小室淑恵さんのTED、セミナーまとめと短時間労働ではないワークライフバランス
ワークライフバランスを提唱する小室淑恵さんの話は、仕事一辺倒な自分に違和感を感じる人にとっては非常に素晴らしい考えだと思う。かつての自分に言い聞かせたい内容でもある。
ふと、こんなに働いてどうするんだ?という疑問が湧いている人、仕事だけが人生じゃないと思っている人は是非、小室さんの考えに触れた方がいいかなと思う。
ということで、小室淑恵さんのワークライフバランスの話をまとめてみた。
なお、トリンプインターナショナルの社長を務め、19期連続で増収増益を果たしたデッドライン仕事術や早朝会議などでも有名な吉越浩一郎さんも似たような考えを持っており、トリンプ時代に残業ゼロを実現させている。吉越さんの講演内容をまとめた記事も参考にどうぞ。
元トリンプ社長、吉越さんのデッドライン仕事術の本質と活用のための4つのポイント| IDEASITY
目次
なぜ、ワークライフバランスを考えるようになったか?
小室淑恵さんがなぜ、ワークライフバランスを考えるようになったかの原点が分かるインタビュー。
「19時に帰ったら、全てが変わった」小室淑恵さんに聞くワーク・ライフバランス【Woman’s Story】
インタビューにもあるとおり、小室さんはもともと残業ばかりしていたようだ。23時くらいまで働いたというのはかつての自分と同じだし、たくさん働いているのをアピールしているようなところも同じだと思えた。
が、小室さんの体験のとおり、オフィスで時間をかけていれば、いい仕事ができるというわけではない。詰まっているときはなおさらだ。今の自分の限界が来ているから詰まっているのだから、同じ事をやっていても限界を突破できる可能性は低い。何でもいいから違うことをやることで、可能性が見えてくる。
会社員の場合、上司や職場の雰囲気、社風などがいろいろと絡んでくると思うので、そう簡単に時短労働はできないという人もいるとは思うが、やっている人がいるということ、できる可能性はあるということを意識することは重要だと思う。
小室淑恵「山積する社会問題をタダで解決する、たったひとつの方法」
TEDxTOKYOで小室さんがプレゼンした映像はこちら。
ポイントはお分かりのとおり、長時間労働をやめて効率良くやれということ。短時間労働者も立派に成果を出しているし、時間と成果は比例するとは限らないということ。まったくそのとおりで、時間だけ食うような悪しき習慣や環境は見直した方がいいと思う。長時間労働は社会問題としてしっかりと捉えるべきということと私は捉えたが、その通りだろうと思える。
私が注目したいのは、自分の人生を生きたいように生きるために、という観点から結果と効率を意識しようという点。もう社会全体が長時間労働している余裕なんてないよ、というマイナスの側面からの動機付けもいいのだけれど、痛みを避けるために生きるだけでなく、プラスの側面から考えたい。
特に会社員ではなく、独立してやっていきたいという人、すでに独立している人や経営者は、いかに効率よく結果を出すかということを考えないと自分の時間がなくなるだけ。お金を払う側は、あなたの苦労に対価を支払うのではなくて、得られる結果に対価を支払う。
なので、
時間をかける ≠ 価値が高い
高品質 ≠ 価値が高い
ではなく
求められているもの = 価値がある
求められている以上のもの = より価値がある
ということ。時間をかけてもお客さんの望む結果でなければ、満足してもらえない。
小室淑恵「人口構造から見るゲームチェンジの必要性」―人口ボーナス期から人口オーナス期へ
こちらも主張は同じだが、人口構造という観点から生産性を上げざるを得ないというプレゼン。
小室さんの主張のポイントはワークライフバランスなので、このプレゼンでも短時間労働できっちり成果を出すということが主眼となる。今の日本の状況を見ても、短時間労働にならざるを得ないという状況だというのは説得力があるように思う。ひと昔前の長時間労働が普通という考えでは、うまくいかないと考えるのが自然だろう。
ここで、問題になるのが、確かに短時間労働で結果が出るようにしないとまずい状況になっているし、できるならそうしたいと思っても、果たして現実的に時短労働はできるのか?ということではないだろうか?
そう簡単に時短労働はできるもの?
