サーキュラーエコノミーという今の時流に乗ったビジネス事例
サーキュラー・エコノミー(Circular Economy)というのが注目されているというアクセンチュアの記事を読んだ。
サーキュラーというのは循環するという意味。ここでの意味は、大量生産→大量消費→大量破棄というのではなく、一度作ったものを長く使って壊れたら修理、修理できない状態になったら素材を再利用といったように、捨てるのではなくて繰り返し使うということだろう。
そんな形で理解するとなんとなく分かるような気がするのだか、その背景まで理解すると、もっと広範囲の話だということが分かり、時代の流れとしても確かにそうなっているなというのが分かる。
つまり、ビジネスを成功させる上で重要な要素の一つである、時代の流れに乗りやすくなるのでは?ということで少し掘り下げたい。
目次
なぜ、サーキュラー・エコノミーが注目されるのか?
別なアクセンチュアの記事によると、サーキュラー・エコノミーが台頭してきている前提にあるのは、有限な資源がどんどん使われ枯渇に向かっているということ。
その背景があると、資源を循環させようということの目的は自然を無駄遣いしないようにするということであることが分かる。つまりは、無駄なく資源を使おうというのがサーキュラー・エコノミーのポイントとなる。
なので、何か無駄になっていることは?という視点で捉えることもでき、先ほどのアクセンチュアの記事では、4つの無駄があるとしており、それぞれがビジネスのチャンスとなる。
- 資源の無駄
- 資産の無駄
- 製品需要の無駄
- 潜在価値の無駄
資源の無駄とそこから生まれるビジネス
一度使ったら再生できないような資源は、再生できる資源がある以上は無駄と言えるので、そこにチャンスがあるという考え。
使い捨ての資源ではなく繰り返し使えるような素材を提供できるかどうかというビジネスを生み出す観点としては考えられる。
なかなか個人がリスクを抑えて取り組むのは難しそうではある。
4つ目の潜在価値の無駄というところにもつながる話で、そちらのほうがスモールビジネスには向いているような気はする。ハードではなくソフト面で工夫ができそうなので。
資産の無駄とそこから生まれるビジネス
これは、せっかくの資産が使われていないということ。
Airbnbやカーシェアリングなどに代表されるシェアリングエコノミーが相当する。なので、サーキュラーエコノミーはシェアリングエコノミーの上位概念とも言えるわけだ。
あとは、マッチングもここに入るものと思う。本来活用されるべき資産が浮いているところをマッチングさせるわけなので。
ビジネスにはいろんな形態がある。物を売る、サービスを売る、代わりにやってあげる(代行)、レンタル、などなど実に様々。あとは、マッチング。人と人をつなげることで価値を提供するやり方だ。
CoCo壱番屋が昼間の閑散時間を漫画喫茶として有効活用
ITMediaビジネスの記事によると、ここのところカレーチェーンのCoCo壱番屋が昼過ぎから夕方までの閑散とする時間を有効活用すべく、漫画を大量に置き、Wi-Fiや電源の設置も進めているそうだ。店舗も改装を進めていたそうでゆったりできるような形になっているとのこと。
昼間の繁忙時間に漫画を読んで悠々自適という人はそうはいないそうなので、成り立っているようだ。閑散期の無駄を有効活用した例として興味深い。
製品寿命の無駄とそこから生まれるビジネス
まだ使えるのに捨てられているという無駄。
ここから考えられるのは、ひと昔前ならヤフオク、今ならメルカリなどの登場によるビジネスかなと思える。CtoC。なかには単に業者が販売チャネルとして利用しているだけのケースもあるが、自分にとっては不要でもまだ使えるものを流通させるプラットフォームでもある。最も利益になるのは、プレイヤーではなくプラットフォームを提供しているところだけれど。
消耗品を売るビジネスから脱却した事例
継続的な収益が見込める消耗品を扱うのはビジネスを軌道に乗せるにはもってこいの商品だ。ただ、新しく商品を買ってもらうことが前提となると、長持ちすると儲からなくなってしまうわけで、大量生産、大量消費につながる。
そうした従来の状況から脱却した例が車のタイヤを扱うミシュランだそうだ。バーバードビジネスレビューの記事によると、タイヤメーカーのミシュランは、タイヤという商品を売るビジネスから走行距離を売るビジネスに転換したそうだ。タイヤにセンサーがついていて一定距離を超えると、タイヤを交換してくれる。
結果、今まではタイヤが長持ちすると買い換えサイクルが長くなるので商売としては利益が出にくくなっていたが、今は商品が長持ちしたほうが儲かるような仕組みになった。
