起業のビジネスアイデアを生み出す10個の方法
起業したいけど、良いと思えるビジネスアイデアが思い浮かばない、というケースは多いもの。「起業したいのになんでビジネスアイデアがないの? よく分からない」と考える人もいるようだが、皆が皆アイデアが豊富というわけではないのが現実。
なので、ここでは起業のアイデアをどうやって生み出したらいいのか? その方法の1つをまとめた。ただ、注意点もあるので、後半はそれについても触れる。
目次
起業のアイデアを生み出す10個の方法、フレームワーク
先日、「入門 起業の科学」という本を読んだ。その本のなかにビジネスアイデアのフレームワーク、つまりは型のようなものとして次の10個が書かれている。
さすがによくまとまっている本なので、その中の一部をこちらにピックアップしてみる。
- 中間プロセスの排除
- バンドル解いて最適化
- バラバラな情報の集約
- 休眠資産の活用
- 戦略的自由度
- 新しいコンビネーション
- タイムマシン
- アービトラージ
- ローエンド型破壊
- サービス化する
このままではちょっと分かりにくいと思うので、簡単にまとめると次のような内容。
中間プロセスの排除
例えばUBERなど。UBERは運転手と利用者の間にいるタクシー会社中間業者を排除。
それを言ったらUBERも中間プロセスでは? というのはあるような気はする人もいるかと思う。
同じように考える人もいてUBERなどのプラットフォームの手数料ってちょっと高くない? という考えもある。で、手数料を劇的に下げたプラットフォームも登場してきている。
それがこちらの記事で書いた。
「シェアライフ」書評と起業のシェアの話とシェアリングエコノミーおかしくない? という話
内閣官房シェアリングエコノミー伝道師という肩書きを持つ石山アンジュさんの本「シェアライフ」とセミナーのまとめ。 これからの時代の流れとして「シェア」というのが1つのキーワードになってくる気がしていたので、話を聞き本を読んでみた。
そこから抜粋するとこちらのとおり。
手数料に関しては非営利のシェアリングプラットフォームが登場している。営利企業が運営するのではなく組合型のプラットフォーム。
例えば、アメリカの家事代行プラットフォームのUP&GO。
営利企業の運営する家事代行プラットフォームは通常、マッチングしたときの手数料として20から30%の手数料が取られるが、UP&GOなら数%ですむ。
また、ブロックチェーンを活用したシェアリングプラットフォームもある。カナダのライドシェアのEvaだ。
対価の支払いはトークンで行なわれるのが特徴。
バンドル解いて最適化
バンドルというのはまとめているということ。バンドルされていて嬉しいこともあるけれども、余計なのはいらないのでもっと安くして……ということもある。
本の例だとフィンテック関連で送金でバンドルを解いたサービスが注目されている。銀行のまとまった機能を解いて実現したのがTransferWiseというサービス。送金に特化している。
スタートアップではないが、QBハウスも当てはまりそうだ。床屋だと当たり前にセットになっているひげ剃りだとかシャンプーを削ってカットだけにして安くしている。しかも早い。
バラバラな情報の集約
情報がまとまっていると分かりやすくなることはよくあるもの。
本の例だと食べログが紹介されている。価格.comなんかもそうだろう。不動産もまとまっているサイトがあって一般の人でも物件探しが楽になった。
休眠資産の活用
まさしくシェアリングエコノミー。休眠資産だから資産を持っている側は今まで無駄になっていたのが活用できて嬉しい、使いたい側も使えて嬉しいとなる。
Airbnbが最初と言われる。今では実にいろんなサービスが生まれている。こちらの記事に例をたくさん載せている。
「シェアライフ」書評と起業のシェアの話とシェアリングエコノミーおかしくない? という話
内閣官房シェアリングエコノミー伝道師という肩書きを持つ石山アンジュさんの本「シェアライフ」とセミナーのまとめ。 これからの時代の流れとして「シェア」というのが1つのキーワードになってくる気がしていたので、話を聞き本を読んでみた。
- 軒先(店のスペース活用)
- akippa(駐車スペースのシェア)
