第三者が進んで宣伝してくれる秀逸な方法で売上10%増
スモールビジネスの起業でつまずくことの1つに集客がある。というかそれがほとんどといっても過言ではないくらいな要素じゃないかと思える。
なので、お客さんの口コミ、紹介というのは本当に助かるもので、どんなビジネスでもありがたいもの。
なかには商品やサービスを買ったお客さんでないにもかかわらず、勝手に宣伝してくれるケースもある。理念に共感してとか経営者が素晴らしいとかSNSの時代ならではの拡散だ。
ただ、そういう理念に共感することだけがSNSで広まるとは限らない。例えば、オランダの保険会社、Centraal Beheerが実施した施策は非常に秀逸。スモールビジネスで保険を売ることはほぼ無理だと思うが(代理店などではなく保険会社としての話)、やり方が秀逸なのでご紹介したい。
目次
お客さんでもないのに口コミが起こる理由
今回の事例がすごいのは保険会社のお客さんとは限らない人たちも積極的に宣伝してくれて売上が10%増になったから。なぜ、そんなことが起こったのだろうか。
理由は宣伝したほうが得だからという実にシンプルな話。
Centraal Beheerは2018年の6月に3日間にわたって「本格的なCMをつくれるドライブスルー型スタジオ」を用意した。SNSやオークションサイトなどで自分の車を売りたいと思っている人に使ってもらうためだ。プロの声優もいてTVCMさながらの映像が簡単に撮れる。しかも、その映像を自由に使っていいときている。ただし、最後に
「保険はCentraal Beheerで」みたいなメッセージが加わる※。
※正確にはこちら。
Want to buy this car or another car? Then choose the most customer-friendly insurance company.
こんなCMができあがる。
自分の車を売りたい人なんだから、当然のことながらできあがった映像はバンバン使う。
さすがにそんな本格的なCMをつくってくるような個人がたくさんいるわけはないので、話題にもなってさらに拡散される。ニュースで紹介もされた。
第三者を喜ばせた結果、売上は10%増、CMは100万ビュー
保険会社とは直接関係のない車を売りたいと思っている500人以上の人がCMをつくったそうだ。ブランドへの影響も増えて、売上は10%増。
Results / According to the agency, the campaign helped more than 500 people to sell cars, increased sales by 10% and generated 40 million impressions. The ads also earned 1 million video views and helped brand preference grow by 25% within a week of launch.
SNSが普及している今の時代だからこそ実現できたやり方。というか今の時代に合わせて考案された施策で、拡散する人も自分のために拡散しているわけで非常に秀逸なやり方だなと思える。
映像での解説はこちら。
Centraal Beheerは面白いCMをいろいろつくっている
いろいろと調べていたらCentraal Beheerという保険会社は面白いCMをたくさんつくっているようだ。脱線してしまうが、面白いのでそちらも紹介(単純に笑えるという理由で載せているので、お好きにどうぞ笑)。
普段からそういう発想があるからこそできることなのかも(CMは広告の会社がつくるとしても、それを採用するのは発注側)。
「FRAGILE(割れ物注意)」とあるコンテナをいろいろと危険な状態にあいながらもなんとか運んでいるのだが、最後の最後に……という秀逸なオチ。
なかなか見つからない駐車スペースを探してようやく見つける。イベントを楽しんでいると……
ある家に泥棒が入ると次々と泥棒の都合の良いようにことが運ぶ。一方で別な場所では……。
いずれも何が起こるか分かりませんよ、ということをユーモラスに伝えているおもしろいCM。
スモールビジネスで応用するには?
このサイトはスモールビジネスに関する話を中心としているので、それに関わる話も。今回のような保険業などの大きな会社の事例はスモールビジネスでそのまま使うことはまず無理。そんなリソースはないのが普通だろうから。
が、ポイントはいかに人が動きたくなるか? ということになるので、それをもとに考えるとなにか思いつくかも。
よくあるのは食品を扱っているならレシピをアップしてもらうとか、レシピのコンテストを開くとか。業界では当たり前のことでも素人にはすごい、というようなのを動画で解説するとか。
もちろん、今回のようにその人に直接的な利益になるからというのもあるだろう。IT関連だと無料で使えるツール類は宣伝が入るものの無料で使えるというのはよくある。どんどん使ってくれれば、それだけシェアされるのと同じになる(変な使われ方をするとマイナスになることもあるが)。