本田直之さんのセミナー「モバイルボヘミアン」のまとめ
SoftBank World 2015、本田直之さんの講演。タイトルはモバイルボヘミアン。日本とハワイでデュアルライフをいち早く実現し、ノマドスタイルを実践している。タイトルにもあるボヘミアンとは、自由奔放な生活を実践する人という意味で使っているようだ。
まとめるとこんな感じだ。時代がどんどん変わっていて、その変化のおかげで、本田さんは自分のやりたかったことが実現できるようになったということ。本田さんの場合はハワイと日本のデュアルライフ(最近はヨーロッパに行くことも多いそうだ)か実現できた。働き方も多様化してきていて、新しいライフスタイルがどんどん生まれている。
それはここ10年の話であり、今までの変化とは比べものにならないくらい大きな変化。次の10年はもっと大きな変化になるだろうから、次の10年をどう過ごすか?がとても大きな鍵を握る。
目次
モバイルを中心としたここ10年の変化
こんな表を見せてくれた。2005年、2010年、2015年と、本田さんが1年でどこにいるかの変化が分かる表だ。日本、ハワイ、海外(主にアジア、オセアニア、ヨーロッパ)の割合。
一方、こちらは本田さんが仕事でデスクトップPC、ノートPC、iPhoneの3つをどれだけ使っているかの推移。モバイルの発展とともに場所の制約がなくなっていくのが分かる。
モバイルの発展でノマドスタイルができるようになったメリット
モバイルを中心とした時代の変化によって、場所の制約がなくなりノマドスタイルを確立できた。それによって本田さんが得たメリットは以下のとおり。
- 雇用する必要がない
- オフィスを必要最小限ですませられる
- 売上げのためにやりたくないことをやらなくていい
- 固まった時間から細切れ時間
- 場所からの開放
- 管理される状態から自由に
- 物質主義→精神主義
雇用する必要がない
従業員を雇う必要がなく、従業員のモチベーションを上げるということも不要。本田さんは現在、10社に関わっているが、秘書はいないそうだ。また、レバレッジコンサルティングという本田さんの会社も一人でやっているとのこと。スケジュール管理はiPhoneがあればOKだそうで、経理は本田さんが関わっている会社に全部、アウトソース。
オフィスを必要最小限ですませられる
常駐で働く従業員がいなければ、オフィスを広くする必要はない。なので、固定費となるオフィスの賃料が削減できる。広さは60平米ほどと話されていた。
私の場合は、人と会うときはカフェやホテルラウンジ、あるいは相手のオフィスとなるので、オフィスすら不要。本田さんクラスになると、会う人も違うだろうし自社でオフィスを持つ必要性が何かしらあるんだろうなと思える。
売上げのためにやりたくないことをやらなくていい
オフィスに常駐する従業員が増えれば、オフィスは広くする必要があり、オフィスの賃料は広ければ高くなるのが普通。また、従業員がいたら給料を払う必要がある。
なので、場合によっては売上げを上げるために、やりたくないと思うこともやらなくてはならないこともある。それがなくなる、あるいは一人ならだいぶ軽減されるのは大きい。
これは非常に大きいメリットだと思える。こうした意識を持つ人が増えると、ますます雇われるのが普通というのが成り立たなくなっていくように思える。価値観や合う合わないがあるので、どちらでもいいと思うが、会社の給料に頼らず自分で稼ぐ力を持つことがますます重要になってくるなと思えた。
固まった時間から細切れ時間
iPhoneの発展のおかげで隙間時間でも仕事ができるようになったのが大きいという話をされていた。移動中にも仕事ができるし、固定した場所にいる必要もない。
どんな内容の仕事をするか?によるだろうとは思うが、まとまった時間を必要としない仕事、たとえば、何かの確認だったり、ちょっとしたミーティングなどは、細切れ時間で処理できるだろう。執筆や戦略を考えるといったクリエイティブなことをするならまとまった時間は必要だろうから、あくまで一部が、ということは考慮する必要があるだろう。
場所からの開放
ノマドスタイルであれば、決まった職場というものはいらなくなる。なので、固定した場所にいる必要はないし、いろんなところに行きたいという思いがあれば、場所から解放されるのは大きいだろう。
一方、場所という要素をうまく活用している人もいる。例えば、フリースタイルフットボールで日本人初の世界一となった徳田耕太郎さんは、中学高校と一人で毎日練習していたときの考えが特徴的だ。練習をしに行くという感覚ではなく、あの場所に行くという感覚だったそうだ。特定の場所に行くことで、練習のスイッチが入るような感じだろう。
徳田耕太郎、サムライのリフティング映像とビジネスのヒント| IDEASITY
管理される → 自由
固定された場所や固定された時間からも開放され、管理されることがなくなり、自由になる。
物質主義→精神主義
移動が多いと、物なんてもっていけないし、価値観が変化していったようなことを話されていた。何か物を手に入れるよりも、いろんな体験をしたりすることに価値を感じるようになっていって、余計な物は買わなくなり、必要最小限になったそうだ。
新しい「働く」の形態
