なぜ、LINEは急成長した?LINEを広めた中心人物、舛田淳氏が明かした戦略

LINEの急成長の土台にある思い

先日、NewsPicksとWBS(早稲田ビジネススクール)が主催した講演に行ってきた。LINEの役員でLINEを急成長させた中心人物である舛田淳氏を呼んでの講演。講演タイトルのように常識を打ち破るビジネスがテーマ。LINEという具体的なうまくいった事例をもとに、どんな考えで、どう常識とされることを破ってきたのか?を話していただいた。

2時間という限られた時間ではあったが、LINEの生みの親でも育ての親でもある舛田さんのお話は非常に興味深く、なるほどと思えることがたくさんあった。常識を打ち破るといっても突飛なことをやっているのではなく、ベースとなる自分たちの思いや価値観をもとに、ロジカルに考えた上で進めていったようだ。

LINEを広めた土台となる思い

LINEの急成長の土台にある思い

どうやったか?も大切だが、そのやり方を生み出す元は、その組織や人の理念や価値観。それらが土台にあってこそやり方が生きるものと思うので、最初に土台となっている考えを書いておく。

Before / Afterのターニングポイントになるものをつくる

LINEという組織では、Before / Afterのターニングポイントになるようなものをつくるという思いがあるそうだ。講義の最初の頃に「世界No.1のサービスをつくりたい」ということを話していたのは、その思いがあるからだろうと思える。

実際、それがLINEというサービスに見事に現れている。

振り返ってみると、2011年にリリースされたLINEは、確かに我々のコミュニケーションを変えたと言えるだろう。

それまで、スマホやケータイでのコミュニケーションはSMSが中心だった。もちろん通話も使うけれども、SMSのほうが手軽だし、頻度としては多かったんじゃないかと思える。

それが、LINEの登場と普及によって、様変わりした。自分の状況を見ても、メールなんてほとんど使わない。カカオトークやcommといったサービスもあってスマホに入れはしたけれども、ほぼ使うことなく消してしまった。今やLINEが当たり前で、メールアドレスは知らないけれど、LINEでつながっている人もたくさんいる。

まさにBefore / Afterのターニングポイントになったサービスだ。

世界一のサービスをつくる

Before / Afterのターニングポイントになるという思いは、中途半端なものでは到底実現できない。ならば、世界一のサービスを目指すというのは当然の考えと言えるだろう。

親会社のNAVERは韓国では、検察分野でトップであり、過去に日本に進出した際には日本でも検索でGoogleやYahoo!に勝とうとしていた。が、太刀打ちできずに一度撤退している。

なぜ、LINEというアプリをつくったのか?

LINE

過去の失敗を活かし、日本進出のために世界一になれるものは何か?と現在の主要なサービスを分析しながらいろいろと検討を重ねたそうだ。そして、写真、SNS、オンラインストレージ(Nドライブ)、ゲーム、といろいろと考え、やったてみたのだが、どれも失敗続きだった。

ずっとPCで勝負してきたのだが、PCではどうも勝てる見込みがないように思えてきたそうだ。そこで注目したのがスマホ。これからスマホが普及していくのは確実だろうと考え、スマホに活路を見出した。

どんなサービスをつくるかは、今まで検討したサービスの中で残っていた候補であるコミュニケーションにした。それがLINE。それまで、失敗続きだったということもあって、今までチャレンジしてきた一連のプロジェクトの最後として捉えていたそうだ。

LINEを広めるための戦略

LINEを広めるための戦略

やることが決まったら、どうしたらそれを多くの人に使ってもらうか?が鍵になる。舛田さんは、ビジネスはゲームだと講演の最初に話していたので、舛田さんの思考としては、ゲームを制するにはどうしたらいいだろうか?という考えになる。

いろんなやり方があるだろうが、その答えの1つは、ゲームチェンジをしてしまえばいいということだ。ゲームチェンジができれば、一気に勝てるしバックも大きい。

それに、ゼロから何かを作り出すのは骨が折れるが、すでにあるものをベースにすれば、ゲームチェンジで一気に攻めて勝つことで大きくシェアがとれる。

ゲームチェンジするための戦略が逆張り

では、どうしたらゲームチェンジできるのだろうか?これまたいろんな方法があるだろうけれども、舛田さんが考えたのは、逆張りだった。どんどん伸びゆくサービスがあって光が拡大していくのなら、その影になる部分も大きくなるはずだから、その影に張って勝てれば、ゲームチェンジができるというわけだ。

当然、逆張りといっても、単に反対のことをすればいいというわけではない。大きな時代の流れ(ここではスマホシフト)があってこそであり、タイミングも重要になる。目指すのはただのニッチではなく、世界No.1なのだから当然だ。

逆張りでLINEを広げるにあたっての土台

では、具体的にはどうやって逆張りをしていったのか?

