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発想の転換で低価値が高価値に変わり持続可能なビジネスが生まれた話

発想の転換で低価値が高価値に変わり持続可能なビジネスが生まれた話

もともと価値を見いだせなかったものに価値を与えて売れるようになる――。そうした発想の転換と行動力によって新たな商品が生まれることがある。

こちらの記事でもいくつか紹介しているが、また面白いのがあったので今回はそちらを。バターのいとこという商品だ。

こうして廃棄物がアイデア1つでヒット商品に変わった3つの事例

廃棄物。通常なら捨ててしまうのが廃棄物だ。場合によっては捨てるのにお金がかかることもある。 が、一方で価値のないゴミが突如、価値ある商品に変わることもある。お金をかけて処分していたのが、一変してしまうというわけだ。 そんな発想の転換に成功した事例がいくつかあるので、それらをピックアップしてみた。

発想の転換で低価値が高価値になり大ヒット

Chus(チャウス)という宿泊施設(YADO)とレストラン(Table)、そして農作物の直売所(MARCHE)の3つを展開している施設が生み出したお菓子。Chusは栃木県は那須塩原市、黒磯駅から徒歩10分のところにある。

那須に来る人に良い土産を提供しようということで2018年の3月20日から販売が始まった(他にも生み出された理由はあるのでそれは後述する)。

東京の催事で販売したらあっという間に売り切れてしまったようで話題にもなっていた。大阪でも販売したらものの数十分で完売したそうだ。それだけならただの人気のお菓子だが、「バターのいとこ」はそれだけではない。

9割以上を占める低価値の材料を有効活用

「バターのいとこ」という名前からバターに何かしら関係があるというのはわかるかと思う。 実際にそのとおりでバターをつくるときにできる副産物である脱脂粉乳を使ったお菓子だ。

バターを原料は牛乳。では、その牛乳はどれくらいがバターに変わるか? 実はたったの5%ほどしかバターにはならないそうだ。牛乳を想像したらそんなにアプラっぽくないのは明らかなので、そこからバターをつくるとなったらそんものなんだろうとは思うが、それにしても少ない……というのが個人的な感覚。

で、バターをつくったあとに残る9割以上はどうなるかというと、それらは「脱脂粉乳(スキムミルク)」として安く販売されるそうだ。

となると牛乳のほんの一部しかバターにならず、他は安くしか売れないというわけで、収益面での効率は相当悪いということになる。バターの値段だってたかが知れているわけだし、酪農家も大変だなとは他人事ながらも思えてくる。

そこで、その9割を占める脱脂粉乳をうまく活用できないか? ということで考案されたのが「バターのいとこ」。

脱脂粉乳をうまいこと使って新しいお菓子を生み出したというわけだ。ネーミングの意味もなるほどと思える。

最初に名前を聞いたときにはバターと同じようにパンに塗ったり、お菓子の材料に使ったりするのかと思っていたが、実際にはこんな感じのお菓子(ゴーフル。薄焼きせんべいみたいなやつ)。

これによって今まで安くしか売れなかった脱脂粉乳がうまく活用されるようになった。

製造元の酪農家も販売する店も潤うし、良い商品が手に入る消費者もうれしいし、話題になっていたらお土産としての価値はなおのこと上がる。

もちろん、売れなければそうはならないわけで結果的に、ということにはなるが、素晴らしい発想と行動力があってこそなわけで素晴らしい限り。

NHKや雑誌などのメディアでも放送されたようだし、東京や大阪で販売したらものの数十分で完売したなんてこともあり、人気商品になったのは間違いない。

バターのいとこが生まれたきっかけ

バターのいとこは、うまく有効活用できていなかった脱脂粉乳(スキムミルク)から価値を生み出した製品というのは先ほども書いたとおり。

では、なぜそういう発想に至ったのかというとそれにはきっかけがある。そのきっかけはこちらにあるとおり酪農家さんとの会話だったそうだ。

「那須の酪農家さんが、クラフトバターを作りたいという話をしていたんですよ。昨今の牛乳離れや人口減少による消費の低迷、作り手の高齢化など、酪農家さんを取り巻く環境はどんどん厳しくなる中、日本ではまだ馴染みのないクラフトバター作りは、新しい活路になるのではないかと」

引用: お土産3.0──デザインを超えた「社会課題の解決」がカギに | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

公式のInstagramにもこうした記載があり、クラフトバターづくりというのが1つのポイントになっている。また「パッケージの数字にも意味があることがわかる。

もしこのスキムミルクの利用価値を高められたら小さい牧場でも各々のバターができる。
それはまるでチーズが料理にあわせるように、「この料理にはこの牧場のバターがよく合う」といった食卓でバターを選べるようになりゆたかになります。
このバターのいとこは牧場の個性ができる”クラフトバターづくり”を応援するためにできました。
そしてこの意味を日頃バターを使うみなさんに知ってもらい、このパッケージを通して多くの人に伝わっていけば良いなと想いこの数字を採用しています。
生産者も作り手も、そして買ってくださるみなさまもみーんながハッピーになれるようなそんな仕組みがこの想いに込められています。

引用:バターのいとこのInstagramより ※改行を適宜調整

なぜ「バターのいとこ」は売れた?

