起業・副業でクラウドファンディングを使うときの「成功の危険性」

副業・起業でクラウドファンディングを使うときの「成功の危険性」

起業をしようと思ったときにお金がなく、融資を受けられなくても、クラウドファンディングを使えば資金は集まる。

これは確かにそのとおりだし、クラウドファンディングのおかげで立ち上がるビジネスもある。一方、下手をすると資金調達に成功してもその後が大変になる危険性もはらんでいる

なかには「まずはクラファンで」みたいに気軽に考える人もいるのだけれど、ビジネスによっては注意が必要。実際にクラウドファンディングを実施してクラウドファンディング上は「成功」となった人の話をもとに注意点をまとめてみる。

結論から書くと、小さく副業や起業をする、スモールビジネスをやりたいならクラウドファンディングは資金調達というより売れるかどうかのリサーチに使うのがいい。あるいはネットショップとして利用するのも手だ。

もちろん、会社を辞めて起業するときだけでなく、副業からでも同じ。その場合、名前がバンと出るとは思うので、副業禁止の会社だとちょっと難しいとは思うが。

ちなみに低資本でもうまくいっている事例はもちろんある。例えばこんなビジネス。

低資本の起業でもうまくいったビジネスアイデアの6つの例

「常識の壁をこえて ――こころのフレームを変えるマーケティング哲学」 ダン・S・ケネディ著、池村千秋翻訳、金森重樹監修、CCCメディアハウス(2005年)という本の中から面白いと思ったビジネスをピックアップ。アイデアと行動力次第でいろいろなビジネスが生まれるもの。 こんなのでも成り立つの? というのもあるので、新たなアイデアの種にでもなれば。 少ない元手で起業・副業が始められる6つのビジネスアイデア お金をあまりかけずに起業することは可能。サラリーマンなら、いきなり起業ではなく、まずはリスクを抑えて副業からはじめて徐々に大きくしていくということもできるわけだ。 そのヒントとなるような事例をここでは紹介したい。

また、副業や起業するうえで、どのくらいお金がかかるのか知りたい場合はこちらもどうぞ。

起業するにはどれくらいの資金がいる?

起業といっても様々。何をするかによって必要な金額はだいぶ変わってくる。なので、一概には言えないけれども、インターネットを使うと金銭的なリスクを抑えやすくなる。 例えば、ブログを始めるだけならお金なんてほとんどかからない。一方、ネットショップで在庫を持つとしたらその商品の仕入れ分のお金が必要になる。もし資格が必要なものを売るのなら、その資格取得のためにお金が必要になるかもしれない(資格がなくても、たいがいのものは売れるが)。

クラウドファンディングで資金が集まってもうまくいく人と、うまくいかない人

クラウドファンディングを使って資金調達した人がまわりに何人かいる。しかし、うまくいっているなと思える人とそうでない人がいる。

どちらもクラウドファンディングで掲げた目標金額を達成しているのだが……。

たとえ資金が集まって見かけ上は成功したとしてもうまくいく人、いかない人に分かれるというのはどういうことなのか?