土台となる考えは、時代の流れであるスマホシフトであり、コミュニケーションのサービスを提供すると決めていたこと。そして、世界No.1という思い。それらをもとに考えていった。

メインターゲットを女性に

PC中心からスマホ中心になるというのは、どんな意味があるのか?利用者に着目すると、PC中心の時代はテック系のいわゆるギークと言われる人が中心になっていたが、スマホの時代は違う。スマホはPCよりも一般的に使う道具であり、誰もが持っていて日常で使う。ヘビーユーザーも専門知識なんてない一般の人になるだろう。(実際、私の姉は仕事以外でPCを使うことはほとんどないそうだ。完全にと行ってもいいほどスマホシフトした)

そして、スマホシフトという流れの中、コミュニケーションのサービスをつくるとするなら、想定するメインの利用者は誰になるだろうか?そう考えると、男性ではなく、女性になるのが当然だろう。ギークと言われる人たちでもない。なので、LINEのターゲットは一般的な女性ということになる。

これまでのWeb上のサービスなどは、いわゆるイノベーターやアーリーアダプターはそれまでのといった新しいことを取り入れる層はギークと言われるような人が中心だったので、常識的に考えればギークに受けるようなものを作るのだが、それは、あくまでPC主体だからだ。しかし、LINEの場合は先ほどのとおり、ギークではてく、女性がメインになると考えていた。キャズム理論でいうところのイノベーターもアーリーアダプターも女性

それまでの常識とは違う考えにはなるが、時代の流れと、何をしたいかを元に考えると、ターゲットが決まり、ターゲットが決まれば、次にどうするべきか?が見えてくる。それが常識と反することであっても、ロジカルに考えて正しいと思うことをやったということになるだろう。

どうやってLINEを広めるか?鍵となった4つのこと

どうやってLINEを広めるか?鍵となった4つのこと

LINEを広めるにあたって鍵となったの以下の4つの変化。

  1. PC → Smart Phone
  2. Open(知らない人とつながる)→ Closed(知っている人とつながる)
  3. Information(情報) → Emotion(感情、気持ち)
  4. Text(文字) → Stickies(ステッカー、絵)

前提として考えている「PC → スマホ」という流れが根底にあり、逆張りの視点と、女性をターゲットしたことで、

Open(知らない人とつながる) → Closed(知っている人とつながる)
Information(情報) → Emotion(感情、気持ち)
Text(文字) → Stickies(ステッカー、絵)

の3つが導き出されている。

Open →Closed、逆張りするにあたっての「光と影」

Googleを中心としたWeb関連のサービスは、オープンさこそがWebサービスというような流れになっていて、Facebookも知らない人とどんどんつながれるオープンさがあった。

しかし、それが普及していく一方で、生まれる影もある。Facebookをまったく使わない人やあまり使わない人たちだ。そうした人たちは、リテラシーが低くPCやスマホ操作に不慣れだったり、新しいことに抵抗があるから使わないのだというのが一般的な見方だったが、舛田さんはそうは考えなかった。

Facebookを使わない人の中には、リテラシーが低いからという人ばかりでなく、オープンさに怖さがあるから使わないという人もいるということ。Facebookでは、基本は知らない人も知っている人もごっちゃになる。そこに怖さを感じる人もいるし、不便さを感じる人も当然いる。

そこで、Facebookのように知らない人とどんどんつながれるのではなく、知っている人同士のクローズドなつながりを考えたというわけだ。それに、世界No.1を目指すにあたっても、今からメッセンジャーアプリで勝負するのは至難の業だが、クローズドなメッセンジャーアプリならチャンスがあると考えられる。

LINEがFacebookやTwitterなどと連携しなかった理由

それまでの常識で考えると、コミュニケーションのサービスを提供するなら、他のサービス、例えばFacebookやTwitterなどと連携するのは、当たり前といえることだった。

だが、LINEはFacebook連携もTwitterも、そして、それまで自社で持っていたいかなるサービスとも連携しなかった。そのせいもあって、テック系のメディアではこんなサービス普及しないと言われていたそうだ。

だが、Facebookと連携したらクローズドなつながりというコンセプトではなくなってしまう。そうした明確指針があってのことだったので、意に介さなかった。

あくまで想定している利用者をベースに考えているということ。

なぜ、電話帳とだけ連携したのか?

