こうして廃棄物がアイデア1つでヒット商品に変わった3つの事例
廃棄物。通常なら捨ててしまうのが廃棄物だ。場合によっては捨てるのにお金がかかることもある。
が、一方で価値のないゴミが突如、価値ある商品に変わることもある。お金をかけて処分していたのが、一変してしまうというわけだ。
そんな発想の転換に成功した事例がいくつかあるので、それらをピックアップしてみた。
目次
パイナップルの残りカスがヒット商品に
昔、パイナップルをスライスして売っている人がいた。大切なのは味だが、見た目も重要なので、大きさや形がそろっていない場合には、商品にならないということで破棄していた。
もったいない話ではあるが、よくあることではないだろうか?
それを知った一人の人物がちょっとした工夫をしたところ、あるヒット商品が生まれた。
捨てられていたパイナップルが突如、売れ始めた理由
あなたなら、捨てられたパイナップルをもとにどうやって商品化するだろうか? 今なら「ワケあり」で売ったら意外と売れるかもしれない。
が、ワケありなんて概念がおそらくなかった頃に一工夫して売った人がいる。
どうやったかというと、捨てられていたパイナップル片をもっと細かく砕いて「クラッシュ済み」として売ることを思いついたそうだ。小さくなっていて食べやすいし、調理に役立つ可能性もある。その結果、今まで捨てられていたパイナップルがクラッシュ・パイナップルとして売り物に変わり、ヒットした。
これまで捨てられていたものが、意味付けを変えるだけで商品化できて売れてしまったというわけである。以前、紹介した賞味期限ギリギリの商品を意味づけを変えて売ったようなもの。
スウェーデン式アイデア・ブック(ダイヤモンド社、フレドリック・ヘレーン著、中妻美奈子監訳、鍋野和美訳)P68より。
今度は小豆の残りカスがヒット商品に
さて、今度は小豆だ。残飯つながりで同じような例として、あんこ屋さんがヒット商品を生み出した例がある。
栃木県のある製餡会社。あんこを作る際に大量の小豆が必要なわけだが、小豆の皮が廃棄物として生じるそうだ。それまで小豆の皮はずっと捨てていたのだが、何とかならないかと考えたところ、ある発想が浮かんだ。
捨てていた小豆の皮を使ったあるものが売れる理由
調べてみると、小豆の皮は潤いの効果や、汚れを落とすスクラブ効果があるようだ。そこで、それを商品化して石けんを製造して販売したのだ。和菓子の原料にもなる、あんを作っているということもあってか、作ったのは和菓子に似た石けん。
その結果、日経TRENDYによると、販売開始したところ当初予想の2倍売れたそうだ。
これも捨てていたものにも価値があったということ。
鉛筆製造で生じるたおがくずを商品に
鉛筆の製造過程で生じるのがおがくず。なんと40%もの量がおがくずとして発生するそうだ。ということは半分近く削って鉛筆ができているということだ。
それを破棄してしまってはもったいない。日経ビジネスアソシエ・2006年9月19日号インタビューによると、そんなときに鉛筆の製造過程で生じるおがくずを再利用する案が浮かんだという。
産業廃棄物だったおがくずを商品に
最初はおがくずを固めて薪を作ったものの、薪は文具ではないため、今までの文具の流通ルートに乗せることができなかった。また、薪は季節商品で一年中売れるわけではない。ということで、うまくいかなかった。この記事を書いている時点では、薪として販売しているので、撤退したわけではないようだが。
その後、鉛筆と同じ文具の流通ルートに乗るものは? そして、一年を通してニーズの途切れないものは? ということで粘土に行き着いたそうだ。どうやったらおがくずから粘土という発想が生まれたのかは謎だが、それによって年間を通して売れる商品が、捨てていたおがくずから生まれた。
まとめ
ということで、一見すると価値がないものも、実は価値がある可能性は否定できない。意外と周りで捨てられているものからビジネスが生まれるかもしれない。オークションで壊れたパソコンや家電も、部品を必要としている業者や個人がいるので売れることがある。実際に売れたことがあるので実感もある。
工夫次第でいかようにもなるのがビジネスの面白いところだ。
なお、こうした無駄をなくすようなビジネスはこちらで書いたようにサーキュラーエコノミーとして注目されるようになっている。
サーキュラー・エコノミー(Circular Economy)というのが注目されているというアクセンチュアの記事を読んだ。 サーキュラーというのは循環するという意味。ここでの意味は、大量生産→大量消費→大量破棄というのではなく、一度作ったものを長く使って壊れたら修理、修理できない状態になったら素材を再利用といったように、