いろんなケースを見てきたけれども、ここでは3人のケースを見ていこう。

コーヒーでクラウドファンディング

コーヒーでクラウドファンディング
写真はイメージなので実際のものとは別

1人は3,4年くらい前にクラウドファンディングを行なった。商品はコーヒー。

目標金額として設定した金額を達成して良いスタートを切ったようだった。といっても、確か集まった金額は数十万円だったはず。

今もそのビジネスを続けていて順調に伸ばしているのは聞いている。個人客はもちろん、カフェやレストランでも継続的に取引しているようだ。

ボトルでクラウドファンディング

ボトルでクラウドファンディング
写真はイメージなので実際のものとは別

もう1人は今年に入ってからクラウドファンディングを実施。こちらは1000万円以上の支援が集まった。

こちらも飲み物に関係しているのだが、飲み物そのものではなく関連商品。具体的にいうとボトル。

手がけた人とはたまたま会う機会があって話をしたことがある。見た目はおとなしい感じの20代女性。その度胸と行動力にギャップを感じる人だ。

その女性に始めたきっかけを聞いてみたら、展示会かなにかで海外の商品を見つけて「この商品いい!」と思ったことだそうだ。

で、直接海外まで行って直談判して日本で売ることにして帰ってきたという。その行動力たるや素晴らしいなと思えた。

しかも、英語ができるわけではないので、通訳できる人を引き連れて……。

販路も広げているようで、今後が期待できる。

嗜好品の飲み物でクラウドファンディング

嗜好品の飲み物でクラウドファンディング
写真はイメージなので実際のものとは別

もう1人も同じく飲み物関連の商品でクラウドファンディングを行なった。こちらも金額は確か数十万円くらいで達成はできた。

こちらも飲み物関係でコーヒーとかお茶とか、そうした類の嗜好品。

一昨年くらいからやっているのだが、資金調達には成功したものの、うまくいっているような感はない。

その後の販路がまだまだで出ていくお金は増えるものの、入ってくるお金は少なく、まだ光は見えていないようだ。

今後、よくなることもあり得るが、それまでは耐える必要がありそうな感じ。厳しい状況が続いている。

なぜ、3人ともクラウドファンディングそのものはうまくいったのに成果に差が?

他にもお茶やコーヒー(また別なコーヒー)、バッグなどなどいろんなのを見てきたが、ここで例に出した3人は皆、クラウドファンディングの資金集めという1点だけを見ると成功している。

しかし、なぜ、2人はうまくいっている一方で1人は苦労しているのか?

もちろん、直接関わっていないので正確には分からないが、中身を見ているとこれかなと思えることが分かる。

それが次の3つ。

  1. ほぼ縁故支援(友人知人による支援)で商品力ではなく人間関係で売れた
  2. それをニーズがあると勘違いした
  3. 撤退ラインを決めておらずズルズルいっている

というのが要因だと外野から見ると思える。

ほぼ縁故支援(友人知人による支援)で商品力ではなく人間関係で売れた

原価のかからないようなサービス関連ならまた変わってくると思うのだが、物を売るという原価のかかるビジネスだとやっかいだ。

ケースバイケースではあるだろうけど、ものをつくるにはその材料というのは、普通はある程度まとめてでないと発注できない。

なので、その後のことも考えておかないと、下手にうまくいくくらいなら、むしろ、うまくいかないほうがいい……なんてことも。

失敗してダメだったと思ったほうが傷は浅くてすむかもしれない。

クラウドファンディングは多くの場合、支援といっても出資ではなく、物を売っているのと同じようなもの。だから支援されたら商品提供は必須と思っていいだろう。

その点もリスクだ。見積もりが甘いと、集まった金額よりも出費が多くて赤字なんてこともある。

縁故支援はありがたいけれども危険もはらんでいる

ということで、問題になりかねないのが縁故支援。つまりは事業主の家族や友人、知人による支援だ。

もちろん、支援してくれるのはとてもありがたいことではある。

目標金額を高くしていてほぼ達成状態だけれど、最後のひと押しが足りない……。そんなときに家族・友人・知人に少し買ってもらうような場合なら問題ないだろう。

あるいは集まった資金全体に対して縁故支援の構成比率が少ないときも。

義理で無理やり買ってもらうのはどうかと思うが、商品そのものにさほど関心がなくても、応援のために支援してもらうというのは問題だとは思わない。

ただ、詳細は次に譲るがここに問題がはらむことがある。

縁故支援をニーズがあると勘違いした

多くが縁故支援だった場合にはニーズがないということに等しいこともある。これはは簡単に想像できることだろう。

なのに、いけると勘違いして進んでしまう。

それで進めてしまうと出ていくお金は増えるけれども、売れない。結果、ビジネスの状況がどんどん悪化する。そんなことも起こる。

縁故支援が多いならニーズはないと判断して支援者だけに商品提供して撤退、という道も有効だろう。

当たり前のことができるとは限らない例

こうした話は当たり前の話に思えるかもしれない。が、だからといってできるできないは別物なのが人間。

例えば、出ていくお金と入ってくるお金のタイミングがずれて資金ショート……なんてのは典型的な失敗例だ。第三者から見たら、こんなのはお金の出入りのタイミングを把握するだけで防げるのになにやってるの? となるかもしれない。だが、現場で必死にやっているとそうもいかなくなることもある。

年商数千万円から数億円規模の会社を数社経営している人でもやってしまいそうになることがある。実際、支払いのタイミングがギリギリでなんとか間に合ったなんてことが、つい先日あった。

クレジットカード決済の売上として1億円くらいが月末に入ってくるのだけれど、その一方で経費として1000万円くらい出ていく支払期限も月末。つくったばかりの会社で資本金も数百万円でそれでは到底足りず、手持ち預金に余裕がない。

