会社・仕事を辞めたい、でも言えない方へ。私はこうして辞めました

会社・仕事を辞めたい、でも言えない方へ。私はこうして辞めました

会社を辞めたい……。サラリーマン、OLとして働いていたら良いこともあれば、大変なことも多いものだろうから、そう思ったことのない人のほうが少ないのでは? と思える。

会社でイヤなことがあって一時的に思うくらいならまだしも、慢性的に思っているのだけれど、なかなか上司に言い出せないという人もいるようだ。

私は新卒で入った会社に5年半くらい勤めて20代後半で辞めた。そのときのことがもし役立つのなら、どんな心境でどうやって上司に伝えたのか? などをお伝えしたいのでご参考に。

ちなみに、今は独立して好き勝手自由にやっている(その代わり、当然ながら会社員のメリットも消滅。不安定さもある)。

なぜ、私は会社を辞めたいと思ったのか?

会社の環境は申し分なかったし、人間関係も別に問題はなかった。ただ、仕事の内容が面白いと思うことはたまにはあったものの、ほとんどに関心がなく、どうでもいいことをやっている感覚はあった。

「もし、十分なお金があったとしたら今の仕事を続けるか?」

と聞かれたら、何の迷いもなく「辞める」と間違いなく即答したと思う。

そもそも興味が薄い

私はOA機器に組み込むソフトウェアの開発・設計をしていた。OA機器といっても実にさまざまな機能があって設計している自分たちですら何だか分かっていない機能もあった。

それを上から言われたから開発するような状況だった。少なくとも自分は。他の人はどうか知らないが勝手な想像だと似たようなものだったと思う。

何のためにその仕事をやるのか、どんな理由でやるのか、ということを聞いて、自分がもっと積極的に関わればよかった話ではある。しかしながら、全然興味がなかったのだ。

そして、先輩方を見ていると自分が何をするのか、どうなっていくのか、ということはだいたい予想できる。管理職なんてまったく魅力を感じなかったし、企画や全体の仕様決めなどの上流の仕事にも何の魅力もなかった。

なんとなくの安定と引き換えに後悔を抱えるか?

勤務していた会社は単体でも1万人以上の従業員がいた大企業だった。比較的安定はしていたといえるだろう。けれども、やりたくもないことを延々とやって過ごすのはごめんだと思った。それに、万が一会社がなくなったり、解雇されたりすると思うと後悔しか残らないなと思った。

会社に入ったのはそれが“当たり前”だったから

会社に入ったのはそれが“当たり前”だったから

じゃあなんでその会社に入ったのか? と言われれば、正直な話、学校を卒業したら就職するものだと思い込んでいたからに他ならない

ある年齢に来たら義務教育が始まる。言われるがままに小学校に通い、そのまま中学校に通って卒業。高校に進学するのが当たり前たったので、それに従って高校へ。

高校卒業後は就職する人もいたが、進学校だったこともあって多くの生徒が大学に行った。理由は別に学びたいから行くのではなくて、就職のためには大学に行ったほうがいいから。

で、大学に入って大学の4年が近づいてくると、次の進路の選択を迫られる。工学部だったこともあって就職か大学院への進学が半々くらいだった。私は早く親の援助から抜け出たかったので、就職活動をし始めた。やりたい研究があったわけでもなかったし。

取り繕った志望動機

こんな感じで入ったものだから、たいした志望動機ではなかった。単純に大学4年のときに配属された研究室でやったことの延長で考えていた。

研究室では磁石の研究をするためにシミュレーションのプログラムを書く必要があった。そのときにプログラミングが必要でそれを学んだらとても面白かった。大学の授業ではやる気のかけらもなかったのだが……。プログラミングの面白さを知って「これはいいな」と思ったので、それでソフトウェア関連の業務ができたらなと思っただけ。

