今や人工知能を誰もが格安で使えるようになり、AIアナウンサーが月給約80円で“雇える”ように

今や人工知能を誰もが格安で使えるようになり、AIアナウンサーが月給約80円で“雇える”ように

エフエム和歌山放送が人工知能アナウンサー「ナナコ」を使って放送をし始めたというニュースがあった。「AIアナウンサー」年間1000円の衝撃(1/2)

また、2018年4月からNHKのニュース番組「ニュースチェック11」にてニュースのヨミ子という人工知能のアナウンサーがニュースを読み上げることになるそうだ。Google Homeなどのスマートスピーカー(AIスピーカー)でも。今はGoogle Homeに「今日のニュース」などと話しかけると、NHKニュースのラジオ版が流れるようになっているのだが、それもじきに変わるとのこと。

NHKはどんな仕組みで人工知能アナウンサーを生み出したかは分からないが、エフエム和歌山はAmazonの人工知能を使っている。かかる費用は年間でわずか1000円だそうだ。

アナウンサーを雇うなら毎月給料を払うなりしてそれなりの金額がかかるわけだが、年間1000円で済むなら月に80円強という驚異的な低価格。しかも、職員がAmazonの人工知能を使って自分で人工知能アナウンサーをつくったようなので、開発費用もなし。その職員の人件費のみでできてしまったようなもの。

人工知能が誰でも活用できる時代になっているということが分かる。

なら試しに使ってみようと思って実際に利用してみたので、その結果もお伝えしたいと思う。無料でも使えるので、あなたも試してみるのもいいのでは? 今はAmazon以外の人工知能であっても、我々一般人でも簡単に人工知能を使えるようになっており、今後、選択肢は増えていくような気はする。

人工知能のアナウンサーはどんな声?

実際にどんな感じなのかはエフエム和歌山の放送を聞くのが一番だが、ネットラジオではナナコの放送はないように思えるので、和歌山放送が入る地域でないと聞けなそうだ。

ということでAmazonの人工知能音声を聞きたいならこちらを視聴するといい。少しぎこちない感はあるけれども、十分に聞き取れる。


Amazon PollyというAmazonの人工知能が文章を読み上げている例

Amazonが提供している人工知能は3つ

一般人でも人工知能を使えるようになるはずだなんてことは人工知能関連の記事で前に書いていたのだが、すでに普通に実用的なレベルにまで進んでいるとは思わなかった。日々、どんどん進化しているなと思える。

エフエム和歌山が利用しているAmazonのAIのページを見ると次の3つの人工知能が使えることが分かる。

  1. Amazon Lex
    これはチャットボットなんかを作れる人工知能。こちらでLOHACOの話を書いたが、こういうことができるわけだ。ついに人工知能が人の仕事を”奪い”始めた
  2. Amazon Polly
    こちらは音声を発せるAI。エフエム和歌山が使ったのはこれだろう。テキストを読み上げてくれる。どんな声なのかは先ほどのとおり。
  3. Amazon Rekognition
    これは画像分析ができる人工知能。写真から人を判別できたり、表情から感情も推測できるそうだ。一般人は関係ないけれども犯罪の捜査なんかには使えそう。

こんな感じで用意されていて、今からすぐにでもあなたも私も使おうと思えば使える。価格は使った分だけで済む。エフエム和歌山が年間1000円で済んでいることからも、かなりの格安であることは間違いなさそうだ。

Amazonの人工知能で何ができるか?

例えば、本をスキャンしてOCRで文字認識させたものを読み込ませたら車を運転しながら読みたい本が聞けるようにはなりそうだ。なんて思っていたらすでにやっている人がいて冒頭のYouTubeの映像があった。英語を学んでいる人は英語の本をスキャンしたら聞き取りの教材にもなりそう。

画像認識なら企画したイベントの写真を撮って何人来たか数えるとか地味に役立ちそうな気はする。やっていいかは別としてお店なら優良顧客とブラックな客をスタッフの入れ替わりがあっても瞬時に見分けられるとか。

など、適当にいろいろ書いてみたが質や実現できるかは置いておいていろんなのが思いつく。

Amazonはおそらく他にもいろんな人工知能を安値で提供するようになるものと思うので、注視しておくと面白そう。

なお、安価でも提供するのには理由がある。今の人工知能の特性として利用者が増えれば増えるほどデータがたまっていって学習が進むので精度はどんどん上がる。すると、他が追いつけなくなるので、元締めが最も大きなアドバンテージを得られるというわけだ。