FacebookやTwitterなどどは連携せずに、電話帳と連携したのには理由がある。日本の場合、関わりたくない人とは電話番号を交換しないのが普通。電話帳と連携すれば、LINEを最初に使うときにすでに知っている人がズラッと並ぶようになり、知っている人とのつながりが瞬時に生まれるからだ。

もちろん、電話帳には電話番号だけが記録されているとは限らないし、たいして仲の良い人でなくても電話番号を登録している人もいる。だが、事前のリサーチで電話番号はプライベート性が高いものであり、あまりオープンにする情報ではないということを客観的に知ることができたこともあって、電話帳とだけ連携するようにした。

これも、想定している利用者はどんな人か?ということから発想しているということ。

女性を意識した機能(Information→Emotion、Text→Stickies)

利用した人がどんどん使いたくなるようなサービスならそれだけ普及するし、ずっと使ってくれもする。では、利用者が女性でありコミュニケーションとして使うのであれば、どうしたらいいのだろうか?

考えられるのは、どれだけ気持ちを表現できるか、だろう。女性のコミュニケーションを考えたら、単なる情報をやりとりするのではないことは分かる。気持ちを分かってもらいたいという思いだったり、たわいない会話をするだけだったりと男性とは明らかに違っていて感情がキーになる(Information → Emotion)。

そこで、重要な役割を担うのがLINEの特徴の一つであるスタンプだ(Text → Stickies)。

男性ならテキストだけでも十分かもしれないが、女性を利用者と考えるならテキストだけでは足りない。LINEのスタンプはテキストでは表現できない感情表現ができるし、使っていて面白くてどんどん使ってしまう。

スタンプが生まれた経緯

リサーチのために女性を集めて意見を聞いたとき、最も反応があったのがスタンプだったそうだ。ムーンというLINEのキャラクターは気持ち悪いという意見がある一方、面白いと好意的な人もいて賛否が大きく分かれた。

注目すべきは、スタンプの賛否が大きく分かれ、他の機能とは反応が大きく違ったということ。ここまで注目があるなら、これは取り入れるべきと考えて導入したそうだ。無難な機能は普通で注目されないが、特徴ある他にはない機能で面白さがあれば使いたくなる。

ところで、スタンプは偶然が生んだ産物だそうだ。スタンプをふざけて通常よりもだいぶ大きなサイズでLINEの画面に送ったら、思いのほか良かったようでそれがきっかけで取り入れられた。ちなみに、ムーンというキャラはアルバイトのデザイナーが作ったキャラで、その功績からそのデザイナーは正社員に昇格したらしい。

ユーザー獲得のためのポイント

LINEのユーザ獲得のポイント

想定する利用者を考えたときの使いやすさを追求するだけでも口コミで広がりはするだろうが、さらに加速的に広げるためには、他の手段も使っていった方が効果的だ。

LINEはどんな考えのもと何を実行していったのだろうか?

広がる仕組み作り

広げるには知ってもらわないといけないし、コミュニケーションのツールなら使っている人が多くないと価値が低くなる。反対に沢山使う人がいればいるほど価値が大きくなり、利用者が増えれば増えるほど、さらに利用者が増える。いわゆるネットワーク効果というやつだ。

そのネットワーク効果による利用者数増加をもたらすためにやったのが、次の2つの機能をLINEに入れたということ。それがスタンプと無料通話だ。

スタンプは気持ちを表す手段でもあり、面白く感じるので使いたくなる要素でもある。

無料通話は、当時はそこまで広まっておらず、話題性があるので、人に伝えたくなる要素となる。友達に役立つ情報を教えてあげるなんてのは、日常の会話でもよくあることだからだ。

「これ、無料で通話できるらしいよ!」

ということが、日常の会話の話題になるのは想像できる。

で、実際に数字を見てみると、紹介で広がっていることが確認できたそうだ。つまり、LINEを使う人が増えると、それに伴って利用者が増える状態になったということ。そこで、次の一手が有効になる。

拡大をブーストする

利用者が増えれば、それに伴って自然に利用者が増える仕組みができあがった状態になった後にやったこと。それがCMだ。利用者を獲得できたら、増えることが分かったのだから後はどんどん利用者を集めればいいことになるので、認知してもらうためにCMを活用した。

