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スプツニ子!(MIT助教)さんの講演がすごかった

スプツニ子!(MIT助教)さんの講演がすごかった

先日、スプツニ子!さんの講演を聞きに行ってきた。名前は知っていたが、正直、何をやってどんな人なのかはイマイチ分かっていなかった。なぜ注目されるのか?どんな意図で作品をつくっているのか?が分かった今、ようやく多少なりとも理解ができ、すごい人だと思えるまでになれた。

では、何がどうすごいのか?彼女のバックグラウンドや考えている軸などが分かると見えてくる。

スプツニ子!さんのバックグラウンド

簡単な生い立ちと軸となる考え方が分かるだけでも、理解が深まるので、それぞれまとめた。

生い立ち

日本人の父とイギリス人の母との間に生まれたハーフ。東京で生まれて東京で育ち、日本人の血は流れていても、日本人ではなくイギリス人でもない「ハーフ」という扱い。

また、講演では話してはいなかったが、成績はずば抜けて良くて飛び級するほど。加えて、日本に住み生活していてく中でジェンダーの問題意識も芽生えていったようだ。

世界観が違う者同士でどう議論していくかというのは、スプ子さんの作品でもしばしば扱われますね。先ほど少し話したダナ・ハラウェイの、フェミニズムやジェンダーを考える姿勢にも影響を受けているようにお見受けします。そのあたりへの問題意識も、やはり相当大きいんですね。

スプ子:それは日本に生まれて暮らす女性として、当然のように疑問がいっぱいあるからです。当たり前のように女性の権利を無視した考え方を持つ大人の男性が多すぎます。「女性手帳」も、どれだけ女性のIQが低いと思われているんだろうって思う。つい先日も橋下・大阪市長の慰安婦発言が問題になりましたが、欧米の友達にすっごい同情されて「そういう場所で女性としてよくやってるよね」みたいなことを言われるし(苦笑)。そういう意味で怒りのエネルギーは常にあります。

引用:CINRA. STORE

講演で素晴らしいなと思ったのは、どんな人にもオポチュニティ(機会)がある社会にしたいという思い。それは、こうした背景があってのものだと思える。

持っている考え

人の思想が変われば、世界は変わると考えているそうだ。これは、後述するように社会や文化、宗教によってテクノロジーの進化が変わるということを知ったことが大きいように思える。

アートの世界でデザインを使って、発想やイメージを変えるための作品を生み出しているのは、その考えを実現させるためのように思える。

スプツニ子!さんがやっていること

スペキュラティブデザインということをやっているのがスプツニ子!さんの活動。デザインというと問題を解決するためにどうデザインするか?という視点だったり、見た目や機能性に関することに関心を持つのが普通かもしれない。自分自身そうしたイメージを持っていた。

が、スペキュラティブデザインというのはそうではなく、こんな未来はどう?と提案するデザインだそうだ。

デザイン・フィクションという言葉も使っていた。

デザイン・フィクションとは、未来になっても何も変わらないだろうという考えを見直してもらうために活用する、物語的プロトタイプのことだ。今まで思いついた中で、この定義が一番しっくりくる。ここで重要なのは「物語的(diegetic)」という言葉だ。未知のオブジェクトやサービスが生まれる可能性について真剣に考えること、そして、世間一般の事情や政治的トレンドや地政学的な策略よりそっちの方に、みんなの力を集めようとしていることを意味する言葉なんだ。デザイン・フィクションはフィクションの一種じゃない。デザインの一種だ。それは、ストーリーというより、世界を伝えるものなんだよ。
ブルース・スターリング

EKRITS<エクリ>

こうした背景や考えがあって、彼女の作品が生まれていると分かると、作品の理解が進んだり自分なりの解釈をしやすいだろう。

Menstruation Machine, Takashi’s Take/生理マシン、タカシの場合

スプツニ子!さんの最初の作品が生理マシン。大学卒業制作でつくったんだそうだ。どういった過程でつくったのかは、今のビジネスの環境にも通じるものがあり、ビジネスに関心のある人にも役立つと思うので、こちらのスプツニ子!というアーティストが一躍有名になった最初の過程という記事を読んでいただきたいところ。今のソーシャルの時代だからこそ、有名になったアーティストとも言える。

私がこの作品を何の知識もなく単体で見ても「変わったのがあるな」としか思わなかったと思う。講演で彼女のバックグラウンドを多少なりとも知った今は、なるほどと思える。感度の高い人は、前提知識なしに作品を見ただけで分かってしまうのだからすごいもの。