ではなぜ、「バターのいとこ」は人気商品になったのか? それは究極的には手がけた人たちがいたからとしか言いようがないとは思うのだけれど、次の2つは重要な要素であることに間違いないとは思う。

  1. 商品へのこだわり(うまい&ステータス)
  2. 関わる人がみな良くなる仕組み

商品へのこだわり(うまい&ステータス)

手がけた人たちの思いだけがうまくいった理由ではないということがわかるのが、品質へのこだわり。

いくら社会的な意義や思いがあったとしても、おいしくもないようなのは売れない。また、適当な見た目でドドンと置かれていても売れにくいのも感覚的にはわかるはず。

こちらで書いたとおり、実質的な価値と感情的な価値が大切だという話だ。「バターのいとこ」でいうならおいしさと見た目の要素。

なぜ、お客のいなそうな街のそば屋が潰れないのか?

お客さんがいないのに続いている店。そんな店を見たことはないだろうか?私の実家のある田舎ではそんな店がいくつかある。 その1つがラーメン屋。そのラーメン屋は、私が高校生の頃からあるところ。だが、そのときからお客さんが入っているのをほとんど見たことがないのだ。

品質の追求

品質という観点からいうと、お菓子づくりのプロがレシピを監修している点からこだわりがうかがえる。

監修者は東京は渋谷にあるPATHというフランス料理のパティシエの後藤裕一さんという方。後藤さんは三つ星レストラン「トログワロ」でのパティシエを務めていた方。トログワロというフランス料理の店は50年近く三つ星を獲得している名店中の名店。

味だけでなくパッケージの見た目もシンプルでセンスがいいと思える。駄菓子みたいな雰囲気ではないのは明らか(もちろん、良い悪いはなくどんな印象になるかという話)。

ステータス

ステータスと表現したのは2つの意味があって1つは社会的な意義というところでの文脈がある点。もう1つはスタバみたいなもの。

スタバで買うコーヒーとスーパーで安売りされているコーヒーとでは品質が同じでも、手に取る人が感じる意味が違ってくるはずなので。

一言でいうと人に見せられるもの、見せたいものを手にしている感覚。ディーン・アンド・デルーカのバッグなんて極論したらスーパーの袋と同じで店の名前の入った袋だが、人気があって売れる。要はブランド価値みたいなものだろう。

そういうのが、品質や見た目のデザイン、社会的な意義などの文脈と拡散によって急速に大きくなって生まれたと思う。

関わる人がみな良くなる仕組み

この話は先ほども書いたとおりだが、単に儲けが出て「うへへへ。儲かるぜ」みたない話ではないのは明らか。

「バターのいとこ」の原料をつくる酪農家にとっては何も新しいことはせずに今でどおりバターをつくるだけで、安くしか売れなかった脱脂粉乳に新たな価値が生まれたことになる。

売る側も新しい商品を扱えるし、買う側も新しい商品が手に入る。しかも、しっかりとこだわって作られた良い商品。

単においしいだけでなく、さらに良いことをしている感も得られるというのは買う側にとっても良いことだろう。

まとめと他の事例

ということで発想の転換で新しい商品を生み出しただけでなく、社会的な意義も込められている関わる人がみな良くなると思える「バターのいとこ」について。

単に社会的な意義だけではなく、売れるものとして回っているからこそ素晴らしいという点は忘れないようにしたいもの。つまりは価値が生まれているということ。

残念ながら売れなきゃ価値を見出されていないということであり、ただの思いつきで終わってしまうこともあるだろうし(その後に活かせれば話は別だが)。

そして、アイデアを発想しただけで終わりではなく、きちっりと実行に移していることも

なお、こうした他にも有効活用されていなかったものやことを発想の転換で活用した例はこちら。

こうして廃棄物がアイデア1つでヒット商品に変わった3つの事例

廃棄物。通常なら捨ててしまうのが廃棄物だ。場合によっては捨てるのにお金がかかることもある。 が、一方で価値のないゴミが突如、価値ある商品に変わることもある。お金をかけて処分していたのが、一変してしまうというわけだ。 そんな発想の転換に成功した事例がいくつかあるので、それらをピックアップしてみた。

不便なのに売れる?不便益をビジネスにするという発想

“不便益”という概念がある。不便益システム研究所によると、 不・便益ではありません。不便の益 (benefit of inconvienience) です。 不便で良かったこと、ありませんか? 引用:不便益システム研究所

サーキュラーエコノミーのところにも少し紹介がある。

サーキュラーエコノミーという今の時流に乗ったビジネス事例

サーキュラー・エコノミー(Circular Economy)というのが注目されているというアクセンチュアの記事を読んだ。 サーキュラーというのは循環するという意味。ここでの意味は、大量生産→大量消費→大量破棄というのではなく、一度作ったものを長く使って壊れたら修理、修理できない状態になったら素材を再利用といったように、

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