どう使うか応用を考える人は人工知能に置き換えられない

人工知能が仕事を奪うなんてのが、何かと話題になっていたように思うが、こちらの記事でも書いたとおり、ちゃんと今の人工知能に関して書かれた本を読むなどして現状を少しでも理解できれば、どうしたら人工知能をうまく活用していけるか? ということが分かる。

人工知能時代に自分の仕事はこう変えていくといい。2020年人工知能時代僕たちの幸せな働き方(藤野貴教著)のまとめ

Algorithmia(アルゴリズミア)ならもっとたくさんの人工知能が使える

Amazonは今のところ3つの人工知能が使えるのだが、冒頭のITmediaの記事にもあったAlgorithmia(アルゴリズミア)ならもっとたくさん使える。無料でも制限はあるものの、ある程度は使える。英語のサイトなので、英語が得意ではない身としては使いにくいことこの上ないのだが、試しに使ってみた。

現段階でのTop Ratedとなっていて評価の高いアルゴリズムはこんな感じになっている。

Algorithmiaの人気アルゴリズム
Algorithmiaの公式ページより

1位はモノクロの画像に色を付けるというもの。2位は英語の文章を要約してくれるもの。3位は文章から感情を読み取って数値化してくれるもの(-1から1までの範囲で結果が数値出る。-1に近づくほどネガティブで1に近づくほどポジティブ。少数第3位までなのでけっこうな刻み具合だ)。

試しに無料で人工知能を使ってみた

せっかくなので、試しに無料で使える分でAlgorithmiaに掲載されているアルゴリズムを使ってみた。簡単な使い方ならすぐにできる。

例えば、URLからテキストだけ抽出してくれるHtml 2 Textというアルゴリズム。Wikipediaの人工知能について書かれたページを指定したらこんな感じで答えが返ってきた。

人工知能を無料で使ってみた

左側の枠にURLを指定して、下にある「RUN」というボタンを押すと右側の枠に結果が表示される。

プログラミング言語によってどうやってこの機能を呼び出して使うかの例も書かれているので、プログラムに組み込むことも可能。

curl、CLI(コマンドライン)、Go、Java、JavaScript、.NET / C#、Node.js、Python、R、Ruby、Rust、Scala、Swiftが使えるようだ。

人工知能を使ってそうなアルゴリズム(解像度を向上させる機能)を試してみた

先ほどのHtml 2 Textは人工知能使わなくてもいいよね? と思えるものだったので、明らかに人工知能を使ってそうなものも試してみた。例えば、Enhance Resolusionという解像度を向上させる機能。Deep Learningのカテゴリーに入っていたので人工知能は使ってそうだ。

もともとピントがズレてしまった写真はやっても無駄だったが、そうでない写真は多少良くなった。解像度の悪い写真しかなくて困ったときに使ってみようと思う。

こちらが元の写真。

そして、こちらがEnhance Resolutionを使った後。画像サイズが面積にして9倍(辺の長さが3倍)になり、だいぶ大きなって多少画質が良くなった。
Enhance Resolutionという人工知能を使って解像度を向上させた結果

これは手元に解像度の良くない写真があるときに使えるかもしれない。

すぐにでも使える人工知能がたくさん

こうした人工知能を使った機能がたくさんあって、どれも気軽に使える。モノクロからカラーにするなんてのは、すぐにでもビジネスとして使えそうな気がする。少し前に早稲田大学でも人工知能を使ったカラー化のプログラムを開発したということで、GitHubにソースコードがアップされていたようにも思う。権利関係が分からないので、商用利用が可能なのかどうかは分からないが。

プログラム提供者には報酬が入る仕組み

いろんな機能を簡単に使えるという点でもすごいなと思うのだが、これはソフトウェアの世界なら昔からあること。フリーソフトなんかはそうだし、プログラミングの世界になるとライブラリやフレームワークなんてのがある。

特徴的なのは開発した人が収益を得られるということかなと思える。どのくらいの収益になるのかは分からないが、自分の開発したプログラムで報酬がもらえるならインセンティブは多少は働くかもしれない。場合によってはライセンス料みたいな形で入ってくるようになることもあり得なくはない。

まとめ

ということで、人工知能がどんどん身近になってきていることが分かる。すぐにでも使おうと思えば、無料でも少しは使えるし、年間1000円で人工知能アナウンサーができてしまうのもすごい。これからもっと進んでいきそうだ。

現在の人工知能を飛躍的に発達させたディープラーニングは、データ量がものをいうので、たくさん使えば精度がどんどん上がっていくわけだから、ますますいろんてサービスがうまれそうな気がする。

また、現実的には雀の涙しか報酬は入らないのかもしれないが、Algorithmiaにエンジニアがアルゴリズムを開発してアップロードしておくことで、ライセンス料として権利収入的な収入を得ることも可能ではある。

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