商品が売れない理由と売れるようにする対策方法はこれ

商品が売れない理由と売れるようにする対策方法はこれ

たまにフラッと立ち寄る牛丼チェーン店。個人的にはほとんど吉野家にしかいかなののだけれど、以前、吉野家である違和感を感じた。うまいとかマズイとかではなく、来ているお客さんの行動に関してだ。「これって自分で何かしらビジネスをやるときも似たようなことになってそうだな」と思えるような違和感だ。

私が席に座ってオーダーしたすぐ後に、左斜め前に30代と思われる男性が1人座った。その男性が牛丼の並とサラダを頼んだとき、店員の人からこう聞かれた。

「ドレッシングはゴマと塩どちらにしますか?」

その男性は、ちょっと考えて「ゴマ」を選んだ。

このときは違和感がなかったのだが、この後、私は「ある違和感」を感じることになる。

やたら「ごまドレッシングが選ばれる」

違和感が決定的になったのは、別のお客さんが入ってきてまたサラダを頼んだときだ。そのお客さんにもまた店員の人が同じ質問をしていたときに「ん?」と思ったのである。

「ドレッシングはゴマと塩どちらにしますか?」

この質問だ。あなたはこの質問に何を思うだろうか?

実際にその場にいないとイメージしづらいかもしれいないが、吉野家に限らずお店でサラダを頼んだとして店員にそう聞かれた場面を想像してみていただきたい。ここで注目したいのはドレッシングの味の種類についてだ。

あなたの好きなドレッシングでも、普段よく見かけるドレッシングでも何でもいいのだが、どんな味の種類のドレッシングをイメージするだろうか? 和風、中華、シーザー、ゴマ、しそ、イタリアン、フレンチ……などなど、いろんな種類があると思うが、「塩ドレッシング」というものを聞いたことがあるだろうか?

少なくとも私は塩ドレッシングなるものは聞いたことがないし、ただの塩味しかしなそうなイメージがある。要するに、あくまで個人の感覚だけれど、それほど魅力を感じないし、おいしくもなさそうな印象だ(サラダにオリーブオイルと塩をかけるだけてもうまいのはうまいのだけれど)。

よく分からないものは選ばれにくい

繰り返すが、あくまで個人の感覚なので、正解も不正解もないし、全員がそうだとも思わない。が、今までいろんなドレッシングを見てきたけれど、塩ドレッシングは見たことも聞いたこともないし、魅力も感じない。

また別な機会に吉野家に行ったときも、サラダを頼んだ人には例によって店員から同じく

「ドレッシングはゴマと塩どちらにしますか?」

と質問され、ゴマを選んでおり、少なくとも私が見ていた限りではサラダを頼んだ人は全員がゴマドレッシングを選んでいた。

当然、これだけで結論づけることはできないけれども、個人の印象としては、塩ドレッシングはあまり馴染みがないものという印象であり、

「ドレッシングはゴマと塩どちらにしますか?」

という質問では塩に魅力を感じる人は少ない、あるいは慣れ親しんだものではないからかほとんどがゴマを選びそうな気がするということだ。

表現次第で魅力は増減する

しかしながら、言い方次第でものは同じでも印象は変わるもの、というのは

こうしてマーケティングは言葉1つで大きく変わる

という記事でもお伝えしているとおり。

塩ドレッシングも別な言い方なら選択する人が増えたかもしれない(ごまドレッシングが選ばれるのは塩がよくわからないという仮設のもとで、だけれど)。

言い方を変えたら公共施設のイベントにやたら集まるように

そうした例を1つ。ある公共施設で働く人がやった話だ。

よくある市役所とか公民館でやるような市民向け企画への応募数を倍にしたのだ。具体的にはそば打ち講座で毎年開催していたそうだが、応募者数はかんばしくなかったようだ。しかし、タイトルを変えただけで応募が倍増。しかも、前年よりも値上げして対象者の制限も厳しくしたにもかかわらず、である(といってもそこまで高いものではないし、 制限もそこまできついものではないが)。

同じイベントなのに申込者数をいきなり倍にした方法

何をどうしたかというと、これまで
「男性の家庭参画セミナーそば打ちを通して、家事や育児の時間を増やすきっかけを作りませんか。」
というタイトルだったのを、
「名人が教える手打ちそば作り」
と変えただけ(※)。

たったこれだけで応募がちょうど2倍になった。言葉を変えただけでこうまで変わるのは興味深いこと。


これは「人が集まる!行列ができる!講座、イベントの作り方(牟田静香(2007年)、講談社)」という本の内容から拝借した内容。大田区の男女平等推進センターにて閑古鳥が鳴いていた講座に申込者を殺到させた人が何をどうやって人を集めたか? という話。

ポイントは誰に何をどう言うか

お客さんは塩ドレッシングのようなよく分からないものは避けるし、興味がないものには関心を向けてくれない(塩ドレッシングが よく分からないものかどうかは 仮設だけれど)。

また、店に訪れる人、HPに訪れる人全員に響くようなことを伝えるのは現実的には不可能と言えるほど難しい。誰もが興味をもって読む雑誌もなければ、誰もが興味をもって見るテレビや映画は存在しないのと一緒。だから、誰に対して何を伝えるのか、を絞って相手に響くような言葉を選ばないと、結果はついてこない。

言うは易く行うは難し、かもしれないが、こうしたことを日々考えて実行出来る人こそが成果に近づいていくのは間違いない。

買ってくれた人、申し込んだ人の声を聞く

そのためには、商品を買ってくれた人、申し込んでくれた人の声を聞くのが一番。

先日、関わりのあるネット通販会社の商品販売ページを改善したところ、成約率が2倍近くになったのだが、やったのはアンケートを見て、買った理由を元に商品を販売しているサイトのトップの文言を変えただけ。1万円以上する商品の成約率が倍になったのだからとても嬉しいことだった。ただ、毎回うまくいくとは限らず、反対に変えないほうが良かった……ということもあるので、テストを繰り返していくしかないなと思える。大抵はやっていくうちに改善に通ずる情報が増えるので、良くなっていくものだが。

人が集まらないイベント企画者のすごい言い訳

ところで、「人が集まる!行列ができる!講座、イベントの作り方」いう本の中でとても興味深いなと思ったことの1つにこんな話がある。

著者はよく自治体から講演依頼などがあるそうだが、自治体によっては人が来ないことに対してこんな言い訳をするということが書かれていた。

天気が悪いと、「天気が悪かったから人が来なかった」
天気が良いと、「天気が良くて他に行ってしまった」

というのだそうだ。一体、どうしろというのだ……。曇りを狙って企画したらいいのか笑

言い訳を考えるのは天才的なのに、どうやったら人が来るかは考えない。何ともまあエネルギーの使い方を無駄にしているなと思ってしまったけれども、自分自身、いつこうなるか分からないので、注意したいところ。一見すると、できなそうに思えることはついできない言い訳を探してしまいがちなので。

まとめ

ということで、よく分からないものはNOとなるということと、言い方次第で結果は変わるという話。そして、言い方次第の「言い方」は、顧客の声を参考にしたら精度が良くなるということ。当たり前だが、やれていないケースはたくさんあるのでは? ということ。

関連記事はこちら。
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賞味期限切れ間際の商品を見ごとに売った話や、ただの石ころを意味づけして億単位で売った話

※参考例として載せた事例は、こちらの本から。

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