スマートスピーカーの登場でビジネスはこう変わる。米国で3世帯に1つ普及、日本は5.7%
先日、Google Home Miniを買ってみた。こういうのは、実際に使って体験してみて分かることがある。例えば、今後のGoogle検索が変わっていくだろうなと思えることや、スマホが置き換わっていくだろうな、という感覚は使ってみないとわからなかった。
当然、そうした変化によってビジネス環境というのは変わっていくので、今どうなっているか? という話と今後はどうしていくといいか? ということに関して考えてみた。
スマートスピーカーとしてGoogle Home Miniを使ってみた感想などはこちら。
Google Home Miniでできること一覧と使って初めて分かった想定外のポイント
実際に使ってみると意外と便利。「別にこんなのいらないよね?」と思っていたのがウソのようにだいたい毎日使っている笑 といっても気温を聞いたり音楽流したりとたいしたことには使っていないが、これは今後のビジネスが変わっていくなとは思えた。
以下は、スモールビジネスの観点からGoogle Homeなどのスマートスピーカーによってビジネスはどう変わるのかまとめてみた。
目次
体験してみて思った今後の生活やビジネス変化
実際に使ってみるとそのすごさ、具体的にいうと「圧倒的な手軽さ」、が分かった。しかしながら、今後、スマートスピーカーがスマホ級に普及するかは未知数。1人1台とはならなそうなので、さすがにスマホ級の普及とはならいとは思うが、これは普及するんじゃないの? ちゃんとマーケティングしたら。という感覚はある。
ということで、今の普及の状況と普及すると何が変わるのか? ということについて。
スマートスピーカー(AIスピーカー)の普及度合い
スマートスピーカーはアメリカが先行しているはず。ということで、アメリカのデータを少し調べてみたらこちらのロボスタというサイトに行き当たった。
海外のデータを引っ張ってきているようなので、元サイトのSearch Engine Land
も見てみたところ、Google HomeやAmazon Echoといったスマートスピーカーは2017年末で4500万台が販売されたそうだ。そのうち69%がAmazon Echoで残りの31%がGoogle Homeとのこと(いずれもCIRPというリサーチ会社のデータ。他はゼロなの? という感じだが……)。
アメリカの人口は2016年の時点で3.26億人なので、単純に人口と比較するとアメリカ人の14%がスマートスピーカーを使っている計算になる(ちなみに、こういうときに「OK、Google. アメリカの人口は?」と聞けて計算もサッとできるのは便利)。
ただ、世帯で使いそうな気はするので、もっと世帯普及という観点からはもっと普及していると言えそうだ。
アメリカ合衆国国勢調査局の世帯数の数字によると2016年には1.36億世帯ある。となると、アメリカにおけるスマートスピーカーの普及度合いは3世帯に1つとなる。
複数買っているところもあるだろうから、単純に3世帯に1つとはいえないだろうが、普及度合いはけっこうなものではないかと思う。
ということで、だいぶ普及しているのでは? と思える。
日本のスマートスピーカー(AIスピーカー)普及はまだまだ
2018年1月に実施されたジャストシステムのアンケート調査※によると、アンケートに答えた人のわずか5.7%しかスマートスピーカーを持っていないようだ(ただ、アンケートに答えるとポイントがもらえるという類のアンケート調査なので、どこまで信用できるかは不明)。
モニタスというところが実施した別なアンケート結果だとと、アンケートに答えた人の2.2%が所有しているという結果だった(こちらもアンケートに答えとポイントがもらえるというもの)。
といっても、先のアメリカのスマートスピーカー事情は販売数だったが、日本の場合はあくまでアンケートに答えた人のなかでの割合。なので、単純比較はできないとしても差がだいぶ大きいことだけは確かだろう。
今、日本で売られているスマートスピーカー(AIスピーカー)の種類
2018年3月時点では以下の社があるようだ。()内は商品名。ただ、Amazon Echoは日本ではまだ招待制で誰でもすぐに買えるわけではない。また、AppleのHomePodはまだ日本では売られていないが、おそらくじきに販売となるものと思う。
- Amazon(Amazon Echoシリーズ)
- Google(Google Homeシリーズ)
- LINE(Clovaシリーズ)
- ソニー(LF-S50G)
- オンキヨー(スマートスピーカーシリーズ[G3, P3])
- HARMAN(JBL LINKシリーズ)
すべてのメーカーが独自の音声アシスタントを持っているわけではなくて、AmazonかGoogleかLINEのどれかを使うことになる。PCやスマホと似たような形でソニーのPCだけどOSはWindows、ソニーのスマホだけどOSはAndroidというようなもの。
オレンジは音声アシスタントがAmazon(Alexa)であり、 青がGoogleの音声アシスタント、そして、緑はLINEの音声アシスタントという形になっている。オンキヨーは機種別でGoogleとAmazonの2つに対応している。
スマートスピーカーが今後のビジネスへ与える影響は?
