ納得いくところまではいけないと思う。そのためにも早くやったほうがいい。
プラスの面から行動の原動力になると思うということでお勧め。
タタール人の砂漠
これは考えさせられる小説。行動しないとどうなるかが分かる。起業したいと思っているだけで何もしないとどうなるか。先延ばしの怖さが分かると思う。
こちらはマイナス面からの行動の原動力になるかと思うのでお勧め。
起業の可能性を広げて自分にもできるか? と思えるようになると思える本
このサイトでもいろんなビジネスを紹介しているとおり、世の中には実にさまざまなビジネスがある。
低資本でもいろんなビジネスができるということが分かれば、自分にもできそうと思えるのでは? ということでお勧めの本。
1万円起業(クリス・ギレボー著)
少額の資金でもいろんなビジネスを起業できるということが分かる。
お勧め! とまではいかないものの候補としての本
そのときに勧められたのは「はじめの一歩を踏み出そう」というマイケル・E・ガーバーの本。内容はとてもいいと思うけれども、大きく成長させることが前提なので、今回のお勧め本には含めなかった。
他にもマーケティングやセールスという観点からだと、神田昌典さんの「あなたの会社が90日で儲かる!」という本も勧められた。もう1999年の本なので今となってはだいぶ前の本。書かれていることの本質的な部分は役立つと思う。
あとは税務とか会計関係が気になる人はまずは個人事業主としての話から。次に法人での会計や税務の話。最初から読む必要はまったくないと思うが、分かりやすいなと思ったので一応列挙しておく。
個人事業主の税務、確定申告関係は「」が分かりやすいなと思えた。法人化した後に読んだのだけれど、確定申告前に知っていたほうがよかったかな、とは思えた。
法人化した後の税務関係は「ひとり社長の経理の基本」が分かりやすいとは思えた。いろんな税金があってごっちゃになるのだけれど、税率やら何があるのやらが整理される。
財務諸表の基礎は「ストーリーでわかる財務3表超入門」が分かりやすいと思えた。貸借対照表(BS〈Balance Sheet〉)、損益計算書(PL〈Profit and Loss statement〉)がなんだか分からない、つながりがわからない人にはお勧め。
繰り返すけれども、初めから読む必要はない。儲かってもいないのに税金のことを考えてもしょうがないわけだし。そんな時間があるなら利益を出すための行動をしたほうがいい。
まとめ
ということで起業したいと思ったらお勧めの本をまとめてみた。起業を成功させようと思ったら「ノウハウ+実行」しか道はないと思うので、知って行動し続ける、ということを中心に。
本はあらかじめ読んでおくことも大切だとは思うが、必要になったときに読むのが基本かと思う。そのときになってみないと分からないことはたくさんあるし、当事者意識にならないと入ってくるものは少ないと思うので。
なお、こちらのページではスモールビジネスで何をしたらいいかを簡潔にまとめている。小さく起業したい人にはお勧め。
個人や主婦が低リスクで起業するにはこの4つをやればいい。身近な事例とともに経験者が解説!
起業という言葉からどんな連想をするだろうか? このサイトでは個人が低リスクでスモールビジネスを起業するということを中心に書いているので、金融機関からお金を借りる、投資家から資金調達してビジネスを立ち上げるといったようなやり方は他に譲る。