2つの注目のシェアリングエコノミーから分かる起業のポイント
副業で注目されることも多いシェアリングエコノミー。Airbnbを皮切りに実にさまざまなサービスが生まれている。100や200ではすまない数が生まれているようだ(ただ、どんなシェアリングエコノミーがあるか調べると、それシェアリングエコノミーじゃないよね? というのもあるけれども)。
ちょうど先日、シェアリングエコノミーの最前線にいるといっても過言ではない方の話を聞く機会に恵まれ、面白いビジネスの話を聞くことができたので、それらをご紹介したい。
目次
注目のシェアリングエコノミー
シェアリングエコノミーの代表格といえば、冒頭にも書いたとおりAirbnb。2008年に生まれたAirbnbを皮切りに実にさまざまなサービスが生まれている。
そんななか、とても興味深いものを2つご紹介したい。
- 荷物預かりのシェアリングecbo
- 駐車スペースのシェアリング軒先パーキング
荷物預かりのシェアリングecbo
画像はecbo株式会社のネビ字価値
1つはecboというサービス。
ecboは荷物預かりのシェアリング。遊休資産として眠っている店舗にあるスペースをシェアする仕組み。
旅行先や主張先でスーツケースの置き場がなくて困った、なんてことはないだろうか?
チェックアウト後も荷物を預かってくれるホテルはよくあると思うが、場所の問題があるといちいち取りに戻ってくるのは面倒。街なかにあるコインロッカーを使おうと思っても空いていない……。
そんな困りごとを解決しようと生まれたのがecbo。店の遊休スペースを荷物置き場として提供できるようにして、店とお客さんをマッチングさせるサービスだ。
利用者は便利だし、店としては空いている空間を提供するだけ。宣伝・集客ツールの1つとしても使える。とりわけ日本に来た海外旅行者には嬉しいサービスだろう。
創業の経緯もそこにあって訪日客にコインロッカーの案内をしたことがきっかけだそうだ。
面白いのはそうした需要に着目したことともそうなのだが、他にもある。実はスーツケースだけを預けることができる
預けられるのはスーツケースだけ??
それが日本の法規制をうまくすり抜けているということだそうだ(※)。
※次項目の追加の分も含めて読んでください
日本に限らずではあるが、法規制によって新しいことができないというケースはよくあるもの。
法律が追いついていないケースだ。例えば、日本ではAirbnbも問題になったし、Uberに至っては日本での事業はシェアリングではなく、タクシーorハイヤー呼び出し自動精算アプリになってしまっている。
アメリカは一般人は自分の車を使って人を載せて料金を取っているわけだが、日本だとそれが違法になってしまうからだ。いわゆる「白タク」。
で、ecboに話を戻すと、荷物を業として預かるには倉庫業法というのが関わってくる。
物を預かるにふさわしい施設かどうかとかいろんな基準があって、倉庫業の業者として国に認可されないと業を始められない。(管轄は国土交通省)
もちろん、変なビジネスが横行しないためという側面があるのは当然なので、おかしな法律ということはないのだけれど、要は簡単に荷物預かり業をやろうと思っても法律上は無理とういこともあるという話だ。
なので、ecboに登録している店も1つ1つが倉庫業の業者として国から認可を得る必要があるのだがそんなことをいちいちやれるはずがない。
でも、ecboはJRの関連企業などからも出資を受けてどんどん拡大している。
なぜだろうか?
実は、スーツケースに限っては、例外で倉庫業としての登録がいらないらしい。話を聞いていて
「そんなのありか……」
と思ったのだが、そういうもののようだ。
社会をより良くするビジネスであることには違いないので、今後、法律が変わっていく可能性は十分にあるのだけれど、法整備には時間がかかるので、今のまま進めていくんだろうなと思える。
倉庫業の話は??
