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ファクトリエを急成長させた創業者山田さんの思いと戦略

ファクトリエを急成長させた創業者山田さんの思いと戦略

今回は先日聞いたファクトリエの創業者山田敏夫さんの話から。山田さんは2016年にカンブリア宮殿でも紹介されるなど注目されている起業家の一人。

自分の人生をこれだというものに全力投球しているような人なので、好きなことをビジネスにしたいという人に通ずるものがあるかと思う。ただ、本人は起業したいと思ってそうしたわけではないのだが、それについては後述する。

山田さんもご多分にもれずというか起業してからいきなり順風満帆というわではなく、初めは行商で服を売り歩いていたそうだ。初めは年商1500万円だったのが、2016年の時点で年商10億円の規模にまで拡大できたそうだ。会社概要を見ると2012年の操業となっているので、2012年を事業初年度とみなすと、4年で売上を66.7倍にしている。

ファクトリエを起業した理由

山田さんは1917年に創業した服屋の子供として生まれ、小さな頃から服に囲まれていた。

学生時代にパリ留学し、グッチで働いたときに「日本には本物のブランドがない」と言われ、ものづくりからできたブランドがないと気づかされた。日本は世界から評価されている良い技術があるにもかかわらず、縫製工場がピークから激減しており、ものづくりが消えかけていような現状。

そうした日本の現状に危機感を抱いて日本で本物のブランドを作りたい、そのために何かしたいと思い、起業。

といっても、山田さんが起業したのはその必要に迫られたから。経営も起業も実現したいことの手段にすぎない。もし、他の会社で同じことをしていたのならその会社で働いていたとのこと。

詳細はファクトリエの思いが書かれた公式サイトをどうぞ。

ファクトリエの他社との違い・優位性と支持される理由

本物のブランドの構築にはものづくり重視が欠かせないということを山田さんは自身の体験から考えているため、工場を中心としたブランドの確立を目指している。

なので、ものづくりの現場である工場が目立っていてデザイナーはまったく出てこないという従来とは真逆とも言える方針をとっている。これは決してデザイナーがいないとか適当に選んでいるとかではなく、実際には一流と言えるようなデザイナーが関わっているのだが、それをあえて出さないそうだ。それを了承しているデザイナーもまた一流だよなと思える。

ファクトリエの場合、あくまで主体はものづくりであり工場にあるということで服には工場の名前が刻まれるというのも他にはない特徴だろう。工場が服の値段を決めるというのも特徴的。

通常は、縫製工場に依頼する側が価格を決めてそれに合わせて工場がなんとかやりくりして作っていくという流れ。しかし、そうなると誰でも想像がつきそうだが、無理な低価格を押し付けられて工場は疲弊。

それで高品質を求められては理不尽だろうし、担い手も減っていくのは当たり前とも言える(ファクトリエのページを見たら分かるが、実際に担い手は1990年から2014年までで94%もの数が減っているわけで100あったのがたったの6になっている)。

今でこそファンがたくさんでき、注目を浴びるようになったファクトリエだが、ご多分にもれず最初は苦労していたようだ。起業当初は大変で2年半の間、週末はアルバイトしながら行商で服を売っていたのこと。

どうやって業績を伸ばしたか?

では、具体的にどうやって業績を伸ばしたのか?

大手とは違って起業当初からお金が潤沢にはないなか、お金をかけずに売上を伸ばすには頼るのは口コミしかないという結論になり、それを徹底的に考えて行動していったそうだ。

その方針で重視していることは熱量。具体的にはファンの数。

今は良いものが当たり前の時代であり、何かを買って品質が良いという理由で感動して紹介するということはなかなか起きないのが普通。

水を買って「すごい!」と思って感動して友人知人親兄弟にまで紹介するような人はまずいないし、そもそも決まったブランドを飲む人も少ないのが普通だ。よほどのことがないと紹介にまでには至らないのが現状だというわけだ。

なので、いくらズバ抜けた良い品質の衣類をつくろうとしても限界がある。そこで、サブライズをうまく織り交ぜることでファン化していき、紹介してもらえるほどの状態に持っていくということをやっているとのこと。

ただ、事業への思いがあって高品質のものをつくっており、お客さんのためにも工場のためにも良い循環が生まれるようにという思いがあったうえで、どんな手段を使ってお客さんを喜ばせられるか? という文脈があってのサプライズだということは注意したい。

ミッションとは何か?