ちなみに、なぜ、タカシという名前なのか?は後述する。

The Moonwalk Machine – Selena’s Step/「ムーンウォーク☆マシン、セレナの一歩」

NASAからメールが来たことがきっかけで作られた作品。NASAの意図は、宇宙開発に関わる女性を増やしたいということ。

女性も月に、ということで月面にJPLという文字をなんて話があったそうだが、そんなんじゃ全く女性らしくない。ということで、スプツニ子!さんがやったのは、女性の足跡をつけましょうということ。ヒールを履いた女性の足跡を月につけたら?という発想。月面ローバーを開発する女性の映像作品をつくった。

男社会の影響が色濃く出ているところに、女性の感性を取り入れるというのは、新しいものを生み出すには必要のように思える。

13歳が特殊宇宙ロケットの打ち上げに成功、DIYサイエンスの力

もっと女性を科学の分野に進出してもらうということでもあるわけだが、それに関連して聞いたのが、13歳の女の子がロケットを宇宙に飛ばしたという話。その映像はこちらの記事に。
13歳の女の子が宇宙ロケット発射に成功した映像がすごい| IDEASITY

DIYサイエンスという言葉があるそうで、今やNASAは彼女のようなアマチュアのサイエンティストに様々な解析を依頼しているそうだ。

Crowbot Jenny / カラスボット☆ジェニー

イルカ、コウモリ、カラスには、言語にバリエーションがあって国によって言語が違うそうだ。人とのコミュニケーションが苦手な人が人間以外の動物とコミュニケーションをとったら?という発想でカラスとの交流マシンを制作。

スプツニ子!さんが作った装置は適当なものではなく、ちゃんとカラスが反応する。実際の映像がこちら。場所はイギリス。何と相手に言っているかは忘れたが、食べ物はあるか?的な内容だったような記憶がある。

講演時間の関係上、本人からの解説はなかったので、東洋経済の記事を引用しておく。

《カラスボット☆ジェニー》をつくるときには、鳥類の研究者と話し合って作品をつくった。アートの世界とサイエンスの世界は一見縁遠いように思えるが、そこをつなげたのだ。

渡り鳥は人間のいないところに飛来する。だから北朝鮮と韓国の軍事境界線のように、紛争で人が入れないところが動物の楽園になる。そこにロマンを感じる。研究者たちから、そんな話を聞くことができた。

本やインターネットを見ているだけでは得られないものを、異分野に飛び込むことで得られたのである。その交流が、具体的に作品のどの部分に影響しているかというのは言い表すことができないが、大きく影響を受けていることは確かである。人間一人では、生まれてくるアイディアや発想に限りがある。どんどん外に出て行って、見知らぬ人たちと話したほうが絶対に面白いものができる。

引用:東洋経済

Tranceflora – エイミの光るシルク

オキシドシンという脳内ホルモンを使ったシルクを使うことで、本物の勝負ドレスが作れるかもしれない。講演での解説よりも、こちらのクーリエジャポンの記事に書かれていた内容を読んだほうが意図がつかめると思うので、引用したい。

今回の展覧会では遺伝子組換えによって作られた光るシルクなどを使って作品をつくっています。遺伝子組換えについては、なんとなくニュースで聞いたことがあるってくらいの人も多いと思うんですが、今回の作品を通して、その技術が実際にどこまで進んでいるのかを多くの人に知ってもらえればと思っています。

私はMITメディアラボにいることもあって、バイオテクノロジーの話題に触れる機会が多いんですが、「未来のこと」のように思えるような突飛な発想もすでに実現できるものが表れはじめています。

たとえば、男性と女性の境界線が曖昧になるかもしれないとか、人間に動物の遺伝子を組み込むことができるかもしれないとか、人は永遠に生きられるようになるのかもしれないとか、これまでは宗教や倫理的側面からありえないとされてきた概念が、根底から覆されかねないところまできています。その現状をたくさんの人に知ってもらいたいなと思ったんです。

今回の作品の主人公であるエイミちゃんは大好きな人がいるんですが、その意中の相手を振り向かせるため、つまり自分の欲望のために蚕の遺伝子組換えを行います。オワンクラゲやサンゴの遺伝子を蚕に組み込むことでできた光るシルクや、バラの香りのするシルク、「恋愛ホルモン」とも言われるオキシトシンを含んだシルクなどを作りだして、最強の愛のドレスを制作しようとするんです。

ギリシャ神話に、アフロディーテという愛と美と創造の女神がいるんですが、彼女は海から生まれ、バラの香りに包まれて神々を魅了します。つまり、今回のエイミちゃんの話は、最先端のバイオテクノロジーによって作られた現代版のアフロディーテ神話とも言えます。

SFのように聞こえるかもしれませんが、これはただのおとぎ話ではなくて、実際にオキシトシンを含んだシルクは生物研と共同で開発を始めたところで、半年後には最初の糸ができそうなところまできています。バラの香りがするシルクも、難易度が少し高いけれど取り組んでいるところです。