少し調べるとecboでは普通にスーツケース以外も預けられることが分かる。また、一時預かりなら倉庫業は不要ということもこちらのコインロッカー難民ゼロの時代へ 手荷物一時預かりシェアリングサービス「ecbo cloak」誕生秘話というインタビュー記事で創業者の工藤慎一さんがこう語っているのが分かる。
荷物の一時預かりにどのような許可が必要なのかを調査したところ、特別な許可や申請は必要ないというのが法律で書かれていて、非常に面白いと思いました。というのも、荷物の長期保管サービスは倉庫業としての許可・申請が必要でそれがボトルネックでしたが、一時預かりの場合は必要ないので、これをカフェなどで対応することが出来ればチャンスになると。
引用: コインロッカー難民ゼロの時代へ 手荷物一時預かりシェアリングサービス「ecbo cloak」誕生秘話 | SEKAI LAB TIMES(セカイラボタイムス)
となると、倉庫業でスーツケースのみOKという話はなんだったのか?? 間違った解釈だったのかよく分からないが、法規制でできないこともあるよ、というのは起業するうえで大切なポイントになるので、記事の内容はそのままとっておく。
駐車スペースのシェアリング軒先パーキング
※軒先パーキングを運営する軒先株式会社のサイトを画面キャプチャ
そして、もう1つの注目はビジネスが軒先パーキングというサービスだ。
こちらは名前から想像がつきそうだが、軒先パーキングは使われていない駐車スペースをシェアできるというサービス。
イベントやライブ、何かの大会などなど普段は人がいないのだけれど、あるときだけ一時的にだけ人が集まることはどの国でも起こっていることかと思う。
普段から使われないのに駐車場をわざわざ用意するのは無駄なのでできないけれど、一時的な需要には対応したいときに軒先パーキングは役立つというわけだ。
需要に応える以外での軒先パーキングの意味
個人的な体験だと、社会人になりたてくらいの頃、同期の友達と湘南の海に車で行ったら駐車場の近くで住民の人が「うちに停めていいよ」とオファーしてきたことがある。
試しにその話にのったら親切な人で海で遊んだ帰りに、スイカはくれるわ、麦茶はくれるわ、砂を落とすのに水道は貸してくれるわでいたれりつくせりだった。値段もボッタクリどころかむしろ他より安かったくらい。
一方、熱海の花火のときにも似たようなことがあった。こちらは明らかなウソをつきながら話しかけてきたので断ったのだが、観光地にはそうした悪質なのもいるという問題がある。
なので、プラットフォームとしてそうした悪質なのを排除しつつ、一時的に増える駐車場の需要に応えることはとても良いビジネスに思える。
そうした目の付け所はもちろんだが、軒先パーキングには他にも面白い点がある。
軒先パーキングのもう1つの需要
軒先パーキングは、イベントなどで一時的な来客増による需要以外もに需要がある。それがキッチンカー置き場としての需要。
キッチンカーに関しては前にもメルマガやこちらの記事で触れたとおり。
起業して商品をモールなどのプラットフォームで売る場合の注意点
「ランチ難民」という言葉を聞いたことがあるだろうか? 言葉から推測できるようにランチで困っている人たちだ。 都心のオフィスで働く人が昼休みにランチを食べに行こうと外に出たはいいものの、どの店をいっぱいで入れないとか、混雑していて並んでいるだけでランチタイムが終わってしまうといった困りごとを抱いている人たち。 そんな困りごとに目をつけたビジネスがTLUNCHというオフィスビルの空きスペースにフードトラック(キッチンカー)に出店してもらってランチの機会を提供するというサービス。 TLUNCHは、先日、行われたSTARTUP CATAPULT -スタートアップの登竜門
キッチンカーは飲食店を始めるにあたって、店舗を構えるよりも低コストで始めるられるということもあってここのところ需要があるようだ。
ただ、法規制で路上に駐車して売ることはできないため、車をどこに置くか? ということが問題になる。そこで、キッチンカー置き場として軒先パーキングを活用するケースがあるのだという。
なので、販売場所としての駐車スペースがほしいという需要があるというわけだ。
さらに、もう1つ需要があってイベントなどで何かを売る場合の需要。
コインパーキングだと空いているかどうかは事前にわからないというのが怖いのだが、軒先パーキングなら事前予約ができるので、確実に停めることができるためだ。
まとめ
ということで、2つの紹介だけで長くなってしまったが、いろんな需要があるということと、新しいことをやろうとすると法律面でひっかかることがあるという話だ。
プラットフォームを作る側になるのでも構わないし、それを活用する側としてなにか事業をやるというのでも構わない。いろんな手段があるので、うまく活用したいところ。
また、法律に関してはそこまで気にしなくていいこともたくさんある。全てのビジネスでしっかりと法律について知る必要はない。もちろん、関わるビジネスに関連してくる法律はその存在だとか概要は知っておく必要はあると思うが、詳しくは専門家に任せるのが一番。
いちいち法を気にしなくても、気軽にやれることもたくさんあるということはお伝えしておきたいところ(公序良俗に反しないのは当然のことなのでそこまで触れる必要はないだろう)。