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10年後の新しい仕事、培養肉と移動型農場 〜農業と食編〜

10年後の新しい仕事、培養肉と移動型農場 〜農業と食編〜

「10年後の働き方」という本を読んだ。

この本はSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)が公認している公式のコンサルタントとして活動している未来予報株式会社の代表2人が書いた本。

SXSWはビジネスイベントとしては世界最大級であり、未来を先取りするような最先端のビジネスが次々と登場する。2007年にTwitterがブログカテゴリーでWeb Awardを受賞して一躍注目を集めるようになった。2017年は東大の学生グループが学生部門で受賞し話題となった。

そんなSXSWの公式コンサルタントである2人が8つの分野から新しい時代の流れとそれに関連したビジネスについてまとめた本が「10年後の働き方」という本。新たな職業として50の職も予報として紹介されている。

予報されているからといって当たるとは限らないし、当たる当たらないよりもすでに動き出していることもあって潮流が見える点に価値があるので、いくつかご紹介したい。

ちなみに8の分野は次のとおりであり、個人的に気になった職をピックアップしてみる。詳しくは本を読むのがいいだろう。

  1. 農業と食
  2. 交通とエネルギー
  3. 情報流通と金融
  4. 音楽・映像とコミュニケーション
  5. 医療と健康
  6. 建築と行政
  7. 教育とエンターテインメント
  8. 服飾とウェアラブル

1つ1つが調べてみると奥深いので、今回は最初の農業と食に関して。

農業と食

人口増加に伴う世界的な食糧不足(特にタンパク源)、資源や金銭的なコスト、食の信用といった問題を解決すべくいろいろな試みがなされている。

移動型農場はコンテナ1つで野菜が栽培できて従来の栽培方法より使用する水の量がわずか1%と、はるかに少なくてすむうえに生産量は16平方メートル分の農地に匹敵するそうだ。農地といっても16平方メートルということは9.5畳(3尺6尺の畳で換算)といったところ。なので、大した広さの農地というか畑ではないのだけれど、4日間で季節を問わず272kgも収穫できるそうなので、回転率を考えると相当優秀だ。

本ではコンテナのサイズまでは書かれていなかったが、写真を見る限りそこまで大きなものではなないだろう。

ちなみに本で紹介のあるLocal Square Farm社が作成したこちらの動画によると40フィートというサイズが出てくる。なので、40フィートの海運で使われるコンテナ(shipping containerらしいので)と仮定するなら、コンテナの規格を調べると幅2438mm、奥行き12192mm、高さ2591mmなので約77立方メートルの大きさ。高さがあるので農場の面積とは単純比較できないものの、面積だけを見るとコンテナは29.7平方メートルとなる。

動画ではコンテナ1つで5エーカー(約2万平方メートル)分の生産量とかなんとか言ってるように思えるので、相当な生産量だ(英語なので私の勘違いかも……)。しかも、野菜を運ぶための費用はもちろん時間や使う資源といったコストもない。

コンテナの中はこんな感じ。

写真を見るとなんだか不自然で不安な印象はある。しかし、モヤシやカイワレ大根、豆苗などはすでに土なしで育てているわけで似たようなものだよね? と思うとこんなものかなという感も。

培養肉

初めての培養肉はオランダのマーストリヒト大学が2013年に発表した培養肉かと思う。こちらの映像では培養肉を使ったハンバーガーが振る舞われている(培養肉が登場するのは8:50くらいから)。

この当時、培養肉は開発費込みで3500万円だそうだが、研究が進めば現在流通している自然の肉よりも安く抑えられる算段だ(今の肉が自然といえるかは怪しいが)。

なお、本に紹介のあるNew Harvestでは肉だけでなく、牛乳や玉子も培養できるようだ。

培養肉に取り組む日本のベンチャー企業

日本でも培養肉に取り組む人はいてインテグリカルチャーというバイオベンチャーがある。細胞からつくる「培養肉」がスタンダードになる日――SF世界を現実にするバイオベンチャーというIBMのmugendaiというサイトでCEOへのインタビューが読める。

