起業するのに素晴らしいアイデアは不要な理由

起業するのに素晴らしいアイデアは不要な理由

ビジネスを立ち上げるには優れたビジネスアイデアが必要である。こう思っている人は多いのではないだろうか?

優れたビジネスアイデアが初めにあったからこそ、ビジネスがうまくいくという考えだ。確かに秀逸なアイデアが創業当初からあってうまくいったビジネスたくさんあるんじゃないかと思うので、それは正しいとは言える。

では、最初から秀逸なアイデアは必須なのか?必要条件として外せないのか?というと実はそうではないということも分かる。

例えば、あなたも知っているであろう有名なある会社。創業当時はこんな状態だった。

あの大企業は初めからすごいアイデアがあったのか?

1937年8月。アメリカにて。大学を卒業したばかりの2人の若者が新しい会社をつくろうと話し合った。その会社で何を売るのかは、さほど考えることなく——。

まずどんな製品を作ろうか?とか市場の可能性はどうだ?といったことを意見し合ったものの、これだ!というようなアイデアはなかった。それでも、会社をつくって事業を始めた。もちろん、何もないのに事業をするわけにはいかないので、最初に売り出す商品を決めて。彼らが扱ったのは計測器だった。

その後、その会社はどうなったのだろうか?

その会社は今や大企業だ。2012年の売上高は現在の日本円に換算してなんと12兆円にものぼる大企業になっている。 計測器メーカーとして創業したヒューレット・パッカード(hp)である。hpはプリンターも作っていて、かつてOA機器メーカーにいた関係で馴染みのある会社ではある。

創業者のひとり、ビル・ヒューレットは、このように心中を明かしている。

たまに、ビジネス・スクールで講演する機会があるが、会社をはじめたときに、なんの計画もなく、臨機応変になんでもやったというと、経営学の教授はあぜんとする。
わたしたちは、カネになりそうなことは、なんでもやってみた。
ボーリングのファウルライン表示器、望遠鏡のクロック・ドライブ、便器に自動的に水を流す装置、原料のためのショック装置などだ。
たった約5百ドルの資本金しかなかったから、だれかが自分たちにできそうだと考えたものは、なんでもやってみた。

ビル・ヒューレット
ビジョナリカンパニー 日経BP社、ジム・コリンズ、ジェリー・I.ポラス著、山岡洋一訳、P39より

日本の名だたる企業も最初は行き当たりばったり

今度は日本の大企業。1945年の夏。終戦後すぐに日本を代表するある企業が生まれるきっかけがあった。こちらも先ほどのhpと同様に創業当時、具体的な製品アイデアはなかった。

まずは会社を設立することにして1946年の5月に会社が生まれた。その後にどんな製品をつくって売るかを話し合った。創業者の1人は

「わずかな仲間たちは・・・事業資金をかせぐにはまずどんな商売をはじめるべきか数週間にわたって協議した」

と振り返っている。最初に手がけたのはラジオの修理と改造だそうだ。

この会社は日本を代表する企業の一つで世界中にも名前が知られるソニー。先ほどの創業者の言葉というのは、森田昭夫のもの。

世界に知られるIT企業も構想があったわけではなかった

今度は割と最近の企業にフォーカスしてみる。

2006年7月のアメリカ。

2006年の7月にサービスが開始され、今や世界中で使われるようになり、2億に人ものアクティブユーザがいるサービス。2013年には、NY株式市場にも上場したtwitter社。今の段階でうまくいてっているかどうかはおいておいても、世界への影響は計り知れない。

twitterは、もともとオデオという企業がポッドキャスティングで一山当てようとしたものの、挫折してしまい、会社の破綻が目前に迫っていたとき、残った人間で考え出したアイデアだそうだ。

初めからTwitterの構想があってそのために会社を作ったわけではない。必要に迫られて何とかひねり出したアイデアだったようだ

多くの起業がゼロから一歩一歩

多くの起業がゼロから一歩一歩

さて、ここまで見てきて、何かビジネスを始めるにあたって最初に優れたアイデアは必須だと思うだろうか?もちろん良いアイデアがあるに越したことはないが、なくても何とかなっている、正確にいうと何とかしてきている人たちはたくさんいる。

私自身もそうだし、周りの人も似たような人は何人もいる。といっても個人事業主やその延長、いってもたかだか年商で数億円規模なので、全然違う規模ではある。ただ、走りながらやってきている点は同じだなと思える。

はじめから秀逸なアイデアはなくても、まずはやりたいことをやってみる。あるいは、まずはやりたい人とやってみる。

はじめの一歩が五里霧中の状態からのスタートだったとしても、分からないながらも前に進み、少しずつ手探りで進めていって何をすればいいかを見つけていく。

そんな形でうまく成果を出す人たちもいるし、むしろそのほうが多いのでは?なんて思うこともある。

具体的にどうしたらいいのか?

「そうはいっても具体的にどう動いたらいいか分からない」という人は、いろんな事例を見たらいいと思う。自分にもできそう感がなかったら人は動けないのが普通なので、たくさんの事例を見てこんなのでもビジネスになるんだ、ということが分かると動きやすくなると思うからだ。いろんなビジネスを知るのは趣味になっているので、引き続き面白いのがあったら提供していく予定。

荒療治が好きな人は、会社をいきなり辞めてみるというのはあるが、それをやった身としてはお勧めしない……。やり方をある程度、知って会社にいながら実践していって辞める、というのがスマート。

やり方に関しては、少し前まで、映像を通してなど間接的な関わりも含めれば、1500人くらいの起業志望者やすでに起業している人にノウハウを伝える立場にいたので、何かしらリリースできたらなと思案中。

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