など、いろんなサービスが生まれており、新しい形態の働き方が生まれている。そして、「消費者⇔提供者」となっているような形のビジネスもある。
Uber、Airbnb、Etsy、Task Rabbit、Rover、gengoといったサービスを通して仕事をすることが可能。
UberやAirbnbは日本でも少しずつ利用されてきていると思うので、知っている人も多いとは思う。
Uber
Uberは日本ではまだまだ普及していないが、海外では相当便利なようだ。私は日本で使ったことがあるが、スマホで予約したら高級車で出迎えてくれ、支払いは事前に登録してあるカードで済ませられる。なので、乗って降りるだけでいいので支払いの煩わしさがなくて便利。人によっては、自分が乗るのではなくて、誰かの送迎に使うケースもあるそうだ。
Airbnb
Airbnbは自分の家の空き部屋などを他人に貸し出せるサービス。もともとはサンフランシスコで家賃の支払いに困っていた創業者が、自分の部屋を貸し出ししたのが始まりだそうだ。サンフランシスコで何かのカンファレンスがあり、ホテルがどこもいっぱいだったときに、始めた。
Etsy
Etsyは自分の制作したハンドメイドの作品を売買できる仕組みを提供しているサービス。
Task Rabbit
Task Rabbitは買物代行だとか家具の組み立てなんかをお願いしたい人と手伝いたい人をつなげるサービス。
Rover
Roverは旅行などで家を空ける際に飼い犬を預けたい人と、預かってもいいよという人をつなげるサービス。Airbnbの犬版と言われることも。
gengo
gengoは翻訳のサービス。本田さんはわずか900円でプロフィールの翻訳がお願いできたとか。
といったように、いろんなサービスがあり、働き方、お金の稼ぎ方が多様化している。
他にも、日本生まれのサービスならLancersやCrowdWorksがある。いずれもフリーランスの人をつないでくれるサービスでデザインやネーミング、簡単な作業などなどいろんな仕事を受発注できる。
新しい働き方の波に乗った人
こうしたサービスが生まれてきたことによって、こんな人まで現れているようだ。本田さんにUberの面白い例を話していただいた。シンガポールで本田さんがUberに乗ったときに運転手と話をしていたときのこと。その運転手のボスは、自身がUberで稼ぐ運転手だったそうだ。それがうまくいくようになった今、車を5台買って、運転手を雇っているそうだ。Uberの仕組みを使って働きながら(Uberから見たら消費者)、提供者にもなっているビジネスをやり始めた人がいる。
他にも、いくつか日本に拠点を持っていて、別なところにいて部屋を使わないときは、Airbnbで貸し出すなんて人もいる。
次の10年をどう過ごすか?
10年で劇的な変化があったからこそ、本田さんは日本とハワイのデュアルライフができるようになり、場所に捕らわれずに自由に、タイトルのようにボヘミアンの生き方ができている。
新しい時代を生きるのに必要なスキル
本田さんの考える新しい時代を生きるのに必要なスキルは次の3つ。
- 過去の常識をリセット
- 実験をし続ける
- やるかやらないか(少しの勇気を持つ)
今は、子供がYouTubeでSiriを使って見たい動画を見るような時代になっている。過去の常識では考えられないようなことが起っているわけであって、ゼロベースで考えないと変化に適用できいこともある。
今後10年間でどれだけ変化が起きるかなんて予想もつかないし、先を行く人がいないことだってある。だから、我々はいろいろと実験をして自分のライフスタイルを確立していくということ。
所感
本田さんの話を聞いていて思ったのは、ノマド、ボヘミアンになるには前提があるということだ。
それは、自己管理ができることと、主体的に動けることの2つ。
自己管理ができないと厳しい
誰も見ていない中、どれだけやるべきことをやれるか?自分の好きなことに目を奪われて、やるべきことから逃げてしまう。なんことになると、ただ遊んでいるだけになってしまう。それが目的ならいいが、生活を考えて好きなことを自由にやって収益も上げるとなると、自己管理が必須になってくる。
主体的に動く
これは、主に独立してノマドでやっていきたい場合の話にはなる。
主体的に動くというのは、要は自分で何をするか考えて実行するということ。これは、人によって難しいことがある。特に会社員をやっていて上から振ってくることをこなしていただけの人はそうなる。わたし自身がそうだったのでよく分かる。
会社員時代は、好きでもないことを仕事としてやっていたので、積極的になることはなく、会社や事業部、室(部)の方針も理解していないし、理解しようとも思わなかった。何せ、興味がないのだから当然だろう。じゃあ何がしたいかというと、それは分からない。ということで、振ってくることをこなす毎日だった。
なので、会社を辞めて自分で何かするぞとなっても、主体的に動くのが難しく、つい遊んでしまったりしていた。だらけて終わりなんて日がたくさん続いた。それでは当然、うまくいかない。
そうなると、なかなか苦労することになるので、率先して何かをやるということを普段からやっている必要があるなと思える。急に、主体的になるのは難しいので。
変化はマイナスにも働くが、プラスにも働く。自分がどう適用するか?だ。