失敗、誤発注をお金をかけずに集客、販売に変えるマーケティング
人間、誰もがミスを犯すもの。多くの場合、ミスは損失につながるのが普通だけれども、場合によっては損失どころかプラスに働くこともある。あるいは、思ったより損失につながらないようなケースもある。
ちょっとした考えや、やり方の違いによって結果が変わることはよくある話だが、ミスをうまくプラスに持っていくようなアイデアは秀逸で、窮地に陥ってもなんとかなるという可能性があるということを教えてくれる。
ということで、いくつか事例を。
目次
ビールを大量に破壊した従業員が65万ドルの広告効果
こちらはうっかりミスでビールが積まれていた山に触ってしまい、ガシャーンとビール瓶を割ってしまった男性。やってしまったのは、アルゼンチンのキルメスというビール会社の従業員。2015年の6月の出来事。
会社は、Twitterを使って#TheDudeWithTheCratesというハッシュタグ(※)とともに、この従業員を探すことにした。といっても、責めるためではなく、なんとサプライズとしてサッカーの観戦チケットをプレゼントするため。そうしようと決めるまでに、いろいろとあったのだろうけれど。ソーシャルメディアをうまく使ったら何かしらプラスになるかも、と思ったのだとは思える。
上記の動画によると、結果、リツイートは10万回、YouTubeでは200万回再生もされたそうだ。65万ドル相当の宣伝価値があったとのこと。
※
ところで、アルゼンチンなのに何で英語でTwitterを?と思ったら、実際にはスペイン語のようだ。上記の動画は伝え安くするために英語にしているだけに思える。というのも、いくら英語の#TheDudeWithTheCratesで検索しても出てこない代わりに、スペイン語の#ElPibeDeLosCajonesで検索するとツイートが出てくるからだ。
おそらくはこれが元となるツイートかなと思える。これだけ見ると、リツイート数はそこまでないが、いろんなところで話題になっているので、トータルで見たら確かに10万リツイートくらいいってそうな感はある。
Buscamos a #ElPibeDeLosCajones para darle una sorpresa por el garrón que pasó. RT y ayudanos a encontrarlo!https://t.co/gALCcXrn9p
— Cerveza Quilmes (@Quilmes_Cerveza) 2015年6月4日
大量誤発注のミスを挽回して完売した事例
あとはミスがプラスに変わった例は、ここ数年でちょこちょこ見かける誤発注だろう。これも、禍を転じて福となすといったところ。
ここ数年で3例か4例は見ている気がするので最近は見かけても、最初に知ったときのような驚きはなくなってきたが、話題になる度に毎回成功しているように思えるのは驚き。もちろん、その裏では損失につながっているケースがたくさんあるとは思うし、安売りしているケースが多いので、単体ではプラスではないかもしれない。
最初にやったのが誰かは知らないが、よくやったものだなと思える。お客さんにお願いするなんてアイデアは思い浮かばず、諦めて破棄してしまった人もいるだろう。
以下、誤発注の例を少し。
近畿大学で誤発注
2016年5月17日。近畿大学の生協で発注ミスがあったそうで大量のミルクティーが店頭に並んだ。通常の10倍の量を発注してしまったそうだ。しかしながら、生協の買ってください案内がTwitterでだいぶ話題になったせいもあってか、2日間で完売したとのこと。
同じような境遇にいる人の話だとWebの発注の場合、単位が違っていることに気付かずにやってしまい、ミスが発生がちなんだそうだ。
香川県のコンビニでミルクティーの誤発注
2012年の7月、香川県のコンビニでの誤発注。20本発注するつもりが一桁間違いで200本の発注をしてししまったが、Twitterによる拡散のおかげで認知されて完売したそうだ。ねとらぼの記事によると、9000リツイートされたらしい。
京都教育大学の生協でプリンの大量誤発注
こちらは2012年の11月、京都教育大学の生協でのプリンの誤発注。発注ミスは4000個という数字がツイートされているが、詳細は不明。他の大学生協にも協力してもらったようで、こちらで京都大学の売り上げ数がツイートされている。1400個を京大だけで売ったとあるので、4000個というのも納得がいく気がする。
いやぁ、本日の「焼きプリン」。つぶやくまもなく完売でした。北部購買だけで約170個、京大生協全体では1400個ほどを一日で御利用いただきました。ちなみに先週1週間、京阪神・北陸の大学生協で焼きプリンの売れた数が1400個ほどなんです。それを1日で京大だけで!ありがとうございます!
— 北部購買部 (@HokubuShop) 2012年11月5日
北九州市立大学の生協でポッキーの大量誤発注
ポッキープリッツ誤発注で3200個も入荷してしまったうちの大学生協の現在の様子ですご確認ください pic.twitter.com/f4u15MP15h
— SR[ぶどーかん] みわ (@miwako_karari) 2014年11月7日
こちらは生ものではないので日持ちするとはいえ、3200個というとんでもない数。11月11日のポッキーの日に合わせて仕入れる際に、10箱単位なのに気付かず10倍の数が届いたそうだ。
こちらもTwitterなどのソーシャルの力と学生の協力があって12日で完売。
兵庫県のローソンで誤発注
こちらは兵庫県は明石市のローソンにて。コーヒー牛乳を9本発注するつもりが900本も発注。こちらも最終的には売り切ることができたそうだ。
9本のつもりが900本に コンビニの「商品を大量に誤発注」は本当にありえるのか? 発注システム上エラーやアラートがあるのではとの声
※ミルクティ、プリン、ポッキーの誤発注についてもっと知りたい場合は、こちらのリンク先にそれぞれまとまっているので、参考にどうぞ。
という記事のとおり、ここまで続いたらアラートが上がりそうだと思うのが普通な気がするのだが、そのとおりでちゃんとアラートはあがるらしい。
でも、それでも気付かずに間違ってしまったり、本当に必要な場合もあるので発注できなくすることはできないとのことで、ヒューマンエラーはまだ続きそうだ。
まとめ
悪気がないのにやってしまったことや誰かのためになるようなことは、ソーシャルでウケがいいような気がする。窮地に陥ってもアイデアひとつで何かしらの道はあるものだなと思わせてくれるのはありがたいこと。
ただ、悪用する輩が出てきて誤発注マーケティングなんてのをやりそうな気がしないでもない。十中八九ばれると思うので、無駄だとは思うが、もしやってしまって見つかったら、信用はがた落ち。ソーシャルはプラスもマイナスもどんどん広がるので、かなりのハイリスクに思えるので、そんな輩が出ないことを願いたいところ。