- ecbo cloak(店舗のあいた空間を荷物預りに活用)
- スペースマーケット(空き不動産の活用)
- AnyCa(個人の車を使っていないときにシェア)
- Totte(撮影機材のシェア)
- Laxus(個人が高級バッグをシェアできる)
- dress box(個人がドレスをシェアできる)
- Anyble(個人間でさまざまな道具〈DIY用品、アウトドア用品、スポーツ用品などなど〉を使っていないときにシェアできる)
- CO-LABO MAKER(研究に使う実験機器などを使っていないときにシェア)
などなど。
あくまで休眠資産の活用がポイントだと思うので、休眠資産活用していないのにシェアリングエコノミーというのはちょっと違うよね……。というのは、どうでもいいことかとは思うが、上記の記事でまとめている。
戦略的自由度
既存の枠組みからあえてはずれることで価値提案が可能になる。本の例だとSnapchat。その後、InstagramでもFacebookでもストーリーズが出て真似している。
新しいコンビネーション
違う領域で使われているサービスを組み合わせて応用し、それによって価値を出す。
本の例だとエアークローゼット。エアークローゼットはスタイリストが選んでくれる服を月額でレンタルできるサービスで、以下の組み合わせ。
スタイリスト
+
送料無料
+
クリーニング無料
+
収納無料
タイムマシン
他のところでうまくいったものを時間差で他地域に持ってくる。アメリカから日本に持ってくるなんてのは昔からよくある話。
本の例だとインドネシアで展開しているUBERとも言えそうなゴジェック。バイク版UBERからスタートして今は車も扱っているようだ。
アービトラージ
同じ物でも価格差があってその差益で利益が出るというのがアービトラージ(裁定取引)。
本の例だとフィリピン英会話。日本だと講師のレッスン料が高くなるものの、フィリピンなら給与水準が低く差が生まれる。フィリピンは公用語が英語なので普通に誰でも話せる。
本には書かれていないが、転売なんかもアービトラージ。
ただ、人の邪魔をして買い占めて値段をつり上げて売るようなのはビジネスではなく迷惑行為。ダフ屋行為であり、迷惑行為として条例禁止の地域がほとんど。なぜかネットになると規制がなかったが、それも変わってようやくチケットに関しては法規制が進んだ。
ローエンド型破壊
高機能な商品がある中に機能を絞ったシンプルな商品を持ってくる。
本の例だとティファール。どんどん高機能化していく湯沸かしポットに対抗して、お湯を沸かすことだけに特化して安価にした。
サービス化する
これは要するに定期購入・サブスクリプションにしていくということ。
ひと昔前と違って実にさまざまなものがサブスクリプション化している。コーヒー、ラーメン、映画などのサブスクリプションもある。大手企業もマイクロソフトのOfficeやアドビ製品もサブスクリプションの流れに移行している(マイクロソフトは買い切りもあるが)。コマツやミシュランといった企業も。
このあたりの例は、以下の記事でも少しまとめている。
サーキュラー・エコノミー(Circular Economy)というのが注目されているというアクセンチュアの記事を読んだ。 サーキュラーというのは循環するという意味。ここでの意味は、大量生産→大量消費→大量破棄というのではなく、一度作ったものを長く使って壊れたら修理、修理できない状態になったら素材を再利用といったように、
鋭い視点の継続課金(サブスクリプション)モデルの起業例8選+1
継続的な利益を生み出す仕組みはビジネスを安定させる上でとてもありがたいこと。 スモールビジネスを起業する場合にも、当然ながらできれば押さえておきたい視点だ。 要は定期購入や月額課金、横文字でいうとサブスクリプションというやつが実現できればいいわけだが、なかなか思い付かないケースも多いように思える。
10個の「起業アイデアを生み出す方法(フレームワーク)」を使うときの注意点
そのまま素直に使ってみるのもいいと思うが、注意点が3つ。
それが
- 自分がどんな起業をしたいのか?
- 1つだけ使う必要はない
- 縛られない
の3つだ。
自分がどんな起業をしたいのか?
