100円→98円は意味がある?実験から分かる価格に潜む心理学

100円→98円は意味がある?実験から分かる価格に潜む心理学

自分でビジネスを始めるときに必ず考えなくてはいけないのが商品やサービスの価格。価格の決め方が分からないなんてこともよく聞かれる。その場合には、で書いたような考えを知っておくと役立つものと思う。

価格の実験結果から分かる高額が良い理由と価格の決め方

また、今回のように細かい価格設定の話や、商品ラインナップによって売れ行きが変わるということも知っておくといいかと思う。

消費税別の価格と消費税込みの価格、どっちが売れる?

価格に関しては税込の値段を書くように法律で決まっていたが、今は外税税表示といって商品本体価格+税という表記も可能になっている。ただし、2018年の9月30日までの特例措置。

では、税込み価格にしたほうが売れるのか?はたまた表示を別にしたほうが売れるのか?それを検証した結果がこちら。

さて話は戻って、そういうワケで、ダイレクトマーケターとしては2980円を維持したい。

3000円プラス8%で3240円とかはやりたくないわけだ…そこで、

2980円+税

という価格と

2980円

という価格をテストしてみた。後者はつまり、2980円の中に税も込みだということ。つまり本体価格は2838円というワケだ。。。んで、テスト結果はどうだったかというと、、、

まさかの税別表記の勝ち

つまり2980円プラス税で合計3129円の方が勝った。しかもコンバージョン比で39%も高い・・・しかもこれ、PPCでテストをした結果なのでハウスリストなどと違い、テスト結果にかなり信頼がおける・・・しかもコンバージョン数もそれなりにあるので信頼がおける・・・

引用:The Response|消費税対策1

意外なことに、税金分だけ余計に払うようにしたほうが売れたという結果になったそうだ。価格が高くなる方が売れるというのも不思議な現象。

補足

これについて一応、補足。まずは用語から。

コンバージョン:成約、つまりは売れたということ
PPC:Pay Per Clickの略だが、ここではAdWordsやYahoo!などの広告をさしている
ハウスリスト:自社のお客さんや見込み顧客

一般的にハウスリストというのは何かしら興味があって商品を買ったり資料請求したりメルマガに登録している人たちなので、自社との信頼関係が築かれている。信頼関係が築かれていると、この人たちが言うなら……となって購入率は高くなり、バイアスがかかることもある。一方、PPCというのはGoogleで検索したとき、あるいは誰かのブログを見たときなどに表示される広告を見た人であり、初めて自社のことを知る人も多い。なので、数字はシビアになるし、バイアスもかかりにくい。

ただ、あくまで一例なのでこれをもって全ての場合において、外税表記がいいとは限らない点は注意が必要。あくまで参考に。

なお、こうしたことに関心があるなら、引用元の会社が出版しているこちらの本もオススメ。


詳細はこちらから。

例えば、次の3つの料金表示うち、一番多く注文が取れたのはどれか?
1.¥記号をつけた数字で表示:¥1,200
2.¥記号をつけない数字表示:1200
3.文字で説明:千二百円

なんてことが書かれている。

ただ、テクニックのようなものなので、表面的に真似したところで売るものの魅力がなければ売れないのは言うまでもない。あくまで、良いものを届けるという意味で使うから意味がある。本質的な部分と、こうしたやり方の両輪があるからものが売れるということ。

100円ではなく98円など端数にする意味はあるか?

価格を100円ではなく98円にする意味はあるか?

リアルな店舗でも、ネットの店舗でも、どこの店に行ってもよく見かけるのが、100円ではなく98円、5,000円ではなく4,980円、10,000円ではなく、9,800円といった端数価格。これって本当に効果があるのか?

実は、価格の心理学という本にこんな実験結果が書かれている。アメリカでの実験だからといって日本では通じないということはなさそうだ。

これを裏付けるのがロバート・シンドラーの実験である。
被験者に20ドルと25ドルの商品を比較してもらったところ、 その価格差は小さいと認識された。
ところが価格を1セントずつ安くして、19.99ドルと24.99ドルにしたところ、その価格差はかなり大きいと感じられ、価格が安いほう選ぶ確率が大幅に上がった。

〜中略〜

ただし(レストランメニューのように)顧客が複数の自社商品から選択する場合は、端数価格がついた低価格商品に誘引されてしまう可能性が高く、逆効果になりかねない。

引用:価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?、リー・コールドウェル著、武田玲子訳、日本実業出版社(2013年) P70、P72より