会社で働く多くの人にとって小室さんのような考えには賛同できる話のように思える。完全にではないかもしれないが。
というのも、少なくとも私は会社員として働いていたときは、短時間労働で帰れればいいとは思っていたから。しかし、長く働かないと成果が出ないと思っていたのも事実。そして、成果が出ないと部署内で問題視されて、いづらくなるんじゃないかという思いもあった。さらに、たとえ成果が出なくても、長く働いている姿を見せていれば、一生懸命やっていると思われて何とかなるだろうという考えすらあった。
今、思うととんでもない話だ。会社に利益をもたらさない、保身の考え。
会社員当時、早く帰っている人は何人もいたが、何も言われていなかったので、残業している人がエライというような雰囲気は部署内にはなかったと思う。なので、自分の思い込みで「長時間労働=美徳」みたいな図式があった。自分の中で、早く帰る人に対してもっと時間をかければ、もっといいのができるはずなのに手抜きなんじゃないかという邪な思いもあった。
本人の意識がそれじゃあ、早く帰るなんてことは無理だ。自分の中でねじれた価値観があると、なかなか短時間労働で会社を切り上げるのは難しい。自分の内部的な考えが邪魔をしてしまう。
会社に時間を奪われる人はどうしたらいい?
また、会社にもよるとは思うが、まだまだ長時間労働を良しとする会社はたくさんあるように思う。外部的要因で短時間労働が難しいという人もいるだなう。そんな会社に勤める人に対しての小室さんのメッセージはこうだ。
そうは言われても、会社に「長時間労働=会社への貢献」という空気感があるとなかなか難しいところだとは思う。早く帰ると、上司や同僚にネチネチ言われるとということは気分のいいことではない。
どうしたら短時間労働に移行できるか?
自分が持つ内部的な考えが原因で短時間労働が難しいと思う場合も、会社の雰囲気などが原因で短時間労働が難しいと思う場合も、いずれの場合も自分がどうしたいか?真剣に自分がどうしたいのかを考えた上で、判断すべきことかとは思う。
今の状況を甘んじて受け入れるなら、我慢して長時間労働をするか、やっていることを楽しいと思うようにするか、だろう。
会社に時間を奪われるのはイヤだと思うなら、同じ事を繰り返していても結果は変わらないのだから、何かしら変えなくてはならない。勇気を持って今までとは違う行動をしてみることだ。自分が思い込んでいただけだったということもあるし、同じように考えている人が他にいるかもしれない。
それで反発を受けるようなら、そもそもそんな会社にいたいのか?ということかと思う。価値観が合わない人たちと残りの会社生活をずっと続けたいのか?Noなら、なんとか会社の雰囲気を変えるか、辞めて独立するか、転職するかだろう。結局、自分がどうしたいのか?ということ。
短時間労働ではないワークライフバランス
ワークライフバランスという考えは素晴らしいと思うが、当然ながら迎合する必要はない。重要なのは自分がどうしたいのか?ということだと思うので。短時間労働で仕事をサクッと切り上げるのがいいと思うならそうしたらいい。
一方、会社や仕事一辺倒でいいという人は長時間働いたらいいと思う。日本電産の創業者である永守重信さんなんて年間を通して元日の午前中しか休まないそうだ。また、KAGOという面白い変わった食器を作っている能作の社長も長時間労働。朝6時に会社に行って、23時まで会社にいるそうだ。2人とも社長ではあるが、従業員として働く人の中にも同じように考える人はいるだろう。
彼らは自分の意思でそうしたいと思って長時間労働をしているので、それでいいと思う。堀江貴文さんは「仕事とプライベートという概念がない」というようなことを言っているが、彼らもそうなのかもしれない。ワーク≒ライフみたいな感覚に近いように思う。
私も完全にとまではいかないまでも、仕事とプライベートという垣根があまりない状況。たとえば、新婚旅行に行きながらメルマガを寄稿していたこともある。好きでやっているので、苦になるどころか、むしろネタになっていいという感覚で楽しみながら書いていた。「信じられない・・・」という人もいるが、奥さんの理解もあったので、何ら問題と感じることはない。
もちろん、ワーク≒ライフといってもダラダラやるのはよくないので、短時間できっちり結果を出すというのは、生産性向上の意味では重要なこと。時間を掛けることが重要なのではなくて価値を生み出すことが重要だということ。
まとめ
仕事をサクッと切り上げてプライベートを充実させると考えても、仕事とプライベートを区別せず、好きなことをやると決めても構わない。結局の所、どこまでいっても自分の人生は自分で決めるのだから、自分がどうしたいか?ということにすぎない。自分の人生なんだから、そこをどれだけ真剣に考えて、行動していくか?かなと思える。