なぜ、競合がいてもあなたの商品は売れるのか?
なぜ、競合がいてもあなたの商品は売れると言えるのか—。
これからビジネスをやりたいと思っている人を支援している関係で、そうした人たちの話をよく聞く機会がある。そこでよく言われることの一つが競合について。競合がたくさんいるのに自分なんかが新しくビジネスを始めても売れないんじゃないか?という不安だ。確かに競合がたくさんいたら競争がそれだけ激しくなるので、その気持ちは分かる。
だが、競合がいるという理由だけで売れないと決めてしまうのはもったいない。
目次
なぜ、雰囲気が良く高評価のカフェなのに足を運ばないのか?
先日、自宅近くのカフェに行った。とても雰囲気がよく、平日の昼間でも人がけっこう埋まるという人気のあるカフェ。コーヒーもおいしいし、料理もおいしい。食べログの評価もなかなか良い感じだ。しかも、23時30分までやっていて夜遅くにいろいろとやることが多い自分にとってはとてもありがたい。
なので、常連としていつも通っているカフェ―。になるはずだった。
が、引っ越してきて外観を見たときに、これは良い感じのカフェだ、なんて思っていたのに、私は2回行ったっきり、その後は一度も行っていない。スタバなんて年間100回以上は行くし、他のカフェにはたくさん行くのに。
なぜか?
その理由は人。私は、基本的に店員の態度などはあまり気にしない。よっぽどひどくない限り、何とも思わないのだが、そのカフェのスタッフは一線を越えているように思えた。人をもてなそうという感じがまったくしないし、元気がないように見える。初めて行ったときは、たまたまかな?と思ったが、2回目に行ったときも同じだったので、たまたまではないなと判断した。
確かに味はいいし、店の雰囲気もいい。立地も良ければ、営業時間も申し分ない。でも、人が合わないとちょっと行く気にはなれない。 2回目に行ったのを最後にずっと行っていないし、今後も行くことはないと思う。
いくらすごい競合がいても全員がそっちにいくとは限らない
なぜ、こんな話をしたかというと、冒頭に書いたとおり、これからビジネスを始めたいと思っている人の話を聞いていると、競合を怖れている人が多いと感じるから。
ライバルがこんなのをやっていて、自分が考えているものよりも良さそうに思える。だから、自分なんかがやっても無理なんじゃ・・・。というように、競合を調べるとやる気が損なわれてしまってやる気が萎えるというケースが多々あるように思えるのだ。
だが、競合がいようと関係なくビジネスは成り立つし、競合がいるからこそ分かることやプラスになることだってある。例えば、次の4つがそうだ。
競合がいてもあなたの商品が選ばれる理由1
でも、私が体験したように味はいいし、雰囲気もいい。第三者の評価もなかなか良い。それでも、人が合わないから、あそこはイヤだという人が存在するのである。逆に人がいいから、味や価格はおいておいて、そこに行くということもあり得る。だからどんなにライバルがすごくても、全員が右にならえでそちらに行くわけではないということ。
競合がいてもあなたの商品が選ばれる理由2
それにある分野に興味のある人は、似たようなものにお金を使うもの。カフェ好きの人は、いろんなカフェに行くし、登山好きな人はいろんな登山用品に関心を持っていて、いろいろと買う。本棚を見たら似たようなジャンルの本が複数ある、なんてことはよくあることだろう。だから、あなたのやろうとしている商品やサービスも、競合の商品やサービスとともに売れる可能性は高いということだ。
競合がいるからこそ分かる、ありがたいこと
また、競合がいるということはそこに市場があるということを意味している。逆に一人も競合がいないという分野はそうそうないだろうが、その市場でビジネスをやっている人が少ないということは、まだ未開の地で大きな可能性を秘めているか、市場規模が小さいということ。
競合がいてもいなくても、それぞれ良い面とそうでない面があるので、自分が何をどうしたいかによっていろいろと変わってくるだろう。
競合がいるからこそできる売上アップの手段
さらに、ライバルというのは戦えば競合だが、うまく手を組めれば、仲間にもなり得る。お互いにお客さんを紹介し合ったり、共同で商品を開発して売る、なんてこともできるのだ。そのようなJV(ジョイントベンチャー)ができれば、お互いのリソースをうまく活用して、売上を伸ばすことはできる。
大事なのは始める前から勝手に諦めないこと
市場規模はそこまで大きくないものの、競合があまりいないニッチな分野を狙った方がいいという人もいるが、大きい市場の一部を狙う、といって年商数億円の会社を作っている知り合いもいる。むしろ、競合がたくさんいるような市場の大きなところを狙った方がいいという人もいるくらいだ。
ということで、競合がいようがいまいが、ビジネスはうまくいくし失敗もする。やってみなければ分からないので、やってみたいなと思ったらやってみたらいい。どうせビジネスなんてハズレが多いのが普通だし、今は個人でも、リスクを抑えて手軽にビジネスを始めることができる環境が整っている。
よく言われるように、バッターボックスに立たなければ絶対にヒットは打てない。野球なら10回打席に立って3回ヒットを打ったら優秀。ビジネスならもっと確率が低くて普通。ユニクロの柳井正さんは、1勝9敗という本を出しているくらい。
ビジネスは軌道修正が当たり前
やってみてうまくいかなかったら、修正をしていけばいいだけ。修正といっても必ずしも根本的に変えなければダメだ、ということではない。もちろん、全然違うことをやる場合もあるが、見せ方を少し変えたり、価値の提供の仕方を少し変えたりするだけでも変わる。
また、いわゆる「スタートアップ」の世界では、ビジネスの軌道修正のことを「ピボット」という言い方をする。用語として存在していることがポイントだ。つまり、修正することが当たり前だし、よくあることだから言葉として定義しているということ。
軌道修正したビジネスの例
例えば、YouTubeなんかがそうだ。最初はデート相手のマッチングサイトとしてつくられた。しかし、ユーザーは提供側が意図していた使い方とは違う使い方をし始めたので、そちらに修正していった結果、動画投稿サイトになった。
もっと身近な例でいうと、私の場合、最初始めたビジネスは当初、40代女性をターゲットとしていた。でも、実際に買うのは50代の男性が多いので、顧客ターゲットを変化させた。
カメラメーカーに勤めていて今は独立した友人は、最初、子供の写真をうまく撮るためのカメラのノウハウを売っていた。しかし、売ってみると、子供に限らず一眼レフの撮り方を学びたいという人のほうが多かったので、そちらに方向転換した。
いきなりうまくいくなんてことは稀なので、やってみて修正、またやってみて修正で先に進めていって、やがてうまくいくようになるということ。
まとめ
ということで、競合がいたら新しくビジネスを始めてもうまくいかない、なんてことは必ずしも言い切れないということ。勝手に諦めて行動しなかったら結果は絶対に出ない。
とはいえ、当然、何も考えずに行き当たりばったりでビジネスをやるということではないので、どうしたら売れるか?は常に考える必要がある。ビジネスを続けていく以上、やってみて起動修正というのは、永遠に繰り返されることになる。大変と思うか人もいるかもしれないが、だから楽しいと思うことだってできる。毎日同じじゃただのルーチンワークで飽きてしまうだろうから。