3つあったらどれが売れる?おとり効果と松竹梅

3つあったらどれが売れる?おとり効果と松竹梅

商品が複数ある場合、商品と価格の構成によって売れ行きが変わるという面白い現象がある。似たような現象だが、大きく2種類の心理効果があるということを知っておくと、活用しやすくなるだろう。

おとり効果

1つめがおとり効果。これは、明らかに劣ると分かるものは選択肢に入らなくなり、優勢だと思えるものを選んでしまうという現象。価格の心理学から例を持ってこよう。

カメラの販売事例

  1. ニコンのカメラ(P510)、バッテリー持続時間は10時間、光学20倍ズーム、重さ600g、厚さ5cm、価格46,000円
  2. ソニーのカメラ、バッテリー持続時間は5時間、光学16倍ズーム、重さ350g、厚さ2cm、価格39,800円

と二択のところに、“おとり”としてこんな商品を見せる。

ニコンのカメラ(P500)、バッテリー持続時間は9時間、光学18倍ズーム、重さ600g、厚さ5cm、価格47,400円

つまり、どう考えても、もともとあったニコンのカメラ(P510)と比べたら選ばない候補を追加して、以下の三択にする。

  1. ニコンのカメラ(P510)、バッテリー持続時間は10時間、光学20倍ズーム、重さ600g、厚さ5cm、価格46,000円
  2. ソニーのカメラ、バッテリー持続時間は5時間、光学16倍ズーム、重さ350g、厚さ2cm、価格39,800円
  3. ニコンのカメラ(P500)、バッテリー持続時間は9時間、光学18倍ズーム、重さ600g、厚さ5cm、価格47,400円

こうなると、最初の二択で迷っていた人は、1.のニコンのカメラを買う人が多くなる。

理由は“おとり”として投入された商品が明らかにもともとあるニコンのモデル(P510)よりも劣っていることが分かるから。そうなると、無意識にソニーの商品よりもニコンのP500のほうがいい、というように判断してしまうそうだ。

松竹梅の三択でどう選ばれるか?

先ほどと似て非なるのが、松竹梅という三択の選択肢があった場合の話。要は明確な比較対象がなく優劣が分かりにくい場合の話。その場合、我々は中間の竹を選びたくなるもの。例えば、コーヒーを飲もうとしたときに次の3種類があったとする。

  1. コロンビア 380円
  2. エチオピア 498円
  3. トラジャ 748円

こうなっていると、たいていの場合は真ん中のエチオピアが選ばれやすい(コーヒーにこだわりがあって違いがよく分かるなら話は別だとは思うが)。

理由として考えられるのは、ゴルディロックス効果という極端な選択肢を避ける心理効果だそうだ。極端なほうは失敗する確率が高くなると感じて、真ん中がよく見えるようになるそうだ。価格の比は4:6:8がいいとのこと。

なお、余談だが、こうした話があると「いや、俺は竹は選ばないよ」なんて言う人もいる。当たり前だけれど、その人がどうであろうと知ったことではなく、お客さんとなり得る人の多くがそうだということが重要だ。それに、どうせ単に注目されたいという理由がほとんどだろう。

2つの選択肢だった場合はどちらが売れる?

ちなみに2種類だと、一般的な傾向としては70%の人が安い価格を選ぶそうだ。なので、もう1種類商品を投入することで、売れ行きをある程度、コントロールすることができる。

まとめ

ということで、価格に関しての興味深い実験結果があるので、いくつか印象的なものをピックアップしてみた。

こうした話を聞くと、操作しているようで気持ち悪いという人も少なからずいるが、使い方次第だろうと思える。

例えば、価格の違う商品を複数扱っているとする。その中でも、この商品は経験上も統計上も効果が期待できるお勧めな商品というのがあったとするなら、それを勧めるのが自然だろう。そのときに単純にお勧めだというだけではなく、こうした心理効果を使ったらより買ってもらいやすくなるということだ。

また、そうした考えが頭によぎるということは自分の中にそうした考えがあるからだとも言える。悪用しようなんて思ってない人は、悪用という発想すら浮かばないはずだろう。少し考えたら悪用がどうこうと考えるかもしれないが、いきなりは出てこない。

心理効果なんて使いたくない! と思うなら使わなければいいだけの話だし。

人間の心理として分かっていることはうまく活用するに限る。ビジネスを提供する側でも、される側でも。

主に参考にしたのはこちらの本。

こちらも面白いのでお勧め。


詳細はこちらから。

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