起業と一言で表しても実にさまざま。この記事で触れた10個のフレームワークは「入門 起業の科学」で書かれていたこと。
「入門 起業の科学」や「起業の科学」の対象はあくまでスタートアップ。上場を目指すまでいかなくてもそれなりの規模を目指す起業で資金調達なんかも考えるような規模感。スモールビジネス、マイクロビジネス、個人起業といったものとはまた別。
なので、個人がリスクを抑えて起業するという観点からはずれる。スタートアップではなくもっと小さくでもいいので自分の好きなことができれば、と思うのならあくまで型としてこういうのがあるという話として捉えるのが良さそうだ。
方法は複数組み合わせてもOK
フレームワークは1つだけ選んで使う必要はないので当然、組み合わせてもいい。こうした思考の枠組みがあると勝手に制約をつけてしまいがちなので、組み合わせも可というのを頭に入れておくといいかと思う。制約が良いアイデアを生むこともあるのだけれど。
方法論に縛られない
これがフレームワーク、なんてのを書いておきながらではあるが、必ずしも型に当てはめる必要はない。例えば、バルミューダは高級路線を突っ走っているわけでティファールのような安価にする道は進んでいない。
「じゃあ意味ないじゃない……」
と考える人もいるかもしれないが、アイデアは既存のものの組み合わせ。つまりは組み合わせ元をたくさんインプットしておくと材料が豊富になるということ。
なので、こういうのを頭の片隅にでもおいておくといざアイデアを出そうとしたとき、普段のひらめきのときにつながってくることがある。
あなたの発想に役立つことがあれば嬉しい限り。
個人起業、スモールビジネスで「起業アイデアを出す方法」を活用するには
このサイトではスタートアップの起業ではなく、個人がリスクを抑えて小さく起業して好きなことやりましょうよ、という趣旨。
その趣旨に照らし合わせると、活用しにくい方法もあると思えるので、もう少し絞ってみると以下は除外したいところ。
- 戦略的自由度
- ローエンド型破壊
「戦略的自由度」に関しては試しにちょこっと何かつくってやってみるということはできるので、除外しなくてもいいとも思うのだけれどピックアップした。理由はニーズのあることをやる、というのがリスクを抑えるうえでは重要なので、Snapchatみたいな例だとそこがちょっとはずれるような気がするからだ。
ローエンド型破壊は規模がある程度ないと厳しくなりそうなので、資金が潤沢ではない個人では厳しそうだから。
基本的に個人がリスクを抑えて起業してうまくいくようにするには、高単価で高利益率になるのがいい。
具体的な業種などはこらで書いたとおり。
個人や主婦が低リスクで起業するにはこの4つをやればいい。身近な事例とともに経験者が解説!
起業という言葉からどんな連想をするだろうか? このサイトでは個人が低リスクでスモールビジネスを起業するということを中心に書いているので、金融機関からお金を借りる、投資家から資金調達してビジネスを立ち上げるといったようなやり方は他に譲る。
アプリをつくるとかWEB上にサービスをつくってうまくいくことも当然あるとは思うが、それできっちり利益を出せるのはごく一部だということ。もちろん、簡単なツールをつくって広告で利益を出す、なんてのはあるとは思うので、うまくいく可能性はある。
起業のアイデアがあってもうまくいく人、いかない人
アイデアさえあればうまくいく。となればいいのだけれど、現実にはそうはいかないもの。
といっても、多くがアイデアは出したけど、行動に移さないもの。なので、それ以前の問題。
その多くは起業のアイデアが思いついたとしても、「本当にうまくいくのか分からない」とか「自信がない、確信が持てない」といったケースが多い(あくまでこれまで1500人くらいの人をオンライン含めて指導させていただいた経験からの話であって個人的な意見)。
しかし、どんなに良いアイデアでもそれを実現させようと行動しなければ、絶対に結果にはつながらない。
だからリスクがほとんどないと分かっているなら積極的にやってみたらいい。一度、どんなリスクがあるのか紙に書き出してみるのはオススメ。そうすることで、「あれ? こんなもの?」となって動ける人もいる。
まとめ
ということで起業するにあたってどうやってビジネスアイデアを生み出したらいいか? その考えの軸と言えるような10の視点をピックアップした。
ただ、スタートアップが前提なので、個人がリスクを抑えて起業したいなら注意点が必要だという話。
いくらアイデアがあっても実現させようと行動しなければ、絵に描いた餅。良い結果は伴わない。その代わり悪い結果も起こらないが、何もしないで時間が過ぎたという意味では悪い結果が起こるといえる。