こんなメール送ってませんか?普段のメールから分かる売上増の視点、売れない視点
CD・DVDのレンタル事業をしているある会社からメールがちょくちょく送られてくる。残念ながら、たいていの場合は開封しない。理由は簡単で、CD・DVDの購入クーポンの案内ばかりだから。
これは売り込みだからというわけではなくて、何のメリットもないから。というのも、CDもDVDもその店では買ったことがないし、そもそも最後に買ったのはいつだろう?と思い出せないくらい前のことになっているから。要はCD・DVDの購入には無関心だということ。
ただ、自分の感覚で購入クーポンばかりだというのは、ちょっとよろしくない。感覚だけで捉えていると往々にして自分の思うように偏るからだ。ビジネスをやるならデータをしっかり見ないといけない。
そこで、メールを検索してきっちり数字で見てみることにした。
目次
感覚ではなくデータとして見ても購入クーポンが多いのか?
すると、最近20通のうち16通がCD・DVD購入クーポンだった。2通が本のクーポン、残りの2通が件名からは判別不能。数えるのが面倒なので20件しか見ていないが、70くらいヒットしたメールをパッと見ても似たような割合だった。厳密に計算してもあまり意味はないので、わざわざ数えなかったが。
ということで、送られてくるメールは自分にとって不要な案内ばかりだということが数字からも分かったわけだ。では、その会社はなんでそんな無駄に思えることをするのだろうか?
なぜ無意味なクーポンを送り続けるのか?
本当の理由は、送り元に聞かないと分からないが、あなたはどう思うだろうか?
いろいろな理由があると思うが、クーポンを送ってくる目的として考えられるのは大きく2つの視点があると思える。
- お客さんに使ってほしいから
- お客さんによく使われるから
の2つだ。似たような書き方だが、根本的に違う。
お客さんに使ってほしいから
この場合、視点がサービス提供側に向いていると考えられる。本当に良いもので是非、試してほしいということならこの限りではないが、今回の場合、そうは思えない。
というのも、過去の履歴を見たら一目瞭然だから。その店でレンタルは何回かしたことはあるが、買ったことは一度もないのだ。
それなりに大きなところなので、やる気になったら過去の状況を見てメールの内容を変えるなんてのはできるはず(それなりに大きくなくてもできる)。技術的な問題は考えにくいので、単にやっていないだけのように思える。あるいは、会員規約の縛りでデータを使えないといったことは考えられるが、前に規約は変更したように思うので、それはないだろう。
要は、端的にいうと自分たちの売りたいものを売ろうとしているということになる。
お客さんによく使われるから
一方、お客さんの状況を見て、CDやDVDをよく買っているなと判断してのことなら、視点はお客さんを向いているといえる。クーポンをプレゼントしたら喜ばれるだろうからプレゼントするわけだ。そうすれば、長くご愛顧してもらえてお客さんも自分たちもいいという考え。
基本的に売れないものを売れるようにするより、売れているものを伸ばしたほうが売上につながる。売れるということはそれだけ需要があるから。なので、この視点で行動をしたほうが売りたいモノを売るより売れる。一人一人の購入履歴までは見ないとしても、全体で見て購入している人が多いなら購入を促進し、レンタルが多いならレンタルを伸ばした方がいいように思える。もちろん、計算によってはこの限りではないけれども。
どっちをとるか
ということで、どんな目的でメールを送ってきているかは分からないが、自分なりに思うのは無駄なことをしているなということ。
もしかしたら、わざわざメールにテコ入れしても売上に貢献する割合が少ないということが分かっていて力を入れていないだけかもしれないし、他の理由がある可能性もある。なので、部外者のいうことには変わりないが、今までせっかくデータを溜め込んでいるなら有効に使ったらいいのにと思える。少しだけ変えるだけで、売上増にはなるのではないだろうか。
自分のことは案外見えていない
今まで、僭越ながらたくさんの人の起業や既存のビジネスの売上増、集客の助けになるように指導をしてきた。その中で思うのは、すでに事業をやっている人は自社資源の活用ができていないケースが多いということだ。今回の話なら購入履歴というデータを活用していない(と推測できる)。
一方、これから起業してビジネスをやろうと思っている人は、自分のやってきたことを過小評価して活用できていないケースがよくあるということ。普通の会社員だったので……と言いながら、実はすごいことをやっていることは少なからずある。謙虚ならいいが、過小評価ならもったいない。
ただ、注意したいのは、自分たちの資源に気付いていないからといって、能力がないとかダメな人(組織)だとはならない点だ。自分のことは見えにくいからものだから。
目は目を見ることができない。指は指を指すことができない。誰でも自分のことは案外わからないものだ。
アンデルセン(童話作家)
なんていわれることもあるわけだし。
なので、私自身が他人から見たら簡単に分かるのに気付けていないこともあるし、自分が見えないのは自然なことだとは思う。
ただ、自然なのだからしょうがないでは前に進まないので、他人の目で見てもらうというのは大切だなと思える。あるいは、(うまくいっている)他人のやっているこを知るでもいいと思う。
例えば、先日、こちらの記事で書いた捨てないパン屋さんの話。他人のやっていることを見て、衝撃を受けて自分もやってみたら、廃棄処分ゼロのパン屋を実現できた。人件費は減り、価格も安くなった上に味が良くなったという劇的な変化になったようだからすごい。
まとめ
ということで、1つのメールからでもいろいろと分かる(というか勝手に推測しているだけだが……)。ひいきしてもらえるようにお客さんの視点で常にいたいものだ。
ただ、頭では分かっていても、なかなか自分のことは見えないので、気付かないうちに間違った方向に進んでいることもある。そうならないためにも、人の意見を聞いたり、他人、他社の事例を見ていろんな視点を持つのは大切なことだと思える。