アーティストの妄想が、実際にバイオテクノロジーの世界では叶ってしまうわけで、そういった「不思議な今」を見せられるといいなと思います。

引用:クーリエ・ジャポン

オキシドシンは、恋愛以外のところでも効果が期待されている。例えば、信頼が高まるそうなので、商談の契約もまとまりすやすくなるらしい。なので、そういう意味でも勝負服が出来るかもしれない。

この展示は見ておけば良かったと後悔したが、まだ序章らしく続きの構想があるそうなので、それを楽しみにしたい。

作品をつくるまで

日常のネタから想像してデザイン(スペキュラティブデザイン)するそうだ。登場人物の身になって考え、ストーリーをつくり、共感のゲートウェイ(入り口)をつくる。

生理マシンの”タカシ”の名前の由来

登場人物の名前には、そこまで意図があるわけではない模様。

講演で本人から聞いた話によると、生理マシンに登場するタカシは、ロンドンの店(日本でいうところの飲み屋)で見かけた男性の名前。名前からして日本人だろうと想像できるその男性は、店員をナンパしていたそうだ。彼が店を出る際にテーブルに自分の名前と電話番号を書いた付箋を貼っていったらしく、それを見たら「アサクラタカシ」という名前が書いてあった。それを採用したとのこと。

作品に関連した考えさせられること

講演で聞いた、スプツニ子!さんの作品ができた背景にとなるようなこと、作品で問題提起したいこと、作品が未来の提案となるようなことに関連することをまとめる。

ピルの認可は10年なのに、バイアグラの認可は6ヶ月

避妊用のピルが認可されるまで10年かかったそうだ。一方、バイアグラはというと6ヶ月。単純な比較はできないとは思うし、専門的なことは分からないが、この違いはあまりにも大きくないだろうか?

薬の認可に関しては男性社会だということであり、男中心ならバイアグラは認可したがるだろうと考えても的外れとは思えない。そして、薬に限らず、多くの分野で男性中心だろうということ。

無自覚のダイバーシティ排除

なるほどと思えたのは、講演で話があった超人スポーツ委員会という組織に関して。ダイバーシティを、と言いながらも49人の委員のうち女性は2人だけ(今はどうか分からないが)。ここで問題とされるのは、無自覚で男性を選んでいるということ。

意識すらなく選別をしていたら、とてもではないがダイバーシティなんて無理だ。ちなみにMITでは、リストを2回チェックするんだそうだ。例えば、女性はいる?ヒスパニックの人は?アフリカ系の人は?など。

女性の生理はずっと止められる

これは話を聞いて驚いた。避妊用のピルを飲むことで、女性に毎月訪れる生理をなくすことができるそうだ。ピルのパッケージを見せてもらうと分かるが、3週間ピルを飲んだら1週間はピルではない錠剤を飲むように設計されている(そうでないタイプもある)。

これはあえて生理を来させるための措置のようだ。要は薬を飲み続けていれば、ずっと生理は来なくなるということ。なぜ、生理を来させるようにしているかというと、少なからず社会や文化、宗教などが影響しているから。生理をなくすなんて、とんでもない、と。

体への負担があるからという理由もあるのだとは思うが、たとえ負担がなくても反対されることは想像に難くない。

LGBTといったマイノリティな人の理解

女装をたしなんでいた男が女性をより理解したくなって生理を体験しようと思って作ったのが生理マシン。トランスジェンダーの人や性転換手術をした人といったマイノリティへの理解という意味もありそうな気がする。

同性愛者間の子供はつくれる

ノーベル賞に輝いた山中教授が研究しているiPS細胞。どんな細胞でも作れてしまう能力があるので、万能細胞とも呼ばれる。

そのiPS細胞があれば、子供だってできてしまうと考えられる。女性同士のカップルなら2人に子宮があるので、細胞さえなんとかしてしまえば、子供が産めるというわけだ。男性同士のカップルの場合は、代理出産が必要になるが、それでも可能と言える。

東京農業大学の河野友宏教授が、卵子だけを使ってマウスの子供を誕生させることに成功しているというのなだから、人でできてもおかしくはない。

宗教や倫理的な観点からどうなるかは分からないが、LGBTの理解が進んで同性婚もできるようになっているので、絵空事とは言い切れない。

社会、文化、宗教によってテクノロジーの進化が変わる

要は、そうした社会だったり、国や地域の文化、宗教に左右されてテクノロジーの進化が変わるということを意味している。そこに一石を投じる作品をリリースしていると言えるから、評価されるということ。そう思えた。

まとめ

なかなかまめるのは難しいが、こうした卓越した人たちの考えていること、やろうとしていることが少しでも分かると、私のような凡人の物の見方に多少なりとも影響を与えられる。それが、積み重なることで、自分の色がどんどん出てくるように思うので、今回の講演はとても有意義だった。

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