農業と食に関する新しい仕事

本ではトレーラー型移動農家、培養肉マイスターといった職ができるだろうという予報をしている。他にも何かしら考えられそうなので、いくつか。

トレーラー型移動農家

トレーラー型移動農家は農家が農地で野菜を作って提供するのではなく、町中で野菜を作って提供するというもの。ここでのポイントは透明性であり、それに付随してくる信頼性だそうだ。顔の見える農家を超えて作っているのが間近で観察できる農家。

ブロックチェーンで食のトレーサビリティをなんて話もあるが、農業に関してはすぐ近くで収穫されていてオープンというのもトレーサビリティは高そうに思える。

すでに2017年の3月の時点でニューヨークで栽培と供給が始まっているとのことなので、夢物語でもなんでもなくて、もう実現に向けて一歩進んでいる状態。

LEDの植物工場

なお、LEDの農場自体は株式会社みらい(残念ながら破綻してしまい、現在はMIRAI株式会社として再生)が注目を浴びていたが、移動式とまではいかなかった。

そもそも破綻してしまったのだからLEDの植物工場なんてできるのか? と思われそうだが、プランツラボラトリーというベンチャー企業はコストを従来の植物工場の半分から1/3まで抑えているそうで、つくられた野菜は2017年11月からはスーパーにも売られているとのこと。

といっても、まだこれからなんだろうとは思うが、10年後ならある程度、植物工場の植物が普及していてもおかしくなさそうな気はする。

より詳細はこちらの日経ビジネスの記事をどうぞ。
今度は植物工場の八百屋が登場した

培養肉マイスター


培養肉マイスターは、培養肉が普及していくにつれて各工場で個性を活かした培養肉ができるようになったときに活躍すると予報される職。こちらはまだまだその予兆はないとは思うが、誰かがやりそうな気はするし、普及の一環として提供側が資格を用意する可能性はある。

ちなみに先ほどもお伝えした日本で培養肉に取り組むバイオベンチャー、インテグリカルチャーのCEO羽生さんはこう語っている。

特別な成分の細胞を培養してつくるサプリメントは、2019年には市場に出せると思います。培養フォアグラも2021年ごろには1キログラム当たり4000円で販売できると思うので、2020年の東京オリンピックでは試食会を行いたいと思っています。

2025年には、デザイナー・ミートの販売も考えています。デザイナー・ミートというのは、たとえば、豚と牛の細胞レベルのあいびき肉とか、赤身の部分は牛肉で脂肪部分は魚の脂身になっているヘルシーな肉とか、アレルゲン抜きの肉とか、特定の栄養を増強した肉というように、最初から成分をデザインした肉のことです。

引用:細胞からつくる「培養肉」がスタンダードになる日――SF世界を現実にするバイオベンチャー | mugendai

ブレンドの職人も現れるかもしれない。AIが最適なものを個人に合わせて決めるなんてことになる可能性もあるが。

これまでの農業は淘汰か価値が上がるか

他にもいろいろと考えられそうだ。新しい農業の形も培養肉も普及すれば農場の在り方も変わるわけで、既存の農家は淘汰される可能性はあるが、従来の農業に価値を見出す人もいるはずだ。

なので、新しい業態としてLED農場のメンテを請け負う業者だったり、(機材が高価なら)レンタルしたり、代理店販売するところが出たりと従来のビジネスと同じような形態で扱う商品が変わる形でなにかしらのビジネスが生まれそうである一方、従来の農産物の価値が上がる可能性はある。

まとめ

ということで、SXSWに登場したベンチャーをもとに農業と職という観点から、未来の職についてお伝えした。他にも、自宅で簡単に栽培できるキットや昆虫食に関しても本では触れられていて、なかなか興味深い。

ちなみに昆虫食に関しては、日本でも昆虫食通販ショップ – TAKEOというネットショップで買えるようなので、気になる人はどうぞ。この記事を書いた時点では、タランチュラは売り切れているようなので人気なのか……。

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