起業して商品をモールなどのプラットフォームで売る場合の注意点
「ランチ難民」という言葉を聞いたことがあるだろうか? 言葉から推測できるようにランチで困っている人たちだ。
都心のオフィスで働く人が昼休みにランチを食べに行こうと外に出たはいいものの、どの店をいっぱいで入れないとか、混雑していて並んでいるだけでランチタイムが終わってしまうといった困りごとを抱いている人たち。
そんな困りごとに目をつけたビジネスがTLUNCHというオフィスビルの空きスペースにフードトラック(キッチンカー)に出店してもらってランチの機会を提供するというサービス。
TLUNCHは、先日、行われたSTARTUP CATAPULT -スタートアップの登竜門-というSTARTUPの人たちによるプレゼンテーションのイベントで優勝したそうだ(【速報】フード系スタートアップが躍動!「TLUNCH」を展開する mellow がスタートアップ・カタパルト優勝(ICC FUKUOKA 2018)より)
TLUNCHが秀逸なのは関わる人たちが皆プラスになるという近江商人の三方良しみたいな形で事業を展開している点。こうした関わる人が皆プラスになるような仕組みは特にプラットフォームのようなビジネスを行なう上では重要だと思うので、TLUNCHの例は好例と言えそうだ。
ただ、プラットフォームを個人がつくるのは骨が折れると思うので、ここではそうしたプラットフォームを使った事業展開や起業に関してお伝えしたい。
今回はTLUNCHという事例を通しての話なので具体的には飲食店の話にはなるが、当然、フードビジネスに限った話ではない。プラットフォームなんてたくさんあるわけで楽天やAmazon、メルカリなどいろんな場面でも同じことが言えるという話だ。
目次
プラットフォームを使う場合のメリット・デメリット
TLUNCHというのはプラットフォームといっていいと思うのだが、こうしたプラットフォームにはメリットもあればデメリットもある。なので、TLUNCHに限らずAmazonでも楽天でも何かしらプラットフォームを使おうとしているのならメリット、デメリットを理解した上で活用したいもの。
下手をすると意味のないことをしていることにもなりかねないし、うまく活用して自分のビジネスにプラスにすることもできる(その事例もお伝えする)。
プラットフォームを使うメリット
プラットフォームを次の3つがメリットとして挙げられるかと思う。
- 集客してもらえる
- 信用につながることがある
- 買う障壁が下がることがある
それぞれ詳しく見ていこう。
集客してもらえる
メリットとして真っ先に挙がるのがお客さんを集めてくれることだろう。集客システムとして活用できるのは大きい。
自分でビジネスを始めて最も苦労するのが集客だというのはやったことがある人ならよく分かるはず。それをお任せできてどんどんお客さんを連れてきてくれるのは大助かり。
信用につながることがある
オンラインでもオフラインでもそうだが、名の知れたところで売られていればそれだけ信用につながることはある。飲食店ならそこまでないとは思うが、特に通販なんかは自社ページだけだと怪しまれることもある。見た目を気にしていない古いサイトだと特に。
オフラインでも、百貨店のイベントに出店できれば、怪しい店ではないだろうというのは感覚的にはあるだろう。
そうしたプラットフォームのブランド価値をうまく使えるケースはある。TLUNCHに関してはまだそこまで認知はされていないだろうからブランドという意味ではメリットはないとおもうが、ビルにはブランドがあるケースもあるだろう。
買う障壁が下がって売れやすくなる
こちらはオフラインではあまりないと思うがオンラインだとあり得る。
日本ならWebで何か買うときのプラットフォームと言えば、Amazon、楽天、Yahoo! ショッピングがメジャーなところだろう。もちろん人によるけれども、値段が変わらないなら多くの人が普段からAmazonで買う人はAmazonで買うし、楽天なら楽天を選ぶもの。単に使いやすいとかポイントがたまるなど理由はさまざまかと思うが、同じところを使うものだろう。あるいは商品のジャンルなどで分けいてる人もいるかもしれない。
また、買い物客が敬遠しがちなのは何かを買うときにそのシステムに新規登録が必要なケースかと思う。いちいち入力するのは面倒だし、信用されないケースもあるかもしれない。そこで買うのをためらってしまって売れないというともある。プラットフォームを使えば、そうしたもったいないことを解消できることもある。
