お客さんの行動からリスクなく売れる商品・サービスを作る方法
思わぬことからヒット商品が生まれるというのはよく聞く話ではないかと思う。そうした事例の中でも、以前何かのきっかけで聞いた話がとても興味深いので、ご紹介したい(いろいろ調べたがオリジナル記事はすでに削除されているようだ)。
この事例はインターネットは関係ないが、ビジネスという観点ではオンラインもオフラインも何も変わらないので、アイデアを生み出す方法として捉えるといいかなと思う。
目次
想定外の異常な行動をとるお客さん
ある殺虫剤メーカーが停滞していた業績をなんとかしようと策を練っていた。彼らはまずは商品を使ってくれているお客さんのことを知らないといけないと考え、殺虫剤の利用状況を調べることにした。
すると、普通では考えられないような使い方をしている例を発見。
なんと毎週毎週、殺虫剤を使い切っていたのだ。もちろん、殺虫剤がやたら小さな容器に入っていたわけではないし、業者が業務用に使っているわけでもない。普通の一般家庭の女性が週にひと缶もの量を使っていたそうだ。おそらくはあなたも殺虫剤は使ったことがあるか、たとえ使ったことがなくても見たことはあるはずだから、普通に考えて異常な量だというのは分かるだろう。
相当なヘビーユーザーであり、会社としては嬉しいことではあるだろうが、さすがに理由が気になる。そこで、詳しく調べてみると予想外のことが分かった。
お客さんが異常な行動をとっていた理由
詳しく調べてみると意外な事実が分かった。その女性は一匹のゴキブリを殺虫剤でやっつけるのにとんでもない量を使っていた。その理由がゴキブリが死んでいるかどうかは関係なく、ピクピクと動いているのがイヤだったから。
普通、殺虫剤を少し吹き付けるだけで、やがてゴキブリは息絶えるのだが、それまでの間に動いているのが気持ち悪くて仕方がなく、動かなくなるまで延々と殺虫剤を吹きかけていたそうだ。死体に弾丸を撃ちこんでいるようなものなので、なんだか残酷に思える……。それに、やたら使うからその風圧で動いていたんじゃないかとも思えてくる……。
それはさておき、予想外の使い方を知ったそのメーカーはある行動に出た。
その後のメーカーのとった行動がヒット商品を生むことに
この女性と同じように殺虫剤をとんでもなく使う人はいないにしても、同じようにゴキブリが動くのがイヤでイヤで仕方がないという女性は他にいそうだ。そこで、そのメーカーはゴキブリがすぐに動かなくなるように麻酔効果のある原料を殺虫剤に入れた。ゴキブリに殺虫剤を吹きかけたらすぐに動かなくなるようにしたのだ。
すると、その殺虫剤は爆発的なヒットとなり、すでに停滞期に突入して成長が見込めないと思われていた市場規模が拡張するというほどの影響があったそうだ。
このニーズはお客さんを実際に見なくては分からなかったことだろう。インターネットは調べたら何でも分かるなんて言われるが、実際に見てみないことには分からないことはまだまだたくさんありそうだ。
リスクを抑えてビジネスしたいならニーズに合わせてつくる
この殺虫剤の事例は、人にニーズに応えたら売れるという当たり前のことがよく分かる事例だ。リスクを抑えてビジネスを始めたかったら、ニーズのあるものを調べてそれを売るのが一番。どうやってニーズを調べるか?は無料でもできることがたくさんあるのだが、まとめきれていないので、後ほどまとめたい。
当たり前のことだが、こうすれば確実に売れるというありもしない具体的な魔法のような方法を求めている人や、自分のやりたいことを優先して相手のニーズに応えようとしないケースはたくさん見てきた。
こう言うと、やりたいことをやろうとすると自分本位になってしまって、ビジネスとして成り立たないのでは?と考える人もいるが、そんなことはない。理由は簡単でやりたいことをやってお客さんに支持されている事例があるからだ。アーティストや研究者なんてそのもっともたるものだろう(無理にやっている人もいるが)。
具体的には、マザーハウスの山口絵理子さんの話が多少は役立つと思うので気になる人はこちらをどうぞ。
だからといってお客さんの要望に応えても売れるとは限らない
ただ、注意したいのはニーズがあっても売れないこともあるということ。というのも、お金を払うほどのニーズかどうかという壁があるから。
例えば、街中でコンビニを探していたとときにコンビニマップがあったなら誰でも欲しいと思うはずだ。が、有料で買うだろうか?今ならスマホで検索したらサッと無料でどこにコンビニがあるかはすぐに分かるのだから、よほど便利でない限り、買う人はそうはいないはずだ。
ニーズに関してはこちらの記事が参考になると思う。ニーズの深さについて5つの段階を提示しているので、ビジネスを考える上でのヒントになるものと思う。
成功する起業のビジネスアイデアを生み出すために役立つ5つの視点
ただ、やる前にいろいろと考えていても、絶対に結果は分からない。やってみなければ、うまくいくかなんか分かりようがないんだから、行動して確かめてみてダメなら修正していくしかない。
リスクは考える必要はあると思うが、たいして失うものもないのに単に漠然とした不安や失敗の恐怖があるという理由で動けないのはとてももったいないこと。失敗したって誰も見ていない。自信を失うからイヤだという人もいるとは思うが、考え方次第。
料理をしていて味付けが薄くて失敗したら、自分はダメな人間だとかいって自信を失うだろうか?おそらくそんなことにはならずに、出汁をもっと入れたり、調味料を入れたりして調整するはず。リスクが許容できるならビジネスだって同じこと。
まとめ
ということで、お客さんのニーズに応えるのがビジネスの成功の近道というのは当然だが、忘れがちだし、現場を見ないと分からないこともあるので、机上で考えるだけでなく実際の声を拾うといいということ。ただ、ニーズといってもお金を払ってでも満たしたいかどうかがポイントなので、何でもいいわけではない。
また、やってみなければ分からないので、冷静にリスクを考えて問題なければ、さっさとやってしまおう。