IoTのAmazonDashButtonで買い物してみた、何がすごいのか?
Amazon Dash Buttonを試してみた。利用者として使ってみた感想と、スモールビジネスの事業主としての観点ですごいと思う点をまとめてみた。ただのボタンなんだけれど、これってIoTの一部だよなと思えるので、これからの未来を少しだけ先取りした気分。
もはやどこでも自動販売機では? というくらいのインパクト。Amazonが各家庭に自動販売機を設置しているようなものと思えば、そのすごさが分かるように思える。
が、時代は変わるものでアメリカ時間の2019年2月28日にAmazonはダッシュボタンの廃止を公表した。物理的なボタンを使うことなく、家電や機械がネットにつながるようになって注文できるようになっていてもはやダッシュボタンは不要という判断だそうだ。Amazonはアレクサもある。
以下は利用者として使ったときの感想。
目次
Amazon Dash Buttonが届いたので使ってみた
注文した翌日にこんな形でAmazon Dash Buttonが送られてきた。
封筒を開封するとデバイス(ボタン)がポツンとあるだけ。2枚の小さな説明書が添付されて本体のみ。基本的にアプリ使って設定してねという説明しかない。
選んだボタンは消臭力
今回、選んだのは消臭剤の消臭力。理由は、常にているわけではないけれど、たまには使うのとボタンが届くのが翌日とあって早そうだから。本当は台所洗剤にしようかと思ったのだけれど、ボタンの到着予定日が来年になっていたので、さすがにそこまで待ちたくないと思ってやめにした。消臭剤は玄関の下駄箱に置いていて夏の間だけくらいしか使っていないけれども、あってもいいので消臭剤にしてみた。
ティッシュとかトイレットペーパーは常に使うのでいいかなとは思ったが、明らかに近所のドラッグストアより割高なのでやめた。といってもたかだか100円くらいしか違わないのだけれど、200円くらいで買えるのが300円となると、1.5倍になっているので感情的にイヤだった(笑) トイレで紙がなくなってきたなと思ったらボタンを押す、なんてことになったら、かなり楽なのだけれど。
ダッシュボタンは500円するが500円割引きになる
ボタンそのものが500円するのだけれど、注文履歴を見ると、確かに0円になっているのが分かる。次に買ったときには差額が引かれるものと思う。500円払ってもまたその分が割り引かれるので、試しに使ってみるのはいいかもしれない。なかなか面白い。
使い方は?AmazonのスマホアプリとWi-Fi接続が必要
使い方はいたって簡単でボタンを押すだけ。これで終了。ただ、そのためには最初に設定が必要となる。
というのも、ボタン1つで買えるのはいいのだけれど、消臭剤といってもたくさん種類があるわけで、どれを注文するかは事前に決める必要がある。また、ボタンを押したらAmazonと通信する必要があるので、Wi-Fiの設定が必要になる。
ということで、初期設定として何を具体的に選ぶかと、Wi-Fiの設定の2つが必要となる。さすがにこのあたりは最初に設定が必要になるので、いくらボタン1つで注文ができて簡単とはいえ、最初の1回は注文に至るまでの障壁がある。といっても一回やってしまえばいいので、圧倒的に楽であることには変わりない。
もはやどこでも自販機!? ボタン1つで注文確定はものすごく楽
体験してみなくても想像できるが、実際にやってみると本当に呆気なくて注文が完了する。面白いくらい何度も注文できそうだ(笑) 子供にボタン連打されたらたまったものではないが、商品が届くまでは追加注文できない仕様なので大量の誤発注はない。
今までも定期的に配送してくれる仕組みはあったが、タイミングが合わないことはよくあったし、配送日を変更したくてもやりにくかったりと不便さはどうしてもあった。
脱臭剤は玄関の靴箱の中に置く用にと思って買っているので、なくなっても気づきにくいんだけれども、洗剤なんかは効果抜群だろう。洗濯機にボタンがはってあったらなくなってきたなと思ったら、ボタンひと押しで注文完了なわけだから。トイレットペーパーなども同じ(ちょっと高いけれども)。
自動販売機を普段使うものの近くに設置できるような感覚。しかも、支払いはカード払いなので現金不要。
注文後の進捗も教えくれる
ボタンを押して注文が確定したかどうかは、ボタンについているライトとの色で分かる。緑色だと注文完了で赤だと注文が失敗と言う形で、信号みたいで分かりやい。
また、注文後はプッシュ通知で、注文が確定しました、発送しましたというのが通知される。
実際に届いた
翌日には無事到着。
ちなみにAmazonから届くダンボールはこうなっている(全てかは知らないし、他の会社は今のところ見たことはない)。赤で囲った部分に指を突っ込むと穴が開いて、カッターやハサミがなくても簡単に手でテープがはがせるように工夫されている。買った後のストレスも減らそうとする取り組みはさすがだ。
以上が使ってみた利用者としての感想だ。これを利用者ではなく、ビジネスの視点で見てると……。
スモールビジネスの事業主として見て分かること