修繕を無償で行なうヌーディージーンズ
こちら
画像:nudie jeans(HEROINTERNATIONAL)
製品寿命を長く、という観点で今、受け入れられているのはスウェーデン生まれのヌーディージーンズ。持続可能な社会を目指すデニムブランドで素材は100%オーガニックコットン。無理な急成長は望まず持続可能な形で営業を続けている。大きな特徴として挙げられるのは、無料でジーンズを修繕してくれることだろう。
長くジーンズを愛用してほしいという思いがあって無料での修繕を受け付けているそうだ。その代わり単価は高くて2万円くらいするが、長く使うのなら安いのを何度も買うのとたいして変わらないと言えそうだ。
従来の大量生産、大量消費の時代では受け入れられなかっただろうから、今の時代の流れがあるからこその成功だと思える。まだ先進国の話にはなると思うが。
潜在価値の無駄とそこから生まれるビジネス
製品を廃棄するときに、まだ使用できる部品や素材などを捨ててしまう無駄。
こちらはリユースやリサイクルが考えられる。いくつか事例があるのでご紹介しておきたい。
アップサイクルのTerraCyleやFREITAG
例えば、TerraCycleというスタートアップ(10年以上たっているけれど)がある。TerraCycleはリサイクルではなく、アップサイクルという形で資源を再利用して商品を販売している。アップサイクルというのは、付加価値を高めてリサイクルすること。トラック帆を再利用してバッグにしたFREITAG(フライターグ)をイメージすると分かりやすいだろう。
食品の無駄をビジネスに買えた例
スライスしたパイナップルを売る人たちが形の悪いものを破棄していたことがあり、それに目をつけて捨てられるパイナップルをカットして細かくし、クラッシュ・パイナップルとして売ったらヒットしたなんて話がある。
また、深澤製餡所というあんこを作っている会社では、小豆の皮を大量に破棄していたそうだ。それらを何とか再利用できないかと考えていたところ、小豆の皮は潤いの効果や、汚れを落とすスクラブ効果があることが分かり、石けんとして販売したら売れたという話もある。
こうして廃棄物がアイデア1つでヒット商品に変わった3つの事例
廃棄物。通常なら捨ててしまうのが廃棄物だ。場合によっては捨てるのにお金がかかることもある。 が、一方で価値のないゴミが突如、価値ある商品に変わることもある。お金をかけて処分していたのが、一変してしまうというわけだ。 そんな発想の転換に成功した事例がいくつかあるので、それらをピックアップしてみた。
安くしか売れなかった食品の価値を高めて商品化した例
先ほどは何かを作るときに生まれてしまう副産物を廃棄していたのを商品化した例だが、こちらは低価格で売らざるを得ない状況だったものをうまく付加価値をつけて商品化した例。
発想の転換で低価値が高価値に変わり持続可能なビジネスが生まれた話
もともと価値を見いだせなかったものに価値を与えて売れるようになる――。そうした発想の転換と行動力によって新たな商品が生まれることがある。 こちらの記事でもいくつか紹介しているが、また面白いのがあったので今回はそちらを。バターのいとこという商品だ。 こうして廃棄物がアイデア1つでヒット商品に変わった3つの事例
スモールビジネスではどうするか?
こういう時代の流れがあるとして、我々のようなスモールビジネスに関心のある人たちはどうしたらいいだろうか?
時代の流れに伴う意識の変化というのはとても大きいように思えるので、ビジネスアイデアを考える際の軸の一つとして意識するのがいいのかなと思える。普段から意識しているといろいろと見えてくるもの。
例えば、髪を切ると髪の毛が大量に捨てられる。もし、何かに利用できるのであれば、破棄するものを有効活用できるわけだ。
ちなみに排泄物(要するに“大”)を移植すると病気の改善につながるなんて報告もあるわけで、良い腸内細菌を持っている人は排泄物ですら価値がある(糞便移植)。そう考えると何でもありだな、と思える。
まとめ
時代の流れはこうして変わっていくんだなと思える。といっても、昔の日本では当たり前のようにやられていたことが、脚光を浴びているように思えるので、流行みたいにそれ自体が循環しているように思える。
ただ、聞けば当たり前、前はそうだったと思えるようなことでも、それを概念化、言語化するのは難しいので、アクセンチュアの記事のようにまとめてくれるとありがたい。
あとはそれをどう活用するか?なので、普段の生活で、今の仕事で意識したいところ。ひょんなことから新しいビジネスが生まれることもあるのだから。