プラットフォームを使うデメリット
では、プラットフォームを使うデメリットはなんだろうか? 主に次の2つが考えられる。
- コストがかかって利益を圧迫する
- 顧客ストを取れないことがある
詳細は次のとおり。
コストがかかって利益を圧迫する
集客してもらっているのだから当然といえば当然なのだが、大きなコストにはなる。ちなみにこの記事を書いた時点では、TLUNCHの場合、サービスを利用する上での登録料などはかからないが店は売上の15%を払う必要がある。
これはどういうことかいうと、売上の15%の額が“利益”から消えるということを意味している。
例えば、800円のランチを販売しているとする。それが売れれば、店としては売上の15%に相当する120円をTLUNCHに支払う。つまり、仮に原価が200円だったとすると、自分が1人でやれば600円が粗利になるのが、TLUNCHを通すと480円の利益にしかならないということだ。この例なら粗利だと20%が消えていくことになる。
その代わり、お客さんはどんどん引っ張ってきてくれるので、その対価であり広告費と考えれば安いケースもあるとは思う。
顧客リストを取れないことがある
プラットフォームによるとは思うが、買ってもらったお客さんの情報を手に入られらないケースもある。楽天はそうなっているはずだ。
当たり前だが、オンラインに限らずオフラインでも顧客リストはどんどん増やしていくべきもの。一回買ってくれた人は繰り返し買ってもらいやすいわけで、顧客リストは大事な資産だ。
それができないのはとても痛い。毎回、常に使用料を払わないといけないわけだし。しかも利益ではなく売上から一定のパーセンテージが抜かれるのは、利益換算だとより一層響く。
1店舗だけその他の店と違っていた
フードトラック(キッチンカー)は個人的にはよく利用していてTLUNCHを通して出店している店にも何度もランチを買って食べている。この記事を書いた日も買った。写真撮ろうと思ったときにはすでに食べ終えてしまったが笑
で、いろんな店舗で買ったなかで、ある1つの店だけが他とは違っていた。これが、プラットフォームを使う上では是非ともやっておきたいポイントなのだが、それをやっているのは1店舗だけだったのだ。
もちろん、私が気づかないだけというのもあるのだけれど、10店舗以上の店で買ってみて売上に直結する難しくもなんともない簡単にできる施策をやっているのは1つだけというのはなかなか興味深いなとは思えた。
プラットフォームを使ううえでやっておきたいこととは?
では、その1つの店は何をしているか?
それが、先ほども触れたが顧客リストを作っているということ。具体的には、その店舗だけがメールマガジンへの登録を促しているのだ(メルマガを読んでいただいている方は、先日の話につながるのが分かるとは思う)。
その店がやっているのはメルマガに登録してくれたら割引しますよという施策。そうすることで、値下げの分の利益は減るものの、一度来てくれた人の連絡先を知ることができるのは大きい。
今日のメニューだったりお得なお知らせだったりをメールで知らせることで、それを受け取った人はまた来てくれる可能性が高まるからだ。繰り返し買ってもらうことで利益を積み重ねていける。
さらに、店舗を別に構えていたり、他の場所でも販売していたりしている場合に、プラットフォームから来てもらったお客さんを他に流せる可能性があるということもポイントだ。
その重要さを知っているから楽天などのプラットフォームは顧客リストを出せないようにしているわけだ。TLUNCHの場合には特に規制はしていないようなのだが、1店舗しかやっていないのはもったいないと思える。
何かしら事情があってやっていないケースはあると思うので、一概にはこうだとは言えないが、単にやっていないだけならもったいないこと。
まとめ
ということで、TLUNCHのネタからプラットフォームを使って何か売るときのメリット・デメリット、注意点、やったほうがいいと思えることをお伝えした。
これから起業したい人、実際に起業しているけど苦労している人、起業てうまくいっている人、いろんな人たちを見てきたが、うまくいっている人はやることをやっているか、運がいいかのどちらか。
結果を出すには当たり前のこと、しっかりとやっていくことが重要であり、ウルトラCみたいなすごいアイデアが必須ではない。そうしたアイデアは面白いし、あるに越したことはないのだけれど、結果が出ると分かっていることをしっかりとやるから結果につながるもの。