学生相手の教科書レンタルビジネスが大ウケして上場
学生時代の悩みや不満といえば何だろうか?人それぞれいろいろとあると思うが、私が大学1年生のときに覚えた不満の一つは、大学の講義で使う教科書。
というのも、大学1年のときに講義で使う教科書を大学の生協で買えということだったので、生協に行ってみるととんでもない値段で売られていると思ったから。
普通に一般の書籍として売られているビジネス書とは違うので、高いのは当然かもしれないが、当時の私は驚きを隠せなかった。200ページとか300ページくらいの本が3,000円、4,000円で販売されているのだから。正直、買わなくて済むのなら買いたくないとも思った。その不満は私だけではなく、多くの人が思っているようで、アメリカにも昔からあるらしい。
この不満というものは、感じている人にとってみたらやっかいなものだけれど、起業家にとっては素晴らしいものでもある。ビジネスのネタになるからだ。実際、この教科書の不満を解消するためのベンチャーがアメリカでは立ち上がっている。Cheggという会社で2005年のことである。
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大学の教科書レンタル事業が躍進
Cheggは2005年に立ち上がって2008年には2500万ドルの投資をベンチャーキャピタルから得て、5年後の2010年には1億3,000万ドルの売上になった。
そして、2013年11月13日には上場も果たしている。
ワシントンポストの記事によると、なんとアメリカの学生は1年で700ドルから1000ドルも教科書にお金を費やすそうだ。
少なくとも私はそこまでは使わなかったが、教科書に10万円はちょっと払いたくない。大学のときの教科書なんて卒業した今、一冊も必要としていないし。学生の頃にこのサービスがあったら間違いなく使っていたと思うサービスだ。
どうやって集客して顧客を増やしていったか?
Cheggはtwitterやfacebookをメインにアフィリエイトの仕組みをうまく活用してどんどん利用者を広げていったようだ。記事に内にもあるように、1成約5ドルの報酬がもらえたようだ。中には17,000ドルを稼いだ学生もいる。
こんなこともやっていたようだ。
この会社がおもしろいのは、顧客確保にソーシャルメディアのFacebookを上手に利用していること。Facebookの上で自分が使った教科書(特に成績のよい学生で、重要なところに蛍光ペンで線が入ると価値が上がる)を学生に自分で宣伝させ、レンタルが成立すればアフィリエイトモデルで学生にもフィーが払われるというバイラルマーケティングでユーザーを急速に広げている。
今はどうか分からないが、東大に合格した学生が受験勉強に使っていたノートや、有名な予備校講師の講義を写したノートがヤフオクで高値で取引されていたのを思い出す。
ビジネスに斬新なアイデアは必要か?
ところで、このビジネスのアイデアについて少し考えてみたい。何かしらビジネスをしたいのだけれど、たいしたアイデアがない、という声をよく聞く。
斬新なアイデアをもとにビジネスを立ち上げている例はあるが、多くのビジネスはありきたりのアイデアから始まっているように思える。今回のCheggはその典型例だろう。コロンブスの卵かもしれないが、教科書のレンタルなんて別に斬新でも何でもないと思える。おそらく同じ事を考えた人はたくさんいるんじゃないかと思う。
要は学生の不満である、教科書が高すぎる、ということを今までにも存在していたレンタルという仕組みを使って解決したということ。要は、売れる商品やサービスを作り上げるには、誰もが思いつかないような画期的なアイデアはが必要不可欠なのではなく、いかにして誰かの悩みや困りごとを解決するかに焦点を当てるということだ。
まとめ
ということで、不満はビジネスのネタでもある。自分が不満だと感じることがきっかけになるかもしれない。ちなみに、オンラインストレージのDropboxは創業者の一人であるドリュー・ヒューストンがUSBメモリを壊してしまって自分が困ったことがきっかけで生まれたそうだ。日経BPのインタビューでドリュー・ヒューストンがそう答えている。
ビジネスを立ち上げるなら、斬新なアイデアを狙うのではなく、不満やニーズをもとにするというのは1つのポイント。そして、もう1つ重要なのことは、生まれたアイデアを実行するかどうか。実行しないアイデアはないのと同じ。