これは、入金があってすぐに支払ってなんとかなったけれども、こうしたことは起こり得るということだ。

撤退ラインを決めておらずズルズルいっている

クラウドファンディングで一応は成功となったので、途中で辞めにくいなんてこともあるだろう。

見栄やどうでもいいプライドでズルズルとやられるのは本当にやっかいだ。しかも、別にまわりはたいして気にしないのに、自分だけが変な思い込みを持っていることもあるわけで無駄以外なにものでもない。

ただ、当の本人はそうは思えないことはよくある話なので、対岸の火事として見ていると痛い目にあうかもしれない。

クラウドファンディングはテストマーケティングとして使う

ということで、クラウドファンディングでうまくいってもその後が大変になるリスクがある。

では、どうクラウドファンディングを使うともっとリスクを下げて適切に活用できるのか?

結論としてはクラウドファンディングはテストマーケティングの一環として行なうのがいい。

クラウドファンディングが生まれた経緯からいうと目的は資金集めということにはなると思うが、これは見方を変えるとうまくいくかどうかの試金石としても使えるということだ。

そして、もう1つの活用方法がネットショップとしてのクラウドファンディング

クラウドファンディングをネットショップとしても使う

また、業者よっては新たなネットショップみたいな形でクラウドファンディングを使っているのでは? と思えるようなところもある。

次の新商品を売るときにもクラウドファンディングで販売開始。というのも見かけるし、Amazonや楽天で売っているのと同じようなのをクラウドファンディングで売り出しているケースもある。

前に買ったバッグは新商品を出してまたクラウドファンディングで売っていた。クラウドファンディングのプラットフォームからは、一度支援した人に対してまたメールを送ってくるので、それで買う人もいたはず。

これならAmazonや楽天で売るのとたいして変わらない。違うのはその商品が1回の販売機会になるだけ。

まとめ

ということで、クラウドファンディングは下手にうまくいくとその後の事業継続が難しくなることもあるので注意という話。

クラウドファンディングをやるならテストマーケティングとして考えるのがいい。あるいはネットショップとして活用するというのもいいだろう。

目標金額に到達するしないにかかわらず、感情に流されないで数字を見て判断する。

もちろん、何がなんでもやると決めてやることも大切な要素だが、それは現実を直視したうえでの話だ。

情熱は大切だが冷静さも大切だということ。やり抜く力も大切なんだけれど、それは無謀にやり抜く力ではないと思うし。また、勇気のある人と、暴勇なだけの人も違うのと似ているようには思える。

このあたりの判断は人それぞれあるので難しいとは思う。他人のアドバイスは参考にするのはいいけれども、自分のビジネスなら自分で判断するしかない。

冒頭でもお伝えしたとおり、副業を含めて起業するうえで資金が必ずしもいるとは限らない。

低資本でもうまくいっている事例はいくらでもある。例えばこちら。

低資本の起業でもうまくいったビジネスアイデアの6つの例

「常識の壁をこえて ――こころのフレームを変えるマーケティング哲学」 ダン・S・ケネディ著、池村千秋翻訳、金森重樹監修、CCCメディアハウス(2005年)という本の中から面白いと思ったビジネスをピックアップ。アイデアと行動力次第でいろいろなビジネスが生まれるもの。 こんなのでも成り立つの? というのもあるので、新たなアイデアの種にでもなれば。 少ない元手で起業・副業が始められる6つのビジネスアイデア お金をあまりかけずに起業することは可能。サラリーマンなら、いきなり起業ではなく、まずはリスクを抑えて副業からはじめて徐々に大きくしていくということもできるわけだ。 そのヒントとなるような事例をここでは紹介したい。

また、副業や起業するうえで、どのくらいお金がかかるのか? 一例を挙げたのがこちら。

起業するにはどれくらいの資金がいる?

起業といっても様々。何をするかによって必要な金額はだいぶ変わってくる。なので、一概には言えないけれども、インターネットを使うと金銭的なリスクを抑えやすくなる。 例えば、ブログを始めるだけならお金なんてほとんどかからない。一方、ネットショップで在庫を持つとしたらその商品の仕入れ分のお金が必要になる。もし資格が必要なものを売るのなら、その資格取得のためにお金が必要になるかもしれない(資格がなくても、たいがいのものは売れるが)。

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