CMでもポイントは誰が利用者なのか?ということ。そこで、ターゲットとしている人たち(若い女性)に支持されていた有名人の一人としてベッキーを起用することにして、訴求ポイントもこれまでとは変えた。

今までは、例えば、「スマホメッセンジャーアプリ」といったような呼び方でLINEを表現していたのを、「無料通話メッセージアプリ」のように、訴求するポイントがすぐに分かるようにしたそうだ。

できるだけ低リスク高確率でサービスを広げるには

舛田さんだって未来が予測できるわけではない。未知の世界に向かって進んでいくことになるのは、どんな人も一緒。なので、ポイントはPDCAをどれだけ速く効果的に回せるか?になる。

速く効果的にPDCAを回すには、必要最小限の状態でリリースしてフィードバックを得て、改善することがポイントだ。必要最小限というのは、明確なコンセプトとコアバリューがポイントになってくる。要は、自分たちの価値観のもと、どんな仮説でやってみるかを明確にするということ。

ただ、ありがちなのが、ハズしたくない一心でフルスペックに近づけてしまうこと。そうなると、何が良くて何が悪いのかが分からなくなってしまう。

どんどん拡大するためには?プラットフォーム構想は初めからあった

LINEには、メッセンジャーとしての機能だけでなく、いろんなサービスラインナップがある。LINE@、LINE PayやLINE MUSICなど、さらにはWOW(フードデリバリー)、タクシーといったオフラインのサービスすらある。

今や単なるメッセンジャーアプリではなく、プラットフォームの1つとなっているのだが、これは最初から想定していたそうだ。世界No1を取るという思想があるので、単体ではなく、プラットフォームをつくるという考えが生まれていたのは自然だったようだ。

LINEというメッセンジャーのアプリ単体で、日本だけで事業を展開しているだでも別に構わないとは思うが、LINEでは世界No.1という思いがあるので、その思いにのっとって歩みを進めたようだ。ブレない一貫性は素晴らしい限り。

LINE MUSIC

LINE MUSIC

LINEの様々な機能のうち、今、注目されていることの1つは、LINE MUSICだろう。

同時期にAWAやApple Musicが参入してきて、さらにYouTubeまでもが参入してくるし、Spotifyだっている。競合がたくさんいると嫌がるのが普通のように思えるが、LINEとしては歓迎すべきことのようだ。

というのも、競合が次々と出てくればマーケットが動くと考えており、それがチャンスとなるから。

LINE MUSICを生み出した理由

逆張りの考えから見ると、iTunesを使っていない人にどう音楽を届けるか?ということになる。また、音楽は一人で聞くものというから、皆で聞くものという変化ができればゲームチェンジになり得る。

iTunesの逆張りを考えるなら、どんな人が利用者として想定できるか?

それは、YouTubeでタダで聞けるからそれで十分というような人たち。しかし、そういった音楽はタダで聞けるのが普通と思っている人に音楽を有料で聞いてもらうのは大変。なので、月1000円では厳しいと考え、500円というプランも用意した。さらに学割も可能で、500円は300円に、1000円は600円になる。

LINE MUSICの位置付け

LINEとしては、音楽の原点に立ち返ると、メロディーや詩に感情を載せて表現することが音楽だということもあって、LINE MUSICをコミュケーションを彩る手段の1つとして捉えている。LINE MUSICのCMで好きというタイトルの曲を送っているのは、感情表現を音楽を使って表現するということを表している。

LINEという会社、舛田さんが考えていること

舛田さんの話の中で、LINEという会社で考えていることをいくつか紹介してくれた。舛田さん本人が考えていることで、会社自体で考えているか分からないものも含めて、役立つ内容だと思うので書いておく。

マーケットが変わるときこそチャンス

新しいサービスが複数の競合にってどんどん生まれるような状況。LINEのときならカカオトークやcommだろうし、今ならLINE MUSIC、AWA、Apple Musicだろう。

こうした状況のときは、マーケットが動くので、大きなチャンスと捉えている。なので、AWAやApple Musicが同時期にサービスを展開してきたことはとても喜ばしいことと捉えているようだ。

事業計画を立てない

どうするか?というビッグピクチャーは描くが、詳細な事業計画は立てずに状況対応で進めるそうだ。理由は詳細な計画なんて意味がないと考えているから。
どうせ変わるし、計画にまじめになりすぎて柔軟性を欠いてしまうこともある。