今のままではいかんだろうということでなんとかしなくてはならないと思って山田さんは起業しているわけだが、ミッションの捉え方はネガティブだなと思えた(それが良いか悪いかではなく)。

というのも、

「ミッションというのはキリストが十字架を背負ってでもやるようなこと。 苦しくてもやらざるを得ないことであり、 やりたいことではない。」

という考えだから。

これは、ミッションというものの印象が前向きでポジティブな人にとってみると、聞きたくない話かもしれない。

ただ、言葉の捉え方とも言えるし、ネガティブな考え方だとしても、普段の生活がつまらないとか、意義を感じないとか、もうイヤだとか、あるいはストレスフルで限界だ、なんてことになるとは限らない。

「やらなければならないこと」は必ずしも「やりたくないこと」とは限らないわけで、

 やらなければならないこと ≠ やりたくないこと

ということは十分にあるわけだし。

例えば、人間にとって食事はとらなければならないものであることには違いないが、食事なんか嫌いだという人はいるだろうか? 好きでも嫌いでもない人はいると思うが、食べることが好きな人だって少なからずいる。

食事のような極端な話ではなくても、現に山田さんは生き生きしているし、やりがいを感じて行動しているようにしか見えないわけだから。

100年かかると分かっていても自分はこれをやるという強い思い

山田さんの話を聞いていてすごいなと思うことはいくつもあったが、その中でも本気度が違うと思えることがある。

それが、たとえ最短距離を進んだとしても、日本が世界のものづくりでリードするには100年くらいかかると考えているのに全力投球している点だ。

自分が生きている間に達成できなくても構わないという考えはなかなかできない。こういう人は応援したくなるな、と思える。

ミッションを見つけたいけど見つからない人はどうする?

山田さんのような人を見ていると、「私も打ち込めるものが欲しい」と考える人は少なからずいるかと思う。そうはいっても自分の中にこれだというものがない……という人も又多いだろう。

自分の中から出てくるものだけを重視する必要はないというのが山田さんの考え。

全員がナポレオンになる必要はない。ナポレオンが夢見た世界を実現させたいと思ったからともに行動したという人はたくさんいたはず。この人の夢をかなえたいと賛同できるなら夢を持っている人と一緒に夢を叶えるのでも構わないのでは? という考えだ。

山田さん自身も今やっていることに関わっていたいという思いが最重要であり、今は経営者としての役割を果たしているに過ぎないとのこと。

ミッションにこだわり過ぎないのがいい

今回の内容に水を指すような形になるかもしれないが最後に1つ。

誰もが山田さんではないので、無理にミッションを見つけるだとか大きな社会的意義を見出す必要はないように思える。山田さんのような志を持つことは大変素晴らしく思うのだが、あまりそれに引っ張られすぎるのはよくないだろう。

あくまで山田さんが本心からやりたいと思うことだから、あるいはやらなくてはならないと使命を感じているからやっているわけで軸は自分の中にある。

要は自分に素直になってやりたいことを追求すればいい話。それに、大きな社会を見なくても、こちらの記事で書いたとおり半径5メートルくらいの狭い範囲だって構わないはずだ。

「モチベーション革命」尾原和啓さんのセミナーを踏まえた書評とまとめ

といっても単なる自己満足では誰も応援はしてくれないと思うし、利益につながらないだろうから事業としては厳しく、趣味としてでないと実現は難しいかもしれないが。ビジネスとしてやるなら相手を考えないと、運が良くない限りはまずうまくいかない。

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