気の利かない店員?それでは仕事は減っても非効率になるかも……

気の利かない店員?それでは仕事は減っても非効率になるかも……

以前、大阪に行ったときの話。東京から新幹線に乗って新大阪に着いたときには、次の予定まで時間の余裕があったので、カフェに入って一息入れることにした。カウンターの席に座ってメニューを見てすぐにコーヒーを注文をした。

すると、そこにお客さんが店にやってきてこんなやりとりが行なわれた。何気ない店員と客とのやりとりなのだが、重要な気づきを与えてくれるものだった。

というのも……。

※注意:写真は、ここで話題にあげているカフェとは別のカフェ

店員とお客さん

店員とお客さんとのやりとりはこんな感じだった。

店員「いらっしゃいませ。何名様ですか?」

お客「6人やけど、入れるか?」

店員「(店内をチラッと確認して)バラバラになってしまいますが、よろしいでしょうか?」

お客「バラバラかぁ?じゃあ、ええわ……」

という感じで、6人まとめて座ることができないことが分かると、お客さんはそのまま去って行ってしまった。

しかし、このすぐ後に店にとっては“痛い”ことが起こったのである……。

そのとき起こった“痛いこと”

何が起こったかを明らかにする前に、そのときの状況を伝えておこう。

お客さんはまばらなのだが、向かい合って座れる2人がけのテーブル席の真ん中にも端にもお客さんがいてバラバラに座っていた。3列連続で空いている席があればよかったのだが、実際にはそのようにはなっていなかった。だから「バラバラなら座れる」と店員は答えたわけだ。

ということで、6人連れは店を後にしたわけだが、そのすぐ後に1人のお客さんが支払いをしようと席を立ったのである。そして、そのお客さんがいたところが空いた結果、6人がまとまって座れるスペースが生まれた。

店員がどうするのか見ていたら、普通に落ち着いてそのお客さんの会計に対応していた。このとき、奥には手の空いた店員が一人いたのだが。

もし、あなたがこの状況に遭遇したら、どう思うだろうか?また、もしあなたが店員だったらどうするだろうか?アルバイトではなく店のオーナーだとしたら?

あなたならどうした?

パッと見て「バラバラじゃないと座れません」というのはいいとは思うが、じゃあいいやといって帰られる前に一人にずれてもらったらスペースができるのだから、中にいるお客さんに一声かけたらいいのに、と思った。

あくまで結果論ではあるが、そのすぐ後に一人のお客さんが帰ったわけだから、すぐに席を立ってくれたはずだ。たとえ、そのお客さんがもうしばらく店にいたとしても、横にずれてくれる可能性は高い。

声かけまでしなくても、1人のお客さんが席を立ったときに会計はもう1人のスタッフに任せて、今出ていった6人組を追いかけていったらいいのになとも思った。

自分が店員だとしたらこうする

自分がもし店員だとしたら、おそらく追いかけていくような気はする。金銭的なメリットは何もないけれども、役に立った感があったら嬉しいから。気が小さいので、席を移動してもらえませんか?とまでは多分言えない(笑)

もし自分が6人連れ側の人間だったら間違いなく店に入る。人通りがそこそこあるところで、6人座れるカフェを見つけるのはけっこう大変だから。

が、現実はというと、店としてはお客さんが6人ごっそり抜けていったようなものだし、6人連れも他の店を探すのはおそらく一苦労。さらに、席をすぐに立ったお客さんは、「自分邪魔かも」と思ってしまったかもしれない。店員にとっては、面倒なやりとりがなく、楽だったかもしれないが、人の役に立てたという気持ちを味わうことはできなかった。

同じ時間で労力が減るのは、合理的に見えて合理的ではない

もちろん、同じ時間で労力が減るならそのほうがいいということはよくある。それはお金のために働くという目的意識が強いと言えるし、別に悪いことではないと思う。

ただ、もし働くということを別の観点から考えてみると、楽しさ、やりがいといった感情が得られる可能性はある。すると、もらえるお金は同じでも、楽しさ・やりがいが得られるわけで、時間に対する費用対効果はより一層増す。つまり、一見すると合理的でないように思えることが、実は合理的だったということがあるということだ。

店員がダメなのか?

さて、これは「店員がダメだ」ということではなく、もし、あなたが従業員を一人でも雇ったなら、あるいは今、従業員を抱えているなら、もしくは会社員で部下がいるなら?一人でやるとしても、外注して何かを外部に頼むと考えたら?と捉えると面白い。

自らビジネスを立ち上げて成功させていく人たちは、おそらくこう考える。

  • どうやったらその店員がやる気をもって働けるだろうか?と考える
  • 他人に任せる場合には、自分の分身ではないのだから完璧を期待せず、それを織り込んだ上で雇って任せ、起きたことは自分の責任と考える
  • 店員を怒って従わせて変わらせようとするのではなく、自分自身が変わることで結果を変えようと考える

自分で事業をやる以上、事業で起こることは自分の責任。天変地異まで自分の責任とまでは言わないが、確実に言えるのは何かが起こったときに他人のせいにしていたら、うまくいかなくなる可能性が高まるだけだということ。

まとめ

ということで、カフェでのできごとで思ったことをまとめてみた。

ポイントは2つ。他人の役に立とうと一生懸命にやることは、報酬額の時間効率の面から見たら最低限をこなすのが最も効率的なのかもしれないが、それだけだと見落とすことがあるよ、という話。もう1つは自分が事業をする立場なら店員の責任は自分にある。やってくれないと嘆くのではなく、やってもらうためにはどうしたらいいか?という観点で考えることが大切だよね、という話。

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