適当にやるということではなくて、計画を立ててもたいして意味がないし弊害にさえなるならいらないよね、ということだろう。
詳細な計画があってこそ、うまくいくという組織や個人ならそれでいいと思う。

常に危機感を抱いている

経営陣も従業員も常に危機感をいだいているそうだ。うまくいっても、それは砂上の楼閣として考え、成功にあぐらをかくことなく日々を過ごしている。

LINEの成功をまとめると

ということで、私の主観でまとめるとこうだ。

自分たちがやりたいこと(Before / Afterのターニングポイントになるものをつくる、世界No.1のサービスをつくる)をベースに時代の流れ(スマホシフト)を考えながら、スマホのコミュニケーションアプリをやることにした。

戦略は、ゲームチェンジを狙っての逆張り。スマホシフトという時代の流れを意識しながら誰が利用者なのかを考え、オープンなつながりを重視するFacebookとは逆の、知っている人同士のクローズドなつながりをもとにしたコミュニケーションのサービスとしてLINEを考案した。

拡大するにあたっては、ネットワーク効果を得るためにも、利用者が他の人に紹介して利用者を増やすような仕組みを作ることを重視し、その仕組みができた時点で、CMを打って一気に認知させ、利用者数を獲得していった。

CMを打てば多くの人に認知されるが、利用者数が増える仕組みがないと一時的に増えて終わってしまう。CMの効果をより大きくするためには、利用者が自然に増える仕組みを作ることが先決。

できるだけリスクを抑えてうまくいく確率を上げるために、コンセプトとコアバリューに基づいて必要最小限のサービスをリリースしてPDCAのサイクルを速く回す。

自分たちの思いと想定する利用者を常に意識して、効果的に利用者が増える仕組みをつくりながら進めていったということになる。

所感

舛田さんの話を聞くと、LINEという会社は野心的であり、現実的でもあるという感想を抱いた。自分たちの中に思いがあって、それを実現させるために頭を使って考え、試行錯誤していく。情熱と冷静さをあわせもっているという感覚。

いくらやり方を知っても土台がおろそかなら頓挫するし、いくら理念があっても現実を無視したり、考えることを放棄したらうまくいかない。それは自分を含め、いろんな人を見てきた中で実感していること。なので、土台となる思いをもとに考え、実行するということを一過してできる点がすごいと思えた。なかなかブレずにやるのは大変なことだと思うので。しかも、ある程度の規模のある組織でことを進めているのだからなおのことすごいと思える。

スモールビジネスでやっていることと同じことをやっている

自分の立場で考えたときに思ったのがスモールビジネスでも、やっていることの基本は変わらないなということ。もちろん、規模が全然違うし、リスクもリターンも違うのだが、突拍子もないことや特殊なことをしていたわけではなく、本質的には同じことをやっているということ。

小さなビジネスを始めるにあたっても、何をするか?から始まり、どんな人をお客さんとして想定するのか?(ペルソナ)を決めて、それに合わせて、提供する価値を決めていく。そして、売れるかどうかテスト販売して手応えを見て、フィードバックをもとに、どんどん洗練させていく。というのが基本的な流れ。

広告の出し方も同じ。スモールビジネスの場合、広告から直接反応が来るダイレクトレスポンス広告が基本なので、テレビCMはまず打たないが(そもそも地方局でもない限り、高すぎて打てないが)、売れる仕組みをつくってから、大々的に集客するという点では同じ。

LINE MUSICに関して思うこと

また、LINE MUSICに関しては、オフラインでも聞けるApple Musicを使ってみた、AWAとLINE MUSICとの比較でも書いたとおり、コミュニケーションの一環としてやっているのだろうなとは誰もが思いつきそうだが、やっぱりそうかという感じではあった。ここまで考えてのこととは思わずさすがだなと思えた。

気になるのは、500円(学割で300円)といえど毎月費用がかかるものに、タダで音楽を聞いているような人がお金を払うのか?ということ。300円ならスタンプの価格とそこまで差はないということを話していたが、毎月課金と一度買ったらずっと使えるスタンプでは意味が違ってくる。

オフラインでも聞けるApple Musicを使ってみた、AWAとLINE MUSICとの比較にも書いたが、特定のミュージシャンのファン同士がグループや個人間でコミュニケーションをとるような場合には、受け入れられるように思える。音楽が共通話題でもあるわけだから。

ただ、いくら考えても、実際にどうなるかはフタを開けてみないと分からないので、無料お試しが終わった後の動きが気になるところ。

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