ついに人工知能が人の仕事を“奪い”始めた
2013年に人工知能(AI)に奪われる職業なんてのが話題になった。ランキングが公表されてこんな内容になっていた(初稿:2016年5月24日、更新:2017年10月14日)。
また、今度は逆に“奪われない”仕事としてこんなのもあった。
将来、人工知能にのっとられない職業14選+44
奪われるという表現はどうかと思うが、人工知能によって人件費削減、つまりは人の代わりになったというケースを見かけた。デジマラボによると、LOHACOというアスクルが運営する通販サイトにて人工知能を導入したところ、6.5人分の人件費削減に成功したそうだ。
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人工知能の顧客サポートが人件費削減に成功
以下のとおり、LOHACOによる人工知能の導入は2014年の9月からだそうだ。
同社は急増する問い合わせに対応するため、14年9月からマナミさんをロハコに導入し、カスタマーサポートの効率化・省人化を図った。マナミさん導入で、夜間の問い合わせを含め、24時間365日問い合わせ対応ができる体制を構築。現在は全問い合わせの3分の1をマナミさんが対応し、省人化効果は6.5人分となった。
省人化によってオペレーターはより高度な問い合わせに対応できるようになり、顧客満足度の向上につながっているという。
引用:通販通信(http://www.tsuhannews.jp/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%80%81%EF%BD%81%EF%BD%89%E5%9E%8B%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%9C%E5%B0%8E%E5%85%A5%E3%81%A7%E7%9C%81%E4%BA%BA%E5%8A%B9%E6%9E%9C%EF%BC%96/)
ポイントはここにあるなと思える。
“省人化によってオペレーターはより高度な問い合わせに対応できるようになり、顧客満足度の向上につながっているという。”
仕事が奪われるのではなく、人がやらなくていいことが増えて、その分、もっと価値あることに人的リソースを割けるというメリット。FAQがあれば、同じような問い合わせは減るのだけれど、そもそも見ない人もいるし、FAQ数が増えると探しきれないケースもある。
ちなみに実際の画面はこんな画面。すでにある選択肢を選んでもいいし、入力することも可能。画面を載せるとこんな感じ。
画像:LOHACO
人工知能搭載の自動運転車が公道を走った
※写真は公道の実験車とは無関係
こうしたケースはますます増えそうだ。実際、車の自動運転は、一定の条件を満たせばという但し書きつきだが、政府が2020年までの実用化を認めた。
そして、実験とはいえ、すでに自動運転車が公道を走ったようだ。東洋経済の記事によると、2016年の2月29日に神奈川の藤沢市で自動運転の実験が行なわれた。自動運転の実験は直線道路だけだったようだが、公道を走ったというのは大きいなと思える。
最初は事故が起こることも懸念されるけれども、人工知能が入っていれば自己学習していくので、事故の心配も少なくなっていくはず。
そうなるとタクシーの運転手やトラックの運転手という職業がなくなっていくように思える。トラックもタクシーも、運転手はどうなるのか?
また、先ほどのLOHACOの例だと、高度な問い合わせへの対応に相当することが具体的に何なのかは分からないので、人によっては仕事が“奪われる”ような気はする。
自分の職がなくなる危機になると、給料という観点から職にしがみつこうとする人が少なからずいそうだが、職は人に給料を払うためにあるわけではない。なので、簡単にはいかないだろうけれども、他の価値提供を探すしかないという厳しい現実を目の当たりにする人は増えるような気はする。今までもそうやって変わってきているので、時代の流れに逆らわないのが得策かなとは思うが。
人工知能のアナウンサーが登場し、実際に運用が開始された
こちらの記事でも書いているようにアナウンサーが人工知能で実現されている。しかも、年間で1000円だそうだ。月給で考えるなら80円強というすごい低価格。AmazonのAIを使って実現させた。AmazonのAIが実際にどんな声をしているかも載せてみたので参考にどうぞ。
今や人工知能を誰もが格安で使えるようになり、AIアナウンサーが月給約80円で“雇える”ように
職を奪われる心配よりも、新しく生み出すことに意識を向ける
ここのところ、学生の就職先の上位には公務員がいつもいるように思える。そのなかの多くが安定しているからという理由で選んでいるとしか思えない。価値観は様々なので、それはそれでいいとは思うけれども、自分だったら後になって悔やみそうな気がする。
誰だって収入の安定はほしいものだろうから職(この場合、お金の意味合い)の安定を望むのは当然なんだけれども、安定というのは同じことを繰り返すことや、チャレンジしないことではないように思える。
そうした動かないことは真の安定ではなく、自転車やコマのように常に動いていること、つまりは、世の中の流れに合わせて新しくビジネスをつくっていけることが安定だよなと思える。そのためにも、いつでも新しく生み出すことに意識を向けていたいもの。
今の時代にピッタリな童話
こうした時代の変化にどう対応するか?というのを描いたのが、こちらの「おじいさんのランプ」という童話。青空文庫で無料にて読めるのでお勧め。
あらすじを簡単に書くと、こんな感じ。
昔、今のように照明がなかった頃、夜になると真っ暗になって何もできなかった。そんなとき、ランプというものの存在を知った男がこんな便利なものはないと思い、ランプを売る商売を始めた。結果、成功を収める。
しばらくは好調だったが、世の中はどんどん進んでいき、電気が通るようになってランプよりも便利な電灯が登場した。しかし、男はランプのときのようにこんな便利なものがあるなら……とはならずに、凋落することが分かっているランプにしがみつき、自分のビジネスを必死で守ろうとした。
でも、あることがきっかけてで自分の過ちに気付き、ランプを売りを辞める決心をし、新しい事業を始めた。
わしの言いたいのはこうさ、日本がすすんで、自分の古いしょうばいがお役に立たなくなったら、すっぱりそいつをすてるのだ。いつまでもきたなく古いしょうばいにかじりついていたり、自分のしょうばいがはやっていた昔の方がよかったといったり、世の中のすすんだことをうらんだり、そんな意気地いくじのねえことは決してしないということだ
自分のビジネスが衰退していくのは誰だってイヤなことだけれど、人の役に立ってこそビジネスだという基本を忘れてはいけないよなと思わされる。