スモールビジネスに関係している者としては同じようなことを真似しようと思っても、現段階では不可能に近い。なので、あれこれ考えても意味がないかもしれないが、何かしら役立てることはあるだろうとは思う。そこで、ここがすごいなと思える次の2つの点に関して触れてみたい。
- 買い物の障害を圧倒的に取り除く
- データ
買物の障害を取り除く
最も大きなポイントは買い物の障害を格段に減らした点にあるなと思える。
今回、Amazon Dash Buttonで注文が可能となるのは、日常で使う消耗品。例えば、食べ物や飲み物、洗剤、化粧品類、カミソリの替刃、ベビー用品など。
洗剤なんかは生活必需品とも言えるわけで、どうしても必要な場合には、当然、時間をとって買いに行く。ただ、面倒になって後回しにしがちになるし、家の近くのドラッグストアやスーパー、ホームセンター、あるいはコンビニなどで買うのが一般的だと思える。
すると、当然店にはたくさんの似たような商品が並んでいることになる。それでも、いつも同じものを買う人もいるのだけれど、
「たまには違うのを」
「前のが売ってないから別なのを」
「こっちが安いから今回はここっち」
といった具合に“浮気”されるリスクがある。
しかし、目の前にボタンがあったら、なくなったらボタンを押すだけで同じのが届くわけだ。しかも、通販なので家を出なくても家に届くしAmazonプライム会員が前提なので、場合によるとは思うが翌日には着く。宅配ボックスつきのマンションなら受け取りのために家にいる必要すらない。
なくなりそうなときにボタン1つ押すだけなので相当な怠け者でもやれるだろう。
こういうのをつくると、汎用性を持たせていろんな商品を1つで買えるようにしようなんてことも考えるとは思うのだが、単独で使えるからこそ価値があるとも言える。
ちいさな障害が大きな違いを生む
我々のようなスモールビジネスに関わる人が、ボタン1つで自分たちの商品やサービスを注文できるようになるのは、できたとしてもまだ先の話だろう。だが、その買い物の障壁をなくすという考えは常に持っておきたいもの。
注文フォーム1つで成約率が大きく変わることだってあるわけだから。
日常から分かる商品が売れる売れないのちょっとした差の例
上記のページでは(EFOの箇所)、申し込みフォーム1つで34%も良くなったという話がある。
商品購入のフォームで34%違えば、売上も34%変わるということだからフォーム1つの違いで時間が経過すればするほどどんどん差がつく。その利益をもとに投資したら……と考えるとますます差がつく。
実際、Amazonは申し込みボタンを何度も変えて今に至っている。例えばこんなふうに。
Amazonの成功の理由とあなたのビジネスを成功させるたった1つの方法
ボタンひとつで買える手軽さは、お金を使っている感覚がほとんどない。このあたりは人によるのだろうけど、個人的には足りなくなったら補充されるボタンという感覚。買うというより補充するボタンであり、どこかのストックから運ばれてくる感じ。実際には買っているのだけれど。
データがとれる
もう1つのすごいなと思えるのはデータがとれるという点。どこまでのデータが取れるのかは分からないが、少なくとも購入頻度は分かる。継続して買ってくれているのか買っていてくれるなら、どのくらいで使うのかとか。
一部に異常なデータが出てくるとこちらで書いたような面白いことも起こるかもしれない。あるお客さんのまさかの使い方からヒット商品が生まれた話だ。
お客さんの行動からリスクなく売れる商品・サービスを作る方法
想定していたよりもたくさん使うのか少なく使うのかが分かれば、量を増やしたりラインナップを増やしたりすると売れ行きが変わることもあるはず。
長く続けて買ってくれてい人にはサプライズとして何かプレゼントすることも可能だろう(データの取り扱い次第なので、できるかは分からないけれども)。
今まで分からなかったことが分かるということはとても大きい。
まだ直接的には恩恵にあずかれるのは少なくとも今の段階では大手くらいだと思うが、今後、IoTがどんどん発達したらこの限りではないはず。htmlのように普及させたいなんて人もいるくらいなので。
まとめ
ということで、Amazon Dash Buttonの利用者としての感想と、小さなビジネスをやっている事業者としての感想。
この手軽さに勝てるのは自動発注くらいしかなさそうだが、勝手に注文されるのは困るということもあるので、これ以上の手軽さはなかなか実現できなそう。何かしらあるのだろうとは思うが、思いつかない。
IoTの先取りに思えるのでなんだか面白いAmazon Dash Button。普段、自分が使っているものがあったら試しに使ってみるといいのでは? 実際に使ってみないと感覚は分からないので。
なお、ボタンの電源はどうなのかは不明。バッテリーで動いているとはいえ、さすがに交換はできなそうだし、しなそうだ。孫さんがSoftBank World 2016で触れていたとおり、IoTの社会でバッテリーの需要は相当増えそう。
ソフトバンク孫さんはどう時代を読んでいるのか?SoftBank World2016で明らかになったARM買収の答え| IDEASITY