ちなみに、研究室に関してもどこもたいして興味がなかった。多少いいかなと思っていた研究室があったものの、希望者が多く配属は抽選だった。

抽選といってもその場で適当に決める感じで、じゃんけんか何かで決めたような気がする笑 私は負けてしまって入れずだった。で、不人気な研究室に行ったように思う。

結果として、その研究室で良かったなと思っている。なので、それはそれでいいのだけれど、これもまた適当だった(そもそも大学に行きたいから行ったというより、周りがそうだから行くという感じだったので当然といえば当然)。

で、就職活動の際に企業を絞った理由は、案内を見て環境問題にしっかり取り組んでいるのはいいなと思えたから。また、大企業で東京勤務になりそうだったから。なので、志望動機なんてもう覚えていないレベル。たいして思ってもいない表面的なことを取り繕って面接で話したように思える。

ただ、そうするのが当然だと思っていたので、「真面目に」取り組んでいたせいかある意味では誠実だったと思う。

思いと行動が、ちぐはぐな就職活動

就職活動のために取り繕った志望動機で就職した人はけっこういるのでは? と勝手に思っている。

自分がそうだったからというのはもちんだが、2016年3月に大学卒業予定の大学3年生と大学院1年生に対するマイナビのアンケートを見ても分かるように思える

「絶対に大手がよい」と「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」を合わせると42.9%。「中堅・中小企業がよい」と「自分のやりたい仕事ができるのであれば中堅・中小企業でもよい」を合わせると52.5%になる。残りの6%未満が、公務員、Uターン志望や自分で会社を起こしたい、だそうだ。

マイナビによる大学生の企業志向調査
画像:マイナビのアンケート結果より

で、具体的にどんな会社や組織を希望しているのかは、2015年の夏に大学1年生と2年生を対象としたリスクモンスター社の調査だと、1位、2位が公務員でその他は大企業ばかり。学年と時期が違うので同じになるとは限らないし、どんな回答のしかただったかも分からない。なので、なんともいえないところはあるが、大手安定志向としか思えない。

リスクモンスター社による大学生の就職先調査
画像:リスクモンスター社のアンケート結果より

どうも思っていることと違うように見える。そもそも中小企業の場合、会社の存在自体が知られていない。だから、ランキングで上位にならくてもおかしくはない。が、おそらく中小企業を知っていたとしても上位には公務員か大企業のように思えてならない。

見ているデータがおかしいのかもしれないし、自分のバイアスがあるとは思う。だが、本音はやりがいなどを重視しているけれども、現実の行動は安定志向になっている、と勝手に思っている。

別な見方をすると、現実を考えたときに安全性をとって妥協している人が多いということ。別に安定志向自体は何も悪いことではないが、問題なのは自分にウソをついているということだと思っている。

今やっていることを好きになる、面白いと思うように考える?

今やっていることを好きになる、面白いと思うように考える?

今やっていることを好きになるとか、どうやったら面白いかを考えるんだ、なんて話を聞くことがある。それはそれで確かにそうだとは思うし、その考え方も必要だろう。

だが、本心がどうなのかというのことが最も大切ではないだろうか。自分の心がイヤだと思っていることを考え方を変えて、解釈を変えてもうまくいくとは限らない。メッキがつくだけでその場しのぎにはなるだけで、やがてはがれ落ちるだろうと思う。

私の場合、自分が求めているのは自由さ。自由に好きなことをやっていきたいというのが自分の中にはずっとあった。なので、会社にはもういられないなという感覚が芽生えていったのだろうなと思える。感覚的に限界だと思える感じだ。

当時、自分で何かしらビジネスをやりたいという思いはあったので、社外の人とも積極的に合うようにしていた。そのせいか、周りは独立していく人がちょこちょこいた。会社員でない人もたくさんいた。そうした影響があったと思うが、誰に言われるまでもなく、勝手にそうすることが関心のあることだろう。

やりたいことがなくても辞めた

辞めるときにやりたいことが具体的だったかというと、全くそんなことはなかった。分かっていたのは好きなことをしたいということだけ……。

仕事としてやりたいことは具体的にはなかったが、やってみたいと思っていたことはあった。それが世界一周だった。たまたま何かのきっかけで世界一周というのを見たのが印象的だったのだ。旅行に行けたらいいななんて思っていたのだが、それが会社辞めたら行けるな、と思ったのだ。

もちろん、その後のことを考えると生活があるわけでおいそれとは会社を辞められない。だが、自分の中では感覚的にもう会社にはいられないな、という感覚があった。なので、表向きの理由は何でもよくて、理由になりそうな世界一周を持ってきただけだったのかもしれない。

いつどうやって何と上司や同僚に伝えたのか?

