ピカソから学ぶ起業の秘訣、無名時代からどうやって作品を広めたか?
先日、ピカソの逸話を聞いた。ピカソは芸術家であり、ビジネスとはあまり関係なさそうな気がしていたが、そうではないことが判明。ビジネス目線の要素が濃くてとても面白い話だった。
好きなことで起業したい人に多いに役立つことと思うので今回はその話を。
ピカソのビジネス視点でこんなことをやっていたのか! と思うことが2つあった。1つは無名のときにどうやって作品を売ったか? つまりは売り込み方法。もう1つは作品の作り方。
いずれも起業するにあたって必要になるのは明白なので、一見するとビジネスとはあまり関係なさそうなピカソの話も役立ちそうだというのは分かるかと思う。
目次
無名だったピカソがビジネス視点で売り込みに成功
まずは1つめからもう少し詳細を。
ピカソの時代は言うまでもなく、ネットで作品を売るなんてことはなかった時代。絵を画廊においてもらってそこで売るというのが主な販路の1つ(今でもそうだと思うし、ネットで売ったら売れるなんてこともないが……)。
無名の画家の絵を画廊が積極的に扱うのは考えにくい。そもそも存在自体知られておらず、土俵にすら立てていない状態なのが普通だろう。画家が自ら売り込みに行ったしとても、よほどのことがない限りは取り扱ってはくれない。
そこでピカソはある方法をとった。秀逸といえば秀逸だが、ちょっとずる賢い感じがする方法だが……。
彼は、人を雇って画廊に行かせて「ピカソの絵はあるか?」と聞いて回らせたそうだ。それをいくつもの画廊でやって「ピカソ」という画家が今、注目されているような状態にした。
そうなれば、自分が売り込みに行ったとしても、門前払いされる可能性は減るだろうし、逆に画廊からピカソに問い合わせが来るかもしれない。何も考えずに突撃するより置いてもらえる可能性はだいぶ高まるはずだ。
この話がどこまで本当かは分からないし、やり方もあまりいいとは思えないが、どうしたら自分の作品を扱ってもらえるかを考えて実行したことが大切なポイントかと思う。
※いきなり「ピカソ、ピカソ」となったら不自然で怪しまれそうな気はするし、普段から絵を買うような人でないと客として怪しまれるようにも思える。なので、よほど周到にやったか、単なる作り話か尾ひれのついた話かは不明。
ピカソの作品の作り方がビジネス視点
ピカソの作風は素人が見たら「これ何の絵なの……?」となりそうなのが有名かと思える。私はピカソの絵と落書きとを並べられても区別がつく自信はない笑
しかし、ピカソの作風はそうした抽象的な作品だけではなく、実にさまざまでいろんな絵を描いている。絵ばかりでなく彫刻や陶器もつくっている。
作風がいろいろとあるのは画廊が欲しがる絵を描いていたからだそうだ。もちろん、インスピレーションがあって変えたのもあるとは思うが。
本の出版社や音楽のレーベルなどと同様に画廊にも色があるようで、それぞれの画廊の要望に合わせて描いていたとのこと。
要は、自分が描きたい絵ばかりを好き勝手に描いていたのではなくニーズに合わせて描いていたということだ。
もう1つ。ピカソは作品数が異様に多い点にも触れておきたい。最も多作な芸術家としてギネス記録になっているレベル。全部合わせると15万近くもあるようだ。
It has been estimated that Picasso produced about 13,500 paintings and designs, 100,000 prints and engravings, 34,000 book illustrations and 300 sculptures and ceramics.
それだけたくさんつくっているから洗練された作品ができるとも言えるかと思う。
標品価格に関するピカソの逸話
よく言われる逸話としてこんな話もある。
ピカソが外出していたとき、たまたまピカソを見かけたファンがいた。
そのファンは
「絵を描いてくれませんか?」
とピカソに申し出た。
すると、ピカソは絵を描き出した。できあがった作品をそのファンに渡しながら
「この絵は100万ドル」
と言った。
さすがに驚いたファンは
「これを描くのに30秒しかかかっていないのに……」
と口に出した。
それに対してピカソは
「それは違う。30年と30秒だ」
と言った。
どこまで本当か分からないが、こうした逸話はよく聞かれる。
※年数や金額が違うケースもある。それにそもそもピカソはスペインの人。アメリカが主要な活動地域ではなかったはずなのでドルなのか? というのもある。単に分かりやすくするためかもしれないが。また、そのファンの人は紙と筆記用具を常に持ち歩いている? など疑問はいろいろ。いずれにしても考えさせられる内容ではあるが。
ただ、注意したいのはピカソの言ったことが通用するのはそれなりの積み重ねが必要だということ。相手が納得しなければそこに価値は生まれないわけだから。
価値というのは絶対ではなく相対的なもの。
それがよく分かる事例はいくつもあると思う。例えばこんなのとか。
“不便益”という概念がある。不便益システム研究所によると、 不・便益ではありません。不便の益 (benefit of inconvienience) です。 不便で良かったこと、ありませんか? 引用:不便益システム研究所
起業で役立つ「価値」の話はこちら。
お客さんがいないのに続いている店。そんな店を見たことはないだろうか?私の実家のある田舎ではそんな店がいくつかある。 その1つがラーメン屋。そのラーメン屋は、私が高校生の頃からあるところ。だが、そのときからお客さんが入っているのをほとんど見たことがないのだ。
まとめ
ということでピカソの逸話という切口からいくつかお伝えした。
まとめるとこんな感じ。
- ピカソは良い絵があれば売れるという視点ではなく、売り込むためにどうするか? を考えて売り込んだ。
- 著名な芸術家ですら自分の好き勝手な作品を描いていたわけではない。誰に提供するかを考えていた。
- 価値は文脈あってのものであり、自分本位では決まらず相手が決める相対的なもの。