Google Home Miniを実際に使ってみて分かったのはその手軽さ。しゃべるだけでいろいろと解決できるのはものすごく楽。
今後、どんどん普及することを前提とすると明らかに人の生活が変わると思える。使う人と使わない人が別れて、使う人の生活スタイルは間違いなく変わると思える。
少なくともスマホやPCの使い方は変わっていくと思うし、検索のしかたも変わっていきそうには思える。Webページのありかたも変化が必要になっていくだろう。
スマホがスマートスピーカーに置き換わっていく
スマホの登場によって変わったのはPCの使用時間やPCでやっていたことの置き換え。ほかにもGoogleの検索離れなんかもあるだろう(もちろんなくなることはないのだけれど)。一方で、もともとPC使っていなかった人がスマホだけ使うケースもある。
そうした変化の背景には手軽さというのがあるように思える。その手軽さという観点を考えると、スマートスピーカー(AIスピーカー)はスマホを遥かに上回る。単に話しかけるだけでいいという手軽さはすごい。Google Homeを使ったときの体験があるとそれが実感できる。
スマホを近くに置かなくてもいいし、口が塞がれていない限りは寝っ転がっていても何か作業していても簡単にいろいろと調べられたりできるのは本当に手軽。その代わり持ち運びはしないのが普通だろうから、あくまでスマートスピーカーが置いてある場所(家、オフィスなど)での話にはなる。
なので、スマホでやっていることが置き換わっていくのは必然的な流れに思える。もちろん、スマホでやっていることが全部置き換わるなんてことはいくらなんでもないので一部がシフトしていくということ。
スマートスピーカーでできることはまだまだ少ないものの、スマート家電がどんどん普及していってできることも増えていったら、Google Homeなどのスマートスピーカーはスマホ並みに手放せない存在になりそうな気はする。
スマートスピーカーによって検索が変化する
Google Homeに問いかけると、Webで検索してその結果から返答することもある。
単なる調べものもそうだが、お店なんかはまさにWeb検索した結果から返答してくれる。場所や家からの距離に加えて、評価の星の数まで教えてくれるので、評価はもちろんのこと、いかにGoogle Homeの検索結果に乗るか? ということも大切になるなと思えた。
食べログとも連携ができるようなので、飲食店は新たな対策をすることで集客しやすくなることはあり得る。逆に対策しないと遅れを取るという見方もできる。
ちなみに、検索の変化に関してはHubSpotの記事によるとこんな話もあるようだ。
事実、4つ以上の単語を使って検索するユーザーの割合は64%に上ります。自分の知りたい情報をピンポイントで見つけられるよう、長めの会話型検索クエリを入れる人が増えてきたのです。
この背景には、音声検索の普及があります。モバイルデバイスにおけるGoogle検索のうち、SiriとGoogle Assistantを使った検索の割合は20%を占めています。Amazon EchoやGoogle Homeといったデバイスが登場したこともあり、今後もこの数字が増加していくことは間違いありません。
これからの変化に対応するには?
先ほどのHubSpotの記事のようにすでに対策をしましょうみたいな話も出ている。それがピラーページ(Pillar Page)を作りましょうという話。
要はまとめ記事、要約記事をつくってそこからより詳しく解説したページをリンクしているようなイメージかと思う。そのページを見ると全体像が分かって、より深く調べたいことに簡単にアクセスできる。目次と簡単な要約がついたようなもの。
別に音声検索とは関係なくやったほうが良い対策でもあり、音声検索が増えることによってより重要になっていくという話だ。
まとめ
否応なしに時代は変わっていくもの。今後は、検索結果が画面表示されて、操作もできたらPCいらずでできるようになるかもしれない。スマホなんてあんな小さな画面でちまちまやっているのはどう考えても非効率。もちろん、便利ではあるけれども、もっと手軽で使える道具ができたら確実に置き換わるものと思える。
どんどん時代が変わっていくといっても、一気に全部が覆るということはあまりなくて、より細分化されていくようなイメージだろうか。SNSなんて2000年中盤の頃はmixiくらいしかなかったのが、今はTwitter、Facebook、Instagram、LINEなどなど多岐にわたっている。
それらを全員が全部使っているなんてことはなくて、一部はよく使うけれども一部はたまにしか使わないとか、使用用途を分けているとかさまざまだ。
若者はInstagramで検索をするとか「ググる」ではなく「タグる」なんことを言われているが、シニア相手にビジネスをやっていたらそんなのはどうでもいい話。Instagramなんて名前すら知らない人もいるし、新聞折込チラシでもやったほうが売上にはつながる。
そうした時代にスモールビジネスを考える場合、誰がお客さんなのか? ということをよく知ることがより一層大切になっていくなと思える。世の中のトレンドがInstagramだろうと他のSNSだろうと、対象としているお客さんがFacebookを使っているなら、Instagramなんて無視していいわけで、流行に乗っても意味はない。
とはいえ、変化の大きな流れは知っておいたほうがいいとは思うので、何かしら体験してみるのはありだとは思う。
Google Home Miniでできること一覧と使って初めて分かった想定外のポイント