上司に会社を辞めると伝える

どんなタイミングでどうやって何と伝えて辞意を伝えたのか? 人それぞれあるので、あくまでただの一例として。

ちなみに映画やドラマなどで見かける“辞表”は書かなかった。退職の手続きは何かしらやったが、何か書いて封筒に辞表と書いて提出なんてことはしなかった(本当に辞表を書いて出す人もいるのかもしれないが)。

いつ会社を辞めると上司に言ったのか?

会社を辞めたのは、入社6年目の12月だった。年の終わりの節目ということもあるが、1月で世界一周の旅に行くことが決まっていたので、そうした区切りもあった。加えてボーナスの月だった。

ただ、退職の意志を上司(課長クラス)に伝えたのは辞める年の4月だったので、だいぶ開きがあったことになる。

これは、実は夏くらいには辞める予定だったから。私のいた会社では4月と10月の半期ごとに目標面談というのがあって上司と1対1で話す機会があった。そのときに、4月に話して夏に辞めるのなら十分余裕があっていいだろうと思ったのだ。

それが年末まで伸びてしまったため、だいぶ早めの動きとなった。

いつ同僚には会社を辞めると言ったのか?

会社を辞めるということは、仲の良い同期、友達などには、上司に言った後くらいには伝えた。部署全体に話したのは、だいぶ経過してから。辞める月になってからだったと思う。朝礼の時に前に立って辞めることを皆に伝えたのを覚えている。

上司になんと言ったのか?

目標面談というのは、半期ごとに上司と1対1で会ってそれまでの半年と今後の半年について話をする機会。半期ごとに自分の業務の目標を立てて、どんなプロセスでどんな結果になったのかを報告し、次の期はどうするのかを決める。給与や昇進の評価に関わるもので重要なものだ(ずっと会社にいる人にとっては)。

個人的には会社でやりたいことなんてなかったので、正直面倒なイベントの1つだった。それでもやらなくてはならないので、かりそめの目標を立てて適当にお茶を濁すような形でやっていた。

退職の意思を伝えた目標面談は、これまでどおり形式的に始まった。が、上司と話し始めて「よろしくお願いします」と言った次の言葉で「実は、辞めようと思っておりまして」と、いきなり言い放った。突然のことで上司もびっくりしたようだった。

具体的に何を話したかはもう忘れてしまったが、やりがいがないということと、世界一周の旅に20代のうちに行っておきたいということを話した

上司に辞めると伝えたらどうなったか?

結果、上司には止められた。20代後半の時期はそういうことを考える人が多いので、よく考えたほうがいいといったことを言われた。だが、こっちの腹はもう決まっていて意に介すことはなく、辞める決意は揺るがなかった。

しばらくたってから、さらに上の上司(部長クラス)も登場して3人で話した。

そのときには、有休が残っているだろうから1ヶ月使って旅行に行っていいと言われた。が、それじゃ足りないのでダメだという話をした。部下が辞めたら上司である自分たちの評価が下がるということはあるにしても、それが理由で言ったような感じではなかったのはありがたい限りだった。

また、大企業だったおかげでボランティア休暇なるものがあった。青年海外協力隊などで海外に行ってボランティア活動をしたいという人のための制度だ。なので、それは使えないのか? といったことも言われた。

試しにどんなものか関係部署に聞くと、青年海外協力隊など(他に何があるかは忘れた)の特定の団体による活動しかダメだということが分かった。当然といえば当然だろう。なので、休暇をとって旅行に行ってまた復職するという選択肢もなくなり、辞める以外の道は閉ざされた。

※ちなみに、部長クラスの上司は配属されたときからずっと変わらず上司として関わっていた人で、気さくでとても良い感じの人だった。課長クラスの上司は何度か替わったが、別に変な人はおらず、皆、良い感じの人だった。私は不満があって会社を辞めたわけだが、だからといって会社や人には一切、恨みなどはない。当時の上司や先輩、後輩、同期といった同僚には、むしろ感謝している。最終出社日の2007年12月28日の夜。帰りに会社の裏の道を通りながら感じたのは「ありがたい」という感謝の気持ち。あの感覚は今でも忘れていない。

辞めた後のこと

会社を辞めて自由に

辞めた後にどうなるかが分からなかったので、当然、不安はあったし恐怖もあった。しかし、それは会社にいても同じこと。目の前の経済的な安定に目がくらんで長期的な視点を見落とし、自分の本心にフタをしているだけの話。

やりたくもないことを、自分をだましだまし続けていって気がついたら人生の残り時間がわずかになっていた。ということもまた、不安や恐怖の原因になるはずだ。そして、そうなったら取り返しがつかないことになっていることもある。人生、いつでもやり直せるので、何とかなるとは思うが、時間は相当限られる。

進むも地獄、とどまるのも地獄ときたら、進んでどうなるか確かめてみたらいい。

理想としては副業で給料以上に稼いで辞めようと思っていたが、それは叶わずだった。なのに、私はただの能天気だったこともあり、なんとかなると思っていたのだ。最悪、また就職したらいいという考えはあったが。

意外となんとかなっている

そうしたら、実際何とかなった。自分でビジネスをやるなんて初めてだし、何をネタにしてどうやったら収益が上がるかなんてまったく分からなかったが、助けてくれる人たちがいるもので何とかなったのだからありがたい。

インターネットの普及によってビジネスの環境が著しく変わったことも大きかっただろう。ネットがなかったら、まずうまくはいっていなかったように思う。

初めから順風満帆とはいかず、ほとんど休みなくやって時給にして800円にもならない苦しい時期もあったが、そんな時期を乗り越えて2008年の初頭から今に至っている。

格段に自由になった

今は、朝起きるのも自由だし、場所も選ばない。もちろん、ビジネスをやる以上、何事にも納期があるし、打ち合わせなどもある。なので、そうした場合は除くが、だいぶ自由だ。平日の昼間から都内をプラプラして、混雑している土日は遊びに行かないなんてこともできる。

突如、起業仲間の1人から連絡が来て「熱海で合宿やってるので来ない?」的なことを言われたので、次の日に平日の昼間から熱海に行くなんてこともあった。起業仲間と各自のビジネスを進めるための合宿なんてのを勝手に開いてやるのも自由だというわけだ。

ただ、大企業でもどうなるか分からない時代とはいえ、どう考えても個人や零細企業より大企業のほうが経済面では安定している。が、この自由さは絶対に手に入らないので、自分としては今のほうがいい。

このあたりは人それぞれの価値観によってさまざまだろう。私としても自由で好きなことができるなら、別に会社員でも一向に構わないと思うし。

決めるのはあなた

好きなことをする

結局のところ、決めるのは自分だ。独立したほうがいいということもなければ、会社勤めしたほうがいいということもない。外野が何と言おうと、たとえそれがアドバイスであろうと、ただのやっかみであろうと決めるのは自分。自分がどうしたいかだ。会社勤めでないとできないようなことをやりたい人もいるだろうし(例えば、ビルを建てるとか、船を作るとか、良い環境で何かしら研究したいとか)。

私の好きなファインディング・ジョーという映画には印象的な言葉がたくさんあって、その中の1つに

Always the choice is yours.

という言葉がある。まさにそのとおりだろう(英語なので聞き取り間違いがあるかも……)。

自分が経験したからこそ分かるが、会社を辞めるということは相当な勇気がいることだ。明確にやりたいことが決まっていないと特にそうだろう。

でも、もし、あなたが仕事・会社を辞めたいと思っているのなら、自分の心がどう思うのか? よく自分自身と対話してみると、感覚的に分かるように思える。本当に辞めたいのか、一時